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醤油絞り

2017年に仕込んだ醤油の元、もろみをいよいよ絞る日がきました。

寒いのだけど、素晴らしいロケーションのもと、これは美味しいお醤油が絞れること間違いない!と確信しながら始まりました。

まずは大きい釜でお湯を沸かします。

シェフが用意してくれた朝食をつまみながら。。。

もろみのチェック、(お餅にもろみをつけて味見チェック!美味しかった〜)これはなかなか良いもろみです。
けれども惜しいのが小麦の中まで麹菌が染み込んでいません。小麦の殻は硬いので表面で麹菌がストップしてしまっています。
昔は石臼で小麦を挽きながら麹菌を仕込んで行ったとか。今回はバイタミックスで挽いてみたのですが、小麦の殻は強靭でしっかり中を守っているので麹菌が届きませんでした。

釜で沸かしたお湯でもろみを溶かしていきます。味見をしながら、お湯を足すごとにどんどん味が変化していきます。味見は随時、誰がしてもオーケー、指を突っ込んで絞っているみんなでワイワイしながら味見。通りすがりの見学者だって味見してオーケーです。醤油はみんなで作ってみんなが毎日いただくものだからです。

ちょうど良い塩梅の味で

袋に詰めて絞っていきます。

圧力も途中かけていきます

綺麗なお醤油が絞れています。
この時も流れてくる醤油に指を突っ込んでいつでも味見してオーケーです!
お子さんたちがキャーキャー言いながら、美味しい美味しいって味見していました。

一回のもろみの樽で時間をかけて絞りますが、向かって左から時間が経過していったものです。だんだん透明度が上がっていきます。
向かって一番右になるとまた少し濁っているのですが、それはプレスで圧力を最後かけて絞ったから。この状態は醤油はまだ火を通していません。いわゆる生醤油ってこのことか〜。

今度はお醤油を火にかけていきます。

温度調整が大切です。
最初、弱火でゆっくり時間をかけて60度まで温度を上げていきます。そうすることで絞りの最初の濁っていたものと途中の澄んだものを均一にいていきます。60度を過ぎたら今度は一気に88度まで上げていきます。そうすることによってアクを浮かび上がらせてえぐみをとっていきます。沸騰は絶対させないように、たんぱく質が変化して味が変わってしまいます。
私も火の番をしていたのですが、上手く蒔きを扱えず、エイ君に日の調整をしてもらいます。

最後、アクをすくって

お醤油を容器に移し替えます。
この後、1週間くらい寝かして、今度は下に澱をたまらせます。そして最後に澱を除いた上澄みをすくって、醤油が出来上がります!

全部で3樽の作業、朝8時から始まりましたが、終わったのは夕方。たった3樽でしたが慣れない作業もあって1日仕事でした!
カフェで使う今年1年の醤油が出来上がります。余った分は希望者が購入できるそうです!私も絶対、購入しようと思います。

今回、長野県で活動されている、トキさんに醤油絞りのご指導をいただきました。私は初参加だったのですが、去年もお越しいただいたそうです。

最後、トキさんと少しお話しする時間があったのですが、どうして今のような活動をされているのか、醤油絞りは昔はどんな感じで行われていたのか、ということを教えていただきました。
特に、お仕事として始まったわけではなく、自分の住む地域で醤油をみんなで絞っていたところ、全国からお声がかかり、絞り士として全国を回るようになったそうです。そもそもお醤油はその土地土地のコミュニティ、みんなで作って知識も分け合ってその年の家族やコミュニティの醤油の味の出来を楽しんでいたものだから、特別なものではないんだよ。でも日本って専門家やスペシャリストみたいな存在が好きだから、とても特別なものを求めがちだけど、お醤油は各家庭や地域で味があるように何も特別なものではなくて開かれているものなんだよ。生活の一部なんだ。ということを教えていただきました。
今の時代、なかなか醤油って自分たちでつくるもの、という意識がもうなくなっていますが、そうだったんですね。
そしてそれをまた自分たちでつくる生活をしようと思っている人たちが全国にいることも初めて知りました。特別なことではなく。日常として。

じゃあみなさん、今日はお疲れさまでした!と終わりを告げると、参加された女の子が寂しくて泣いてしまいました。
うん、楽しかったね、私たち大人も楽しい1日が終わって寂しいよ。

今年2年めとなる醤油絞り、カフェの畑チームのエイ君とリョーちゃんがトキさんに自分たちの思いを語りながら前日の夜は過ぎていったそうです。
何事も一番最初、始める時が一番大変かもしれないけど、一つ一つ形にしていくことはすごいなあ、と感動しました。その姿にとても勇気がもらえました。

お醤油が完成するのが本当に楽しみです。

サポートはセッションの向上のためのお勉強に使わせていただきます ありがとうございます!