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夢と夢分析 ヒプノセラピーepisode🥀14

これまで、フロイトとユングを取り上げながら、様々な面からヒプノセラピーについて論じてきましたが、ここで一度、夢についても取り上げてみたいと思います。無意識から生じるものとして夢を取り上げ、その重要性を説いたのはフロイトもユングも同じですが、両者ではその解釈の仕方に違う部分があります。夢分析に関する様々な視点から、ヒプノセラピーと絡めてお話ししたいと思います。

さて、意識できないものとしての無意識(潜在意識)を、私たちがありありと一番身近に感じられるのは、夜見る夢でしょう。夢を覚えていないという人でも、毎晩何かしらの夢を見ていると言われています。夢、と一言で言っても、映像、色彩、言葉、形、音、メロディ、イメージ、雰囲気、様々な要素で成り立っているそれは、時に非常に強い印象を残します。分かりやすいストーリーがあるものもあれば、ごちゃごちゃして何が何だか分からない内容のものもありますし、何を意味しているのか検討のつかないものもあれば、直感的に、あ、あのことを指しているな!と感じるものもあります。夢の全てをひっくるめて、潜在意識からのメッセージと言えます。

私たちが自分の夢を扱う時に、基本的に夢は連続ドラマと考えると少し分かりやすくなります。夢を自分の人生に活用するために大切なことは、まず記録すること。すると、関係ないように思われた他の夢との関わりが見えてきたり、自分があるパターンを持っていることが明確になったりします。繰り返し出てくる存在や、シンボル(象徴)、展開と結末、夢のストーリーを追うことで、自分の心の中で今何が起こっているか理解しやすくなります。

夢には様々なタイプのものがあり、よく知られているのは願望充足の夢、補償夢(また、逆補償の夢)と言われているものなどです。例えば、欲しいものが手に入って満足している夢や、現実で心配している遅刻を夢の中でしている、というものです。また、あることに対して楽観的にいると、それに対して釘を刺すような内容の夢を見たり、逆に、不安を抱いていることに対して、肩の力を抜いて大丈夫という内容の夢を見たりします。これらのタイプの夢は見た時に、現実の状況と照らし合わせて、なんとなく夢の言いたいことを理解できるので、分かりやすく取り入れやすいと言えます。

それに対して、なかなか理解できない夢の中には、顕在意識の検閲機能をすり抜けて、暗号、記号、例え話のような手法で、潜在意識が顕在意識に伝えたいことを表しているタイプもあります。また、象徴やシンボルで表されている夢は、個人的な連想の他にも、前々回で説明した『元型イメージ』や神話が関わっている場合もあります。

簡単な例を出すと、赤ちゃんを産むという夢を見たとします。それが実際の出産を意味している、というよりも、私の中に何か新しい可能性、生命力を持ったものがあり、それを表出させる、育んでいくことを示唆していることがあります。赤ちゃんを赤ちゃんそのままに受け取るのではなく、赤ちゃんが象徴しているものや、自分にとっての赤ちゃんのイメージを理解しようと努めます。

このように、夢分析ではイメージや連想を豊かに持ち、そこから汲み取れる様々な見方を広げてゆきますが、大切なことは、基本的に夢は解釈するものではなく、味わうものであり、答えは一つではないということ。一つの夢でも視点を変えれば、色々な見方ができるので、こんな風にも受け取れる、あんな風にも理解できる…といったかんじで夢を深めていくことが大事と思います。

夢には他にも、予知夢、警告夢、反復夢…色々なタイプのものがありますが、潜在意識から顕在意識へのメッセージという点では変わらないと思います。次回は、夢分析とヒプノセラピーについて考えてみたいと思います。

セラピールーム アウロラ
渡邊真理乃
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