見出し画像

フロイトと無意識 ヒプノセラピー Episode🥀4

前回の投稿を受けて、今回は、フロイトの無意識の捉え方について取り上げてみたいと思います。まずは彼の言葉を引用してみましょう。


『無意識を認識するには、どうしたらよいのであろうか。もちろんわれわれは、無意識を意識されたものとしてしか認識できないのであって、そのまえに、無意識を意識におきかえ、いわば翻訳しているのである。精神分析の仕事は、このような翻訳が可能なことを、日ごろの経験で教えている。それには分析される者が、ある抵抗を克服することが必要であるが、その抵抗とは、かつて無意識を意識からしめだして抑圧したものとおなじものなのである。』フロイト著作集6 自我論、不安本能論より 無意識について


『無意識の仮定は必然的であり、正当であること、また無意識の存在についてはいくつも証拠があることをくわしくのべられる。意識のあたえるデータには多くの間隙があるものであるから、無意識の仮定は必然的である。健康な者にも、患者にも、意識にのぼらない他の作用を、前提としないと説明のできないような、心理的現象がたびたび現れる。』


ということを前提をした上で、このような例を挙げています。


『もし私がひとりの患者に、患者が以前に抑圧した表象を、私が推測したうえでつたえるとすると、最初のうちは、彼の精神状態には少しも変化がない。なかんずく抑圧はやまない。以前には意識されなかった表象が、こんどは意識されたのだから、抑圧の結果である症状も後退するものと、おそらく期待されるであろうが、それも起こらない。反対に、ただ抑圧された表象をあらためて拒否することになるであろう。』


『実際、意識された表象が、抵抗を克服して無意識の記憶の痕跡と結合するまでは、抑圧はやまないのである。この無意識の記憶を意識させることによって、はじめて成果がえられる。』


臨床の現場で、退行催眠を行なって効果を上げていたフロイトは、『無意識の記憶を意識させること』が、その鍵となっていることを指摘しています。


身近な例を考えてみると、例えば、人は人のことをよく見ているなぁと思うことがあります。本人の気づいていない癖やパターン、性格を、周りの人たちはたやすく指摘できるものです。けれど、それをそのまま本人に伝えても、抵抗が生じるだろうことを感じるので、親切に指摘する、などということをあまり人はしたがりません。しかし、治療の現場では、本人にとって盲点となっている部分を意識化することで、大きな効果や変化が生じるということを、セラピストは感じます。ヒプノセラピーが行うのは、まさしくこの部分であり、しかも、決してセラピストが指摘するのではなく、クライエントさんは、自分自身の口から、自分が気づかなければならないことを喋りだすのです。このあたりのことを、次回、説明できたらと思います。

セラピールームアウロラ
渡邊真理乃
https://marinomothermariam.wixsite.com/my-site