〈LANSCOPE PEOPLE Vol.15〉 開発責任者 北村 和久さん|時代や社会の変化を捉え、ニーズを先読みした新しい価値を提案していく。
エムオーテックス(MOTEX)デザイン戦略チームです。
MOTEXが提供するサイバーセキュリティのプロダクト・サービス「LANSCOPE」に携わる人たちへのインタビューを通じて、MOTEXの思想やカルチャーを紐解く「LANSCOPE PEOPLE」。
Vol.15は、20年以上LANSCOPEの開発に携わってきた北村 和久さんにお話を伺いました。
—— 北村さんのMOTEXでのこれまでの経歴と、現在担当されている業務を教えてください
北村さん(以下、敬称略):2001年の入社以降、ほとんどの期間を開発畑で過ごしてきました。
入社後15年近く『LanScope Cat』の開発を担当した後、一時期、開発の一線からは離れてプロダクトマネージャーを担当していましたが、LanScope Cat(現『LANSCOPEエンドポイントマネージャー オンプレミス版』)をクラウド化していくというプロジェクトで開発に戻り、それ以降は『LanScope An』、現在の『LANSCOPEエンドポイントマネージャー クラウド版』の開発責任者を務めています。
—— LANSCOPEはどのように変化してきたのでしょうか?
北村: 20年以上前も、現在と同じくLANSCOPEシリーズにはさまざまな製品がありました。
その中で20年以上続いてきたのが、現在のLANSCOPEエンドポイントマネージャー オンプレミス版にあたるLanScope Catです。1990年代半ばに発売され、約30年続くLANSCOPEシリーズの歴史を代表する製品となります。
1990年代にLanScope Catが発売され、その後、Cat2、Cat3とアップデートされていきました。当時「IT資産管理」といえばパソコンの管理というイメージが強かったのですが、MOTEXは、パソコン上で動くソフトウエアも管理すべき資産である、と考えました。ソフトウエアがインストールされているかどうかだけでなく、どのように活用されているかを把握することも重要だというメッセージと、それを誰でも管理・運用できるツールであるというコンセプトを打ち出し、売り上げを伸ばしました。
2000年代に入ってからは、端末利用者の行動を捉えることで、PC上の情報資産であるファイルがどのように扱われているのかを把握するため、「操作ログ」を実装しました。当時は『LanScope Cat5』の頃だったのですが、個人情報保護法が施行されたことが追い風にもなって、市場から好反応をいただきました。
2010年代は、企業でもiPhoneやAndroidといったスマートフォンが使われることが一般化した2012年に、MDM(モバイル・デバイス・マネジメント)ツールであるLANSCOPE Anをリリース。続いて2016年に、AIアンチウイルスの『CylancePROTECT』と連携した、『プロテクトキャットPowered by Cylance』をリリースしました。
そうやって、常に時代や社会のニーズを適切に取り入れつつ、メーカーとして、お客さま自身がまだその必要性を認識していない価値を提案することに力を入れてきたと考えています。
—— LANSCOPEの普遍的なコンセプトである「禁止より抑止」は、どういったところから生まれたのでしょうか?
北村: 2000年代の前半頃から、USBメモリが広く一般的に使われるようになりました。情報の持ち運びが便利になる一方で、持ち出しやすくなったため、当時、競合製品の中にはUSBメモリの使用を禁止する機能を持つものもあり、LANSCOPEにも同様の機能が搭載されていました。
しかし、本来であればUSBメモリはとても便利なもので、業務を円滑にする上で活用したいものだと思います。リスクがあるからといって使用を禁止するよりも、操作ログを取ることで、どういった情報が書き込まれているのかを捉えることができたら、不正行為を抑止できます。
それらの点を従業員にしっかり周知しながら、正しく利用していただくことを促す方がいいわけで、そういったメッセージとして、禁止できる機能とほぼ同じタイミングで、操作ログが取れる機能もリリースしました。
—— 時代や社会のニーズを捉えて変化してきたLANSCOPEの変わった部分と、変わらない部分を教えてください
北村:大きく変わった点としては、総合セキュリティカンパニーとして、お客さまに提供できる価値の幅がさらに広がったことです。
LanScope Catがメインだった時代と比べてプロダクトのバリエーションが充実したことに加え、KCCS(京セラコミュニケーションシステム株式会社)のセキュリティ事業部が合流したことで、より包括的なセキュリティサービスを提供できるようになりました。
内部からの情報漏洩対策にフォーカスしてきたMOTEXに、20年にわたり外部からの攻撃への対策にフォーカスしてきたKCCSがジョインしたことによって、セキュリティサービスとして大きく進化しました。
そんな中でも、変わらず続けているのは、お客さまにどのような価値を提供し、どのようにして驚きを与えられるかを追求する姿勢ですかね。
—— 北村さんが感じるLANSCOPEの強みを教えてください
北村: LANSCOPEが長く続けてこられた一番の理由であり、最大の強みは、サポート力だと思います。サポート部門をはじめ、全ての部門が常にお客さま基準で物事を考える意識を持っていることが、この強みを支えています。
例えば、開発部門では、管理対象のデバイスやOSの制約が出てくることも当然ありますが、それによってお客様の目的を満たせないのであれば、なんとか制約を回避できる方法を模索して機能を作るよう努めています。
サポート部門であれば、単に製品仕様を伝えるだけでなく、お客さまの目的に応じた最適な回答を提供しています。また、問い合わせ対応を行うプル型のカスタマーサポートだけでなく、カスタマーサクセスによるプッシュ型のサポートもずっと行っています。MOTEXでは、まだ「カスタマーサクセス」という言葉が一般的ではなかった2006年頃から、社を挙げて大々的に「プッシュ型でサポートしていこう!」ということを打ち出していました。
—— LANSCOPEの展望を教えてください
北村:オンプレミスの製品をご利用いただいているお客様の満足度を追求しつつ、全体的なクラウド化を進めています。
クラウド化によって、メンテナンスなどのお客さまにとって余計な仕事を減らしたり、製品をより使いやすくするための改善がしやすくなります。
クラウドサービスを中心にやっていくにあたっては、基本に立ち返って、情報セキュリティの3要素である「機密性」、「完全性」、「可用性」のレベルを上げていくことに力を入れていきます。
北村:3つの中では『仕事にも仲間にも想像力を。』が好きですね。開発者としても開発責任者としても、社内の各部門と会話を重ねる中で、相手の要求と自分の主張にどうしてもズレが生じます。それを適切な形に落とし込むために、想像力が必要だと思います。
私だけでなく、開発チームのリーダーやメンバーも他部門とやりとりするのですが、その中でもお互いの言っていることにズレが生じることがあり、私はそれに気付きやすいんです。そういったところは、これまでの経験でだいぶ力を養ってきたかなと自負しています。
今は、その力を開発チームのリーダーやメンバーにも養ってもらえるよう、よくアドバイスをしています。
—— 北村さんが“MOTEXらしさ“と感じることがあれば教えてください
北村: 受託制作の場合、作ったものがお客さまに使われることは、ほぼ確実ですが、メーカーの場合は、製品が売れるだけではなく、実際に使ってもらえなければ、その先に続いていきません。
いかにお客さまに使っていただける製品にするかを考える際、ただ技術的な面だけでなく、画面の前にいる“人”にフォーカスすることが大切だと思います。私たちは、常に“人”を見据えながら製品を作り続けており、これこそが弊社の強みではないでしょうか。
—— これまで業務に取り組んでこられた中で、最も印象に残っているエピソードを教えてください
北村:以前、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の産業サイバーセキュリティセンターの取り組みに講師として参加したことがあります。受講者に実際のサイバー攻撃を体験してもらい、対処方法を学ぶワークショップ形式のプログラムで、私は、サイバー攻撃から身を守るためにIT資産管理ツールがいかに有用であるかを伝える講義を担当しました。
プログラムの最後に、参加している5〜6チームに対してアンケートが行われていて、そこには『どの製品を使いたいですか?』という質問があったのですが、少ないときでも半数以上、場合によっては全チームがLANSCOPEを選んでくださり、とても嬉しかったのと同時に、大きな手応えを感じました。
—— MOTEXを人格や人の性格で表すと、MOTEXとはどんな人でしょうか?
北村:何人か他のメンバーも同じように表現しているのですが、真っ先に思いついたのが、「MOTEXとは“泥臭い人”」でした。
メーカーとしての主義・主張を持って、コツコツと、泥臭く、お客さまに価値をご提案していくということをずっとやってきました。
もっとスマートにやっていたら、さらに会社が大きくなっていたんじゃないかって思ったりもするのですが、こういった泥臭い部分も含めてMOTEXらしさでもあるのかなと思います。