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新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件

12.達意

 それではまず概要を説明します。明日から9日間で3つの"競技"に参加していただきます。1つ目と3つ目はチーム戦、2つ目は個人戦です。チームはここにいる10名の皆さんに1名、2名、3名、4名の4チームに分かれていただきます。皆さんの目の前にある箱を開けてスマホを取り出してください。起動させるとご自身のチーム名がホーム画面に映し出されます。チーム名の表示はすぐに消えますので忘れないようにしましょう。寝る時以外はスマホを肩から掛け、研修が終わるまでなくさないようにお持ちください。競技でも使いますし、事務局からの連絡手段としても利用します。ただし、受信専用でインターネットにも繋がりませんのでご留意を。代わりに、皆さんが持つ通信機器をその中に入れていただければこちらでお預かりします。

研修の"責任者"と名乗る女性は早口で淡々と必要事項を受講者に伝える。彼らは要領が良いのか特に戸惑うこともなく言われたとおりに箱を開け、チーム名を確認すると個人の端末を箱にしまった。質問や反発もなく、言われたとおりにするのは従わないという選択肢がないことを全員が理解しているからだろう。

 皆さんは理解が早くて助かります。ごく稀に研修に来られない方や、研修の内容に不満を持つ方もおられますので。

受講者たちはその者たちがどうなったのかを気にしている様子だが、一切聞くことはできず、ただただ恐れ慄くだけであった。得体の知れない"上"は確かに存在することだけは分かっているが、分かっているのはそれだけ。何も分かっていないのである。ロンドたち3人も他の受講者に合わせ、いまは目立った行動を取らないように努めた。もしかしたら受講者の中には同じく賢く勇敢な者がいるかも知れない。いや、むしろ全員がそうであって欲しい。3人はいつか同じ意思を持つ数多の仲間を集め"上"の正体を突き止め、何世代も続くこの"支配"をやめさせることを固く誓い合った同志なのだ。しかし、いまはまだ子供で仲間も3人しかいない。従うフリをしながら着実に準備を進めているところである。この研修の最大の目的は優秀な仲間をスカウトすることだった。そのため、波風を立てず悪目立ちしないことを心掛けている。

 さあ、これで今日のカリキュラムは終了です。移動して皆さんで食卓を囲みましょう。

受講者たちは1人、2人と立ち上がりロンドたちを含め全員が会場を後にした。薄暗くヒンヤリとした廊下をゾロゾロと歩き食堂へと向かう。さっきの応接室を通り過ぎて、また同じような廊下を数分歩くと光が漏れているのが見える。先頭の受講者が手をかけようとした時、ドアが開いた。

 ようこそ、みなさん!どうぞこちらへ!

10人以上はいる同じユニフォームを着た人物が声を揃えて受講者たちを迎えた。

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