新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part1ロンドの旅 Chap2プサンの事件
5.親子
4人は搭乗すると、手配していた窓際の2席と、3人席の通路側と真ん中に腰をかけた。
あの、先ほどは気が動転してそれどころではなかったのですが、一つどうしても気になることがございまして…お聞きしてもよろしいでしょうか?
ええ、もちろん。
お子さまたちはまだ小学生になったばかりのように見受けますが、語学が堪能なだけでなく、大人にも勝るほど頭がとても良いので、何だかとても不思議で…
お褒めに預かりありがとうございます。そうですね、私が言うのもなんですが非常に優秀なんです。親会社には教育プログラムがありまして、それを小さいころから受けさせてたのも影響しているかも知れません。
そうなんですか。お子さまにも教育をしてくださるなんて、とても家族思いの会社なんですね。
ええ…まあそんなこところです。
自慢げに話す時の癖なのか、左手の人差し指を立てる仕草を見せながら答えた。
メライ、君の見解はどうだい?
…星3つの気配はないわね。"あの人"の仕業とは思えないわ。
僕も同感だ。それにしても母親に対してあの人はないだろう?
なに?"ママ"とでも呼べって言うの?
いや…そうとは言ってないけどね。
1人だけ事情を知らない者は、明らかに複雑な何かがあると察するも、それ以上の勘繰りは控え、聞かなかったことにしようと胸を押さえ静かに深呼吸した。しかし、完全にスルーすることも不自然と思い、口を開いた。
奥様の捜索はどのくらいされているのですか?
かれこれ、2年になります。バルカはまだ幼稚園に通っていました。
長いですね。早く再会できることを祈っています。
ありがとうございます。ただ、本当に彼女が犯人だったらと思うと…私が一番信じなければいけないのは、よく分かっているつもりなんですけどね。
きっと、複雑な感情ですよね。会いたいけど、真実を知るのが怖い…。す、すみません!使用人の身分で、こんな話を。
とんでもありません。ご主人にとってはそうでも、私たちとしてはクライアントも同然です。そもそも、人はみな平等ですし、職業によって優劣を決めるものではない、私はそう思います。
はい…そう言っていただけて、嬉しいです。ぜひ一緒に犯人を見つけていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
もちろんです。こちらこそよろしくお願いします。
一笑して応えた。
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