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新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件

19.初見

2人は集合時間前になると旧友の部屋のチャイムを連打し何度もドアをノックした。ようやく彼が出て来たので、3人で会場へ向かう。途中他の受講者の姿も見えたが特に言葉は交わしていない。会場に到着すると座席がチームごとに分かれていたのでそれぞれの場所に着席した。どうやらチームごとに食事をとることになりそうである。これまで同様、とても食べきれないほどの料理が彼らを囲んでいた。さきほど質問をしていた巨漢は1人のAチームのようだ。4人のDチームは20歳前後と中学生くらいの女性とソナタ、旧友というメンバー構成。Bチームのロンドの相棒とCチームの3名は姿を現さなかったが、12時1分前になると後方からドアを開ける音が聞こえ、3名の女性と1人の男性が入室した。真紅のショートヘアの女性がロンドの隣に座り、残りの3名はCチームの席につく。間髪入れずにハイヒールの音が会場に響き渡ると、責任者は受講者の前に立ち口を開いた。

 みなさんお揃いのようですね。それでは競技の前にしっかり力をつけてください。ゆっくり食事をとって、休んで14時にまたここに集まってください。建物を出なければ、メンバー同士の仲を深めるのも、1人で考えごとをするのも自由です。ではのちほど。

いつものようにマイクが不要なほど大きくハキハキと言葉を発すると、彼女は食事をせず会場を出て行った。Cチームは彼女と同じく何も手をつけずにその場を去っていく。巨漢はすぐに皿一杯に料理を盛り付け食事にありついたが、BチームとDチームはメンバー同士で言葉を交わす時間となっているようだ。

 昨日から気になっていたけど、どうみてもまだ子供よね?あなたの友達2人も含めて。

 ええ。今年で9歳になります。彼女たちは幼馴染で同じ年齢です。

 この研修の受講者ってことは、その年で博士号まで?

 あ…は、はい。

 嫌になっちゃうわね。私なんて浪人も留年もしてもう30歳よ…。あなたは"上"の特別な開発プログラムでも受けたのかしら。

 いえ。僕らはそれぞれ開発プログラムには参加していますが、勉学とは異なるものです。

 そう。とりあえずよろしくね。最初の競技は私たちに勝ち目はなさそうだけど、頑張りましょう。ま、負けるが勝ちってこともこの研修ではありそうだけど。

 ええ。冷静な方で良かったです。見極めながら対応していきましょう。ところで、あなたはこの研修について何かご存知なんですか?

 …な、なんで?

 この研修の受講者は博士号の資格を持っているという趣旨の話をされたので。少なくとも僕はそんな条件があることを聞かされていません。"上"の指示どおりここまで来ただけです。

ロンドは常に笑顔を絶やさず、でも飄々と淡々と他者と交流する。きっと意識しているわけではなく、これが彼のスタンダードなのだろうが、良く知るソナタや旧友から見ればやや不気味に映る。多くの時間を共にするかれらであっても感情が揺さぶられるような姿は見たことがない。真紅の髪の女性はロンドから質問を受けたとき明らかな動揺を見せたが、適当に遇らい本質的な答えを示すことはなかった。ここに何かヒントがあるのかも知れないと思いつつ、ロンドは彼女との雑談を続ける。

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