新感覚！解決しないミステリー小説ロンドの旅 Part2ソナタの旅 Chap4アンカッシュの事件

3.物色

警察がすでに調べ尽くしていたためか、家の中を満遍なく探したが結局何も出てこなかった。スマホやパソコンがあれば何か手掛かりを見つけることができたのかも知れないがやむを得ない。それでもいくつか気付いたこともあった。まず、妹はキレイ好きな性格なのか、細部に至るまで清掃が行き届いている点だ。たとえばトイレの捜索をしたとき、座面が上がった状態だったのでよく見えたのだが、座面の裏側にも汚れひとつなくピカピカだった。キッチンのレンジフードもまるで新品のように油カスひとつ付いてはいなかったのだ。当然ソナタが来ることを予想できた訳もないから、来客に合わせて掃除したわけでもない。他にもう1つ気になることがあった。妹のことである。失踪した姉の変化については何度も聞かれているからなのか、"何もなかった"と淡々と答えたが、自身に関する変化を問われたときの明らかな動揺、特に心理学の観点からも、何かを隠しているときに見られる挙動が顕著に現れていたのだ。しかし、これだけの情報ではさすがのソナタにとっても十分とは言えない。このまま何の収穫も得られずに帰るわけにはいかないので、妹からの聞き取り調査を行うこととした。

　ありがとうございました。残念ながら、事件に関係ありそうなものは出てきませんでした。

　そう。じゃあ用が済んだら帰ってちょうだい。私は忙しいの。

　あの、何度もすみません。事件当日のことですが…

　…だから姉に変わった様子はなかったって。さっきも言ったわよね？あなたも訳ありで色々大変なのは分かるけど、もう帰ってくれる？

　分かりました。では最後に一つだけ答えていただけませんか？私の前にどなたかこの家に来られましたか？

　いいえ。警察の捜査が終わってからは誰も来てないから、もう数週間は来てないわね。あいにく友達も親戚もほとんどいないの。じゃあ、もう本当にいいかしら？

　はい。長居をして申し訳ありませんでした。それではこれで。

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