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人生に夢中になって共感と感動を得る

著者のこちらも参照。
https://note.com/yasuhito19751214/n/n0de3e2eb268f

この本の有用性

  • 感動と共感のメカニズムの理解

  • 「自分の人生」の発見・構築

ストーリーの基本パターン

本書では鬼滅の刃の煉獄さんの映画を元に説明されている。私ももちろん見て大変感動したが、ここではスラムダンクの山王戦で説明してみたい。7つの要素からなる。

  1. Central Question, CQ。
    全国大会初出場の湘北が、最強山王に勝てるのか?

  2. プチハッピー
    開始早々、奇跡のアリウープが決まったり、三井が絶好調だったりで前半リードして折り返す。

  3. ボトム
    後半開始早々、伝家の宝刀ゾーンプレスでほとんど何もさせてもらえず。大きく点差をつけられる。沢北の圧倒的なパフォーマンスに流川も歯が立たない。赤木は対河田意識過剰

  4. 再起
    赤木が魚住の泥にまみれろ、の一言で自分を取り戻す。流川は仙道や安西監督との会話を思い出して、パスも交えることで沢北と互角以上に渡っていく

  5. 上昇
    花道がリバウンドを取り巻くってチームにいいムードをもたらす。

  6. クライマックス
    俺は今なんだよ。流川にパス、そして流川が花道にパス、シュートを決める

  7. プラスα
    花道リハビリ、晴子マネジャーに。

見事にこの基本パターンに乗っかってくる。
この変化が大きければ大きいほど、面白いし、感動を呼びやすい。
人生も同じである。ずっと順調の人生よりも、山あり谷あり、その絶対値の大きい方が幸せなのではないだろうか。フラれても告白しないよりはマシ。

次に本書の重要な図である以下、CQ(外的・内的)、世界観、スタンス解説していく。

外的CQと内的CQ

CQの基本パターンは、自分(主体)が目的を達成できるか?である。
流川であれば、高校No.1プレーヤーになれるか、である。
2つ目のパターンとして、客体の目的を達成できるか?という場合もある。
宮城であれば、自分が活躍して湘北が勝つことで、彩子が笑ってくれるか。
三井であれば、同じく安西先生に恩返しができるか? であろう。

3つ目のパターンは、1つ目と似ているが、主体が障害を乗り越えられるか(課題を解決できるか)である。
沢北や河田、ピョン吉といった超高校級プレーヤーに勝てるか?と言えるかもしれない。

この3つのパターンは、マズローの5段階欲求説とつながっている。
下から、障害に打ち勝って生存する、次に他者を助けることで承認される、最後に自己実現。

外的CQは現実としてやるべきことであるのに対して、内的CQは自分が本当にやりたいことで、多くの場合は存在意義につながってくる。
三井であれば、外的CQは山王に勝つ、勝たせてやる、に対して、内的CQは、中学MVPであった自分を取り戻す、最後まで諦めてはいけない、と教えてくれ、それによって栄光を勝ち取った安西監督に、最後まで諦めないことで恩返しをしたい、といったことであろう。

外的CQは1−3年ごとに変わる。企業でいえば中期経営計画のようなものか。
内的CQは5−10年くらいで、企業でいえばミッション。

後の期待、共感と繋がるが、CQは切実であること、WHY?が大事。これには内的CQに向き合うこと。

これらのさらに土台となるのが、世界観スタンスである。
世界観:何を善とし、理想とするか。自分にとっての世界の意味であり、人生の指針。企業で言えばビジョン
スタンス:企業で言えばバリュー。目標に向き合う姿勢。世界観を具現化するための選択肢の1つ。
三井で言えば、区別は難しいが、世界観は絶対に諦めないことでどんな敵にも勝機がある、スタンスはボロボロになっても三井寿の真骨頂スリーポイントシュートを決める、とかであろうか。

世界観とスタンス、内的CQ、外的CQが仕事でつながっている人は夢中になれているだろう。私も幸いその口である。ここでは端折るが、主体と客体以外にいろんな人生の登場人物がいる。敵対者、協力者、援助者、犠牲者、いたずらもの。2023年は援助者が多く出てくる予感。

共感と感動

共感:感情の共有。相手と自分の内的CQが重なった時に起こる。夢中になっている姿が共感・応援を呼ぶ。周りに応援してもらえる人=本人も夢中になれている人。期待があるから共感が生まれる。そのためにCQは期待を呼ぶものである必要。
鬼滅でいえば、両親に認められたいと思っていた煉獄さんが、最期にお母さんに褒められて死んでいく。その過程のストーリーが共感を呼ぶ
特にボトムで何を味わって、そこからどう立ち直っていくか。

感動
:共感がベースにはあるが、共感より少し上から俯瞰したもの。あってほしいと思っていた世界と現実が重なることで起こる。

スラムダンクで言えば、認め合っていながらも仲が悪かった流川と桜木が協力しあって勝利を掴む、ブランクがあり、バスケ部をぶっ潰そうとした三井が復活してチームに貢献する、といった読者が望むことが現実となった。

必ずしも興奮や劇的な成功が必要ではなく、心の中でその人の価値観に関わるような重要な変化、矛盾・葛藤・抑圧などが解消されること、その瞬間。自分の生き方や世界観が変わるようなこと、自身の成長を感じることで生まれるもの。

感動と共感の違い:感動≠大きな共感
私たちは煉獄さんに共感し、煉獄さんが死ぬ時には感動した。

P.S. 映画 The first slam dank
主人公は宮城リョータで、スタンスやCQが原作でかなり描かれていた三井に対して、宮城は情報が少なかった。その生い立ちなど、内面に迫ってくれて、原作の理解がより深まる、素晴らしい試み。


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