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ミステリー短編小説「消えたダイヤモンド」

優雅なストラスブルク通りに面した、重厚なレンガ造りの建物が、その存在感を放っていた。そこはブルックス宝石店――パリの最も高級な宝石店の一つだ。通りには煌めくショーウィンドウが並び、その一つ一つには世界中から集められたダイヤモンド、エメラルド、そしてルビーが輝いていた。

しかし、その輝きの陰には深い闇が潜んでいた。
その日、ブルックス宝石店のオーナーであるヴィクター・ブルックスは、貴重なダイヤモンドが窃盗されたという知らせを受け、怒りと衝撃に包まれていた。

金庫の鍵を握っていたはずのブルックス自身も、その夜はいかなる者にも譲らない厳重な保管にも関わらず、そのダイヤモンドがいかなる手段で奪われたのか、理解できないままだった。一体、この事件の真相はどこにあるのか。それを探るべく、ブルックス宝石店の扉が、捜査官や探偵、そして好奇心旺盛な市民たちで溢れかえっていた。

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3,434字

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