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カンボジア産のラム酒を作る、 スタートアップ〈サマイ〉の舞台裏

2019年1月5日に出版の新著『CAMBODIA BOOK カンボジア観光ガイドブック 知られざる魅力』では、実はスペシャルインタビューとしてカンボジアで今もっともアツい酒造スタートアップSAMAI(サマイ)の創業者ふたりにインタビューしました。

以下、序文です。

今、カンボジア産の「ラム酒」が世界の注目を集めている。カンボジアのサトウキビから取れた原料を使って作られたカンボジア産ラム酒〈サマイ〉が、世界中の品評会で賞を総なめにしている。彼らは、今までの「質の悪いカンボジア製品」というイメージを覆し、カンボジアが世界に誇れるものを作ろうとしているのだ。ベネズエラ出身の創業者ふたりが語る〈サマイ〉の過去と現在、そして未来について。

ここまで突っ込んで彼らにインタビューした記事は、ハッキリ言って、日本語ではもちろんですが、英語の記事でも今までありません。一万文字を超える、超ロングインタビューとなっております。

以下、本文の一部を抜粋して紹介します。

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はじめにカンボジアに来た時は、ただの旅行だったんだ。その時、カンボジアが好きになっちゃったんだよね。

永田悠馬(以下、太文字):本日はどうもありがとうございます。おふたりはベネズエラ出身だとお聞きしていますが、カンボジアに来る以前は何をされてたのですか?そして、どうしてカンボジアに来ることになったのですか?

ダニエル:俺はベネズエラ出身で、地元の高校を卒業後、アメリカのコロンビア大学に進学した。そして、エンジニアとしての学位を大学で取得してから、太陽光発電の仕事で2009年に初めてカンボジアに来たのさ。大学の最終年に、授業の一環でカンボジアを拠点とするNGOの太陽光発電プロジェクトの設計を手がける機会があったのがきっかけで、大学を卒業後、俺は太陽光発電プロジェクトの現場監督として、そのNGOで働くことになった。当初は1ヶ月だけのはずで、そのプロジェクトが終わってから大学院に進むはずだった。だけど1ヶ月後、俺はカンボジアのことがとても気に入ってしまったんだ。カンボジアは、とても多くのチャンスにあふれている国だと感じた。当時のカンボジアは、まだ内戦からの復興の最中という時代だったから、やるべきことが多くあり、国の成長スピードはものすごく早かった。そして、俺はカンボジアという国が持つエネルギーとチャンスにあふれる雰囲気をとても気に入ったからカンボジアに住むことに決め、カンボジアの農村地域へ電気を供給するために、自分の太陽光発電の会社を立ち上げたんだ。

なるほどです。アントニオさんは、元々はどのようにしてカンボジアに来たのですか?

アントニオ:僕は上海に3年いて、そのあとシンガポール大学でMBAを取得するためにシンガポールに移住した。はじめにカンボジアに来た時は、ただの旅行だったんだ。その時、カンボジアが好きになっちゃったんだよね。そこからは、週末とか時間があるときにはいつでもカンボジアを訪れるようになった。そして、シンガポール大学を卒業した後、自分がどんな事業をやりたいかを考えた結果、カンボジアに移住するいいチャンスだと思ったんだ。これが、8年前のことだね。そして、カンボジアで立ち上げた僕の最初のプロジェクトが〈チャイニーズ・ハウス〉だった。その後、2009年には〈ボタニコ〉も作って、さらに〈バーシトー〉も立ち上げた。だから、僕はサマイをやり始めるまでに、3つのプロジェクトを持っていた。その後、その3つの店は全て売却して、今はサマイに注力しているってわけさ。

当時のカンボジアには何もなかったと想像しますが、それでもこの国に可能性を感じたのですね。

ダニエル:うん、約9年前かな。首都プノンペンは今とは全く様子が違って、この街が驚くべきスピードで変わっていくのを目の当たりにしたよ。もともと俺は、再生可能エネルギーを専門としていて、当時はカンボジア人口のおよそ6割が電気のない生活を送っていたから、この業界に大きなチャンスを感じたんだ。現在のカンボジアにもまだまだチャンスがあるけど、当時のカンボジアには、どの業界においてもチャンスがゴロゴロ転がっていたんだ。カンボジアという国は外資に対してとても寛容で、会社の所有や登記プロセスも簡単かつ早いよ。

俺たちはあることに気づいたんだ。カンボジアにはいたるところにサトウキビが育っているのに、誰もラムを作っていないってことにね。

そして、サマイはどのようにして始まったのですか?

ダニエル:どうやってサマイが始まったかと言うと、実は、アントニオと俺はベネズエラで同じ高校に通っていて、昔からお互いに知っていたのさ。

そうなんですか!同じクラスメートだったのですか?

ダニエル:そう、俺らはベネズエラの同じ高校に通っていた。クラスは違ったけど、まあ高校卒業後はしばらく連絡は取っていなかったのだけれど、なんと偶然にもカンボジアで再会したんだ。そしてもちろん、俺らはベネズエラ出身だから、上等な美味しいラムが飲みたくてたまらなかったんだけど、当時のカンボジアで美味しいラムを見つけることはとてもとても難しかった。もちろん安物はあったけど、味を楽しめる本当にいいラムはなかった。そんなある日、俺たちはベネズエラから持ってきたラムを飲んでいたんだ。そして何杯か飲んだあと、俺たちはあることに気づいたんだ。カンボジアにはいたるところにサトウキビが育っているのに、誰もラムを作っていないってことにね。これがファーストアイデアだった。その後も、そのことが頭の中にずっと引っかかっていて、マーケット調査したり、原材料について調べたりして、もっともっと詳しく調べていった。もちろん、俺らふたりともラムを飲んだことはあっても作った経験はなかったから、ラムそのものについても勉強した。そして、まず俺らはいくつかの小さな設備を購入して自分たちで試作してみることにしたんだ。そこからは早かった。たくさんの人が興味を持ってくれて、俺が作ったラムを気に入ってくれて、プロジェクトに関わりたいという投資家も現れて、それで俺らはこれはチャンスだと確信して、この事業をもっと本格的に進めていくことに決めたんだ。注文した設備が到着する頃には、すでに自分たちが思っていた以上のものになっちゃったよ。

アントニオ:サマイは、4年前にスタートした。当時はラムがなくて、けどサトウキビはいたるところにあって、僕らはベネズエラっていうラムのある国で生まれたから、この状況に少し驚いた。しかも、サトウキビから取れる、ラムの原材料である「モラセス」はすごくいい品質だった。だから、カンボジア初のラムを作るというミッションに取り掛かったんだ。

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こんにちは。ベトナムのホーチミンに住んでます。Pizza 4P'sというレストランのサステナビリティ担当です。