見出し画像

伝説の鬼になる方法

ベランダに干していた洗濯物が風に吹かれて全部どこかに飛んでいって消え去っていた。
そのことに気づいてベランダに出た瞬間また大きな風が吹き、そのとき着ていた服も下着も靴下も奪い去っていった。
僕は裸でその場に立ち尽くしました。
何て仕打ちなんだ。
どうやったら着ている服まで奪いされるんだ。
風のくせに。
偶然にもほどがある。
実はもうタンスの中に何も無い。
服を買いに行くのに着ていく服が無い。
このままだ。
ずっとこのまま裸だ。
死のう、もう死のう。
青空を見上げながらサラっとそう思いついた。
そのサラっとした感じが思った以上にサラサラだったのでベランダから飛び降るのもサラっとしたものでした。
しかしそこは二階。
落ちたところで地面にお尻をぶつけてジンジンとしただけで死ねない。
その場でうずくまりました。
夢も希望もほったらかしで。
そんな経験をした僕だから言える。
若者よ、なんとでもなる。
生きててよかったと思える日がきっと来る。
死ねばよかったと思える日も同時に来て足してゼロになる。

おわり


画像1


この記事が参加している募集

部活の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?