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タイムスリップの方法を思いついた

右目は現実が見えるのに左目は江戸時代が見える。
うどんを食べてる最中に突然思いついたタイムスリップの方法を中途半端に試した結果がこれだ。
「何事も中途半端はいけない」と中学3年のときの先生の言葉が身に沁みてわかった。
「あの先生どうしてるかな」とか思ってる今もフンドシ一丁で桶を運ぶ魚屋が左目の前を通り過ぎ、アイフォン片手にポケモンを探す子供が右目の前を通り過ぎた。
そのあと何度もタイムスリップを実行したけどどうしたわけか何も起きない。
一体どうすれば?
涙が令和2年と元禄7年の両時代で流れる。
死のう。
それしかもう思いつかない。
どうせなら江戸時代で死のう。
そんなわけで左側を軸に行動をし始めた。
右側のことはもう知らん。
「魚屋さん!その魚をさばく包丁を僕に貸してください!」
「おっと!…ん?一体どしたんでぇ!」と左側では魚屋さんに声をかけているけど右側ではヤンキーの集団が怪訝そうに俺を見つめている。
「誰が魚屋やねん、おお?」
ヤンキーの一人がこっちに向かってきた。
「魚屋さん早く!」
「いや、だから誰が魚屋やねん!」
「なんか思い詰めてるようだけど!生きてりゃいいことあるって!未来はきっと明るいぜ!」
魚屋が笑顔で俺の肩を叩いたと同時にヤンキーが殴りかかってきて僕はアスファルトと馬フンにキスをした。
「あっ!殿様」
左側からまさかの殿。
「どうしたでおじゃる?」
「死にてぇか!」
「いえ、この若者がいきなり馬フンに接吻を…」
「死ぬんです!」
「あっぱれ!」
「殿は気さくすぎです…」
「金を出せ」
「ウナギが逃げる!」
「ジャンプしてみろ」
「切腹さして!」
「おぬし、わらわの下で働いてみぬか?」
「殿!」
「馬鹿野郎!」
「ウナギ食うか?」
もうどうしようもない。

おわり

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