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緊急更新 陰謀論や神真都Qによる家庭内被害の現状と対応

著者/ケイヒロ (Kヒロ+ハラオカヒサ:プロジェクト)

変更・追加/2022.4.17 23:23 対応の基本に追記

いま何が起こっているのか

2022年3月から4月にかけてワクチン接種会場やクリニックへのカルト的な陰謀論集団『神真都Q(ヤマトキュー)』の実力行使が頻発し、その後逮捕および警視庁公安部による家宅捜索にまで発展した。

こうしたできごとの直後から筆者(およびプロジェクト)に神真都Q構成員や陰謀論者の家族から相談や報告が相次いでいる。ことに4月16日から17日にかけてメールの着信がひきも切らない状態になっている。

相談や報告が届くのはnoteや他の媒体への寄稿で陰謀論者との共存について説明している影響があるものとみられ、これまでに関わった元陰謀論者からの紹介分も含まれている。

神真都Q逮捕以前との違いは件数だけでなく、いままで耐えてきた方々からの深刻さが増した事例ばかりが届くことだ。陰謀論に陥って家族を圧迫しているのは男女を問わず、被害を受けているのは成人だけではなく未成年や小児も含まれている。

家庭内の陰謀論者はただの変な人ややっかいな人を通り越し、言葉だけでなく腕力の暴力を振るう者がいるほか、家庭や仕事を放り出して陰謀論仲間とつるむなどして、他の家族が別居のみならず離婚を考えざるをえなくなったり、なかには耐えきれず自死しか残された道がないかのように追い詰められている人もいた。

これらの被害は最近になって発生したのではなく、半年以上前から続いている例が多い。2021年の夏から秋にかけてワクチンの接種が加速したが、あの頃から続いていると考えると理解しやすいだろう。

しばしば陰謀論、神真都Qと口に出すだけでキワモノの扱いを受け、陰謀論者や構成員をバカにすることで情報が消費される傾向があるが、これはオウム真理教をイロモノ扱いしてナメてかかっていた人々の態度とまったく同じだ。

陰謀論者、神真都Q、偏った情報を信じ込んでいる陰謀論者的な反ワクチン派といった人々が家庭内に及ぼす影響は看過できないまでになっている。つまり各家庭で対応するだけでなく、社会が理解への第一歩を踏み出さなければ手遅れになるところまできている。なお当記事ではオウム真理教と神真都Qの本質的な違いについてなど、陰謀論そのものについての説明は割愛する。


対応の基本

まず被害を受けている家族が取るべき行動の基本を紹介して、事例については後ほど紹介する。

1.公的機関を利用する

多くの被害家族が同じ体験をした他の家族と話をしたいと願うが、現段階ではアルコール中毒者や薬物中毒者の会のごときものは陰謀論にはない。過去にネット掲示板にカルト的な集団の被害を受けた人たちのスレッドがつくられたことがあったが、別のカルトやビジネスへの勧誘による二次被害が懸念される状況になり、参加者が愚痴を吐き出すことでますます重苦しい内容になっていた。

被害家族は公的機関をいかに利用するかを真っ先に考えるべきだ。

・未成年者の窓口

もし、あなたが18歳以未満(17歳まで)で、親からの暴力、言葉の暴力、性的な暴力、いくらお願いしてもワクチンを接種させてもらえないなど虐待されているなら児童相談所に電話をしましょう。児童相談所の電話番号は全国どこでも「189」です。

また、こうした事例を知っている親族外の人からも児童相談所は通告を受け付けています。通告や相談は匿名でも可能で、実名であっても秘密は守られます。
児童相談所に携帯電話から電話をかけるとオペレーターが出ます。オペレーターに住んでいる場所を伝えて家がある地域の児童相談所に転送してもらいます。固定電話からかけた場合は自動的に転送されますが、まれに電話をかけている場所がわからない場合だけ音声が流れるので指示に従って住んでいる場所を入力します。

児童相談所にはもうひとつ別の電話番号があります。「0120-189-783」は虐待だけでなく幅広い内容に対応してくれる相談用の電話番号です。虐待とまで言えない場合はこちらがよいかもしれません。本人や親族以外からの相談も可能です。
また文科省が運営している窓口に「24時間子供SOSダイヤル」があります全国どこからでも、夜間・休日を含めて、いつでもあなたのSOSをより簡単に相談することができます。電話番号は「0120-0-78310」です。24時間子供SOSダイヤルは基本的に電話をかけた地域の教育委員会の相談機関につながります。

こうして担当者が電話に出たら相談をしてください。どの窓口でも、なかなかあなたの言い分を理解してもらえないかもしれません。なぜなら「陰謀論とは何か」「どれくらい困ることなのか」が世の中にまだ知られていないのです。でも、できるかぎり「どのようなことで困っているのか」を落ち着いて話をしてみてください。電話をかける前に言いたいことを整理してメモにしておくとよいと思います。

・精神疾患が疑われる場合

陰謀論者や反ワクチン派の家族が、精神疾患や若年性の認知症ではないかと疑うくらい病的に感じられるかもしれません。(認知症には物忘れだけでなく妄想や幻覚などの症状もあります)

これまで相談されたり報告を受けたケースのうち、とくに若い世代に「親が精神の病気になってしまった」と心配する声が多く事態の深刻さがうかがえます。またスマートフォンやネット上の動画サイトへの依存症かと思われる場合もあります。
精神疾患も認知症も依存症も、素人が軽々しく決めつけるわけにはいきません。しかし、何もしなければあなたの不安は消えず、ほんとうに精神の病気だったなら治療のタイミングが遅れてしまいます。

このような場合は全国精神保健福祉センター保健所のどちらかに相談をしましょう。

全国精神保健福祉センターの連絡先が次のリンク先で調べられます。


最寄りの保健所の連絡先が次のリンク先で調べられます。

どちらも専門家が相談にのってくれます。専門家とは精神保健福祉士、臨床心理士・公認心理師、保健師、看護師などの方々です。「どのように相談したらよいかわからない」と思いますが、ありのままを相手に告げられれば十分です。
電話のあとで対面での相談や、訪問相談などに移行する場合もあります。

・体への暴力や心への暴力

もし怪我をしたり命の危険を感じたら迷わず110番に電話をして助けを求めてください。状況がDV(ドメスティック・バイオレンス/配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる肉体的・精神的暴力)であるなら、内閣府が主体となっているDVプラスから相談します。電話とメールは24時間受付、チャット相談は12:00〜22:00の間に行われ、電話番号は0120-279-889です。また「DV相談ナビ」という別サービス(電話番号は#8008)は最寄りの配偶者暴力支援センターにつながります。

 DV相談プラスについての情報とさまざまな連絡方法などが次のリンク先で調べられます。


【追記】これらの公的機関に相談しようと決めた段階で心の整理がはじまり、相談するための準備をして、実際にアクションを起こすことでかなり心の整理が進む。もしそれぞれの相談先で思うような進捗が得られなかったら、そのときは次の方法を考えればよいだろう。結果がどちらに転ぼうとも、自分の心だけでなく状況も格段と変化するだろう。


2.あなたがやるべきこと

前述した相談先のうちどれを選ぶか、選んだうえでどうするかについて説明する。

あなたは陰謀論者の家族をどうしたいのか、どうすることで自分とお子さんなど大切な人を守れるか設計図を描く必要がある。

それは[治療する][冷却期間を設ける][離婚や長期の避難]のうちいずれかを見極め選択するところからはじまる。大切なのは自分と大切な人の人生を第一に考えることだ。あなたが傷ついて疲れ果ててしまっては、誰一人として救えないのである。

1.精神疾患や若年性認知症を疑う
心が不調だから陰謀論にはまってしまうのか、陰謀論にはまって心の病気になるのか、いずれにしても陰謀論者で精神疾患を疑わざるを得ない人がかなりいる。筆者が扱った例では、医師に統合失調症と診断され治療したことで快癒して陰謀論と縁が切れた人がいる。

精神疾患や若年性認知症を素人が勝手に診断できないが──

統合失調症についての知識については以下のサイトが参考になる。

認知症についての知識については以下のサイトが参考になる。

精神疾患や若年性認知症が疑われた場合、最大の難関は当事者に診察を受けさせることだ。陰謀論についてさえコントロールできなくなっている大人を病院に連れて行ったり、全国精神保健福祉センターや保健所から家庭を訪問してくれた専門家の前に座らせるのはとても難しい。

だが当事者は無理でも、相談者に有益な助言があるはずだから可能性を断念する必要はない。

もし定期検診やかかりつけ医のもとへ当事者が自ら足を向けるようなら、先回りして医師に事情を伝え精神的な病気の検査や診察へ誘導してもらう手もある。これは認知症の検査をいやがる人に使われる方法だ。

2.許せない基準と避難場所

[治療する][冷却期間を設ける][離婚や長期の避難]のいずれを選択しても問題が解決するまですっきりしない日常が続く。この間に暴言、暴力、困った行動が続きあなたは苦しみを味合うだろう。

あなたは「このような言葉、態度、症状の悪化があったら『許さない』」という明確な基準をつくっておく必要がある。この基準以上のできごとにあなたはいっさい耐える必要はないのだ。耐えてしまうから、心を病んで共倒れになると自覚しなければならない。

基準を超えたとき自分と大切な家族で避難できる場所をつくる必要がある。それは自宅の部屋でもよいだろうが、同じ屋根の下にいることに耐えられないかもしれない。公園などに避難してもよいが雨の日、深夜などに不適だし数時間から数日も避難できる場所ではない。

DV相談プラスへの相談を勧めたのは避難場所の提案をしてくれるからだ。

3.準備

[治療する][冷却期間を設ける][離婚や長期の避難]のいずれを選択しても、公的機関をからめて問題解決にあたらなくてはならない。公的機関は無料で相談に乗ってくれるだけでなく経験豊富な専門家を配置している。おかしなビジネスなどに誘導されることがない。さらに大きな問題が発生したとき警察や裁判などであなたの立場が有利になる。

そのうえで目的に向けて具体的な計画を立てる必要がある。治療ならスケジュールや通院について、離婚なら財産分与や新たな住まいなどをあらかじめ考えておかなければならない。


事例

以下の例に、ここまでに示した基本的な対応を説明し、それぞれの問題についてアドバイスを行った。このほかさまざまな報告があった。

●妻が陰謀論者になって、他の家族との距離が広がると粗暴になった。今年に入ってからは集団の仲間の家を転々とする外泊があり、自宅にいるときもネットやYouTubeに集中してスマホを手放すことがない。子供の教育や家庭の運営について相談しなければならないことがあっても会話が成立せず、陰謀論をもとにしたおかしな要求をされる。子供の教育をめちゃくちゃにしかねないことを言って、仲間のところに連れて行くと主張したため厳しく注意すると暴力がエスカレートした。神真都Qは逮捕されたが、外で妻が何をやっているかまったくわからない。

●夫が一日中、陰謀論仲間と連絡を取り合ったりして出勤しなくなった。たぶん会社を解雇されたか辞めたのだと思う。現在は私の収入でやりくりしているが、夫の口座から引き落とされている家賃や光熱費がこれからどうなるのかわからないし、この話をすると「もっとだいじなことをしている」と怒鳴って話にならない。離婚を考えているが、夫が同意してくれるとは思えない。精神的に耐えられず、いつ死ぬか、どうやって死ぬかしか考えられない。

●義理の父母と同居しているが、二人が反ワクチン陰謀論のチラシをポスティングしたり小学生に配ったりしているのがバレてしまった。都会なら違うかもしれないが地方なので、表向きは何気なくても裏で狂った家族と知れ渡ってしまっただろう。いままでも接種券を捨てられるなど苦労があったが、義母は病院の前に停められていた自転車を蹴飛ばして倒してきたとか、年寄りだから刑務所に入るのは怖くないと物騒な発言をしていて泣きたくなる。そんなことをされたら私たちも巻き添えをくらう。ついに夫は自分たちが離婚して、おまえだけでも楽になれと言いはじめた。

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・筆者およびプロジェクトへの連絡は以下のリンクからお願いします。

・案件の対応はKヒロとハラオカヒサいずれかが行い秘密を厳守します。記事への引用は事前に可否を伺ったうえで行い証言者保護を第一に考えます。

・ご依頼等も上掲の「お問合せ|note」からお願いします。被害者の紹介は、当人の了解がなくては行えません。第三者への紹介を認めている方は少数であることをご理解ください。


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