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原発事故と宗教 あのとき何をしたのか何ができたのか


はじめに

 今回の記事は、原発事故と宗教の関係を考えるための出発点です。未開拓の分野へようこそ。
 宗教者が原発事故の後に被災当事者を不安に陥れたり、差別的な言動をしたのではないか。過日X(Twitter)上で、このように問われるできごとがありました。
 例として挙げられたのは、被災地の子供たちが被曝して死んでいくとした「葬列デモ」です。2011年9月1日および10月18日に行われた葬列デモには、棺を提げ持つ喪服姿の男女とともに、布衣をまとった日蓮宗の僧が登場しました。

葬列デモの様子

 仏教の僧侶が行なったものとしては、脱原発経産省前テントひろばを使い、原発再稼動と安保法制の反対をテーマとして呪殺祈祷会を催した呪殺祈祷僧団四十七士の例もあります。同集団を率いたのは日蓮宗の僧で劇作家の上杉清文ですが、日蓮宗からは同宗門の教義、法式とは一切関係がないと声明が出されています。

https://www.nichiren.or.jp/information/shuumuin/20150901-2875/

 キリスト教系団体も例外ではありません。原発事故の被害を過大に見積もったうえでの現実に即していない声明は、風評加害の一因になりました。

共感を呼んだ仏僧と記憶に残らなかった活動

 2011年4月1日に岩手県宮古市から宮城県石巻市まで2週間、150kmの距離を読経しながら歩いた仏僧がいた。禅宗別格本山石雲禅寺の小原宗鑑副住職だ。

禅宗別格本山石雲禅寺小原宗鑑副住職

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