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【お笑いパロディイラスト】メイキング〜チェンソーマン編〜

お笑いライブのフライヤーデザインやイラストを描くことを生業とさせて頂いております。mosと申します。

今回はお笑いライブ「若気の至りの5月分フライヤーのメイキングをしてみたいと思います。
なんとなくこんな風に毎月描いていますよということをご紹介できれば幸いです。

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↑このフライヤーがどう作られていったのかを説明して行きます。
もし良ければお付き合いください。


今回は大人気作品「チェンソーマン」をパロディさせていただきました。リンクから1話読めます。とっても面白いので是非読んでみてほしいです。

描かせていただいている芸人さんはレッドブルつばささん、竹内ズがまの助さん、竹内ズ竹内さんです。面白芸人さんなので是非、お見知り置きください。


①ロゴ作り

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まずはロゴ作りから始めます。制作ソフトはクリップスタジオです。
元ネタ様のロゴをよく観察して、1番似てるなと思う既存フォントを使います。大体明朝体かゴシック体を軸にします。

今回は四角くウェイトの重いフォントなのでチェックポイント★リベンジを使用します。癖が強いですが、使いやすい大好きなフォントです。

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指定があったりしない限りは、「1巻」か「1番有名な表紙」の色味を拝借します。今回は1巻!

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画像を保存しスポイトツールで色を見ますがそれよりも明るい色にすることが多いです。その方がTwitter等で流れてきた時に目立つから…と思っていますが実際どうなんでしょう。明るく鮮やかな色の方が個人的には視覚で捉えやすいので、できるだけそうしています。



②ロゴの仕上げと背景


チェンソーマンのロゴは太さが一定で、形もカクカクとしています。
「チェックポイント★リベンジ」のままだと線の太さもまばらですし、形も丸っこすぎます。なので上から直線ツールで描き足していきます。

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ベクター形式にして線幅を変えて制御点を整えて…みたいな作成方法はしないです。上からラスターレイヤーでイラストとして描いてしまった方が早いので、自分はイラストメインの場合この方法を取ります。
ロゴメインだったり、入り組んだロゴの場合はちゃんとやります。…たまに。


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いい感じになったと思うので、ロゴの上に古紙テクスチャを貼り付けました。

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細かいところも再現します。このあたりのディテール詰めていかないと、なんだかチープに見えてしまうので…

自分はできるだけスピードを出すため、絵を描く範囲を極力減らします。
なので、キャラの前にくる飛沫やライブ情報などもここで入れてしまいます。
キャラの後ろで隠れそうな背景も描きません。

③イラスト下書き

原作絵と芸人さんのお写真、両方を見ながらイラストを描いていきます。
パロディ元の絵柄の特徴を頭に叩き込んでおかないと、芸人さんの顔を似せようという意識ばかりにひっぱられ、どんどんパロ元に似なくなっていくのでここが1番集中しています。

誰をどのキャラにするか、などは指定がある場合が多いですが今回は完全にお任せいただいたので表情や顔の造形などで選びました。

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主線(黒い線)がある絵の場合はここから清書に移るのですが、最近のチェンソーマンは主線のない厚塗りのような絵を描かれているのでそれに倣い、主線が残らない絵で進めていくことにしました。

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慣れてないだけだと思いますが、厚塗りの方が個人的には時間がかかります。ここまでの所要時間は約1時間半ほどです。

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アタリをとったりはあまりしません。トレースもしません。元の絵柄を自分に落とし込んで描きこんでいきます。
構図やポージングもパロ元に合わせて描きます。人数が多いと集合絵があまりなかったりするのでオリジナルの構図になることもしばしば。

④色塗り


絵が描けたので、ここからは大まかに色を塗り、影もざっくりつけていきます。
チェンソーマンは彩度が低いことが多く、その場合「白」を使わない印象があるので全体的に暗い色で統一しました。

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真ん中にいるキャラはフルカラー、後ろにいるキャラはフィルターがかかったように色味が違う、という塗りの特徴があるので
後ろ2人は青っぽく/茶色っぽく塗っておきました。

大きめのブラシで大胆に「ここは影」だと思う部分を塗っていきます。光源は意識します。
後から細かい部分は直していけるのでとにかく勢いで塗ります。
肌の部分だけ、影とそうで無い部分の境目に濃い色の境界線を引いているのが特徴的だったので、そこはマストで描きます。

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この部分のことです。
これだけでもう結構それっぽい気がします。

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⑤主線を馴染ませる

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一旦ロゴを非表示。
キャラクターの主線と、大まかに塗った色をくっつけちゃいます。
今までは主線なら主線だけ、色部分なら色部分だけを別で消したり描いたりできましたが、ここからは全部一緒くたです。

黒い線をとにかく消します。

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消しゴムは使わず、上から黒以外の色で塗り潰して消すという方法をとります。厚塗りというやつです。
これをやりつつ、輪郭を整えたり、いらない部分を塗りつぶして消したり、表情を修正したりします。影も描きたします。チェンソーマンぽくなってきました。

個人的に髪の塗り方は癖が強く出る部分かと思っています。
藤本タツキ先生は三日月型に髪を塗っていますね。髪の流れがくどくなく綺麗に表現されていて素敵です。できるだけ真似して塗ります。

後ろ2人の色味も調整しました。とにかく馴染ませるがモットーです。

⑥もっと色塗り

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だいぶ完成に近づいてきました!
気を抜くと絵柄がブレてしまうので、常に作業する傍に元ネタ様の参考画像を表示させています。
眼鏡を描くぞ!と思い一旦取り掛かりましたが違和感があり、原作絵を見返し描き直し、目元も描き直し。
納得いくまで繰り返します。

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チェンソーマンにはつり目キャラも眼鏡キャラも多くないのでなかなか難しかったです。パロディ元にもご本人にも似ていないと意味がないので。

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そんなこんなで色塗りは完了です。
あとは仕上げ!

⑦仕上げ

さっき説明し忘れていましたが、ロゴをキャラより後ろに配置したり前に出したりすることで一気に奥行きが出て情報量が増えます。

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漫画の表紙のみならず、様々なデザインで使用される手法ですね。

このまま完成でもいいかなと思ったのですが、また改めてパロ元であるチェンソーマンの表紙を観察していると「色ムラ」があることに気がつきました。

紙に描いたことによる質感のムラだったり、着色した際の塗りムラだったり、色ムラの種類はたくさんありますが今回は水彩ムラに近いように感じたので水彩テクスチャを最後に貼ります。
パッと見大差ないように見えるかもしれませんが質感の違いは案外よくわかるもので、テクスチャを貼っていない方はなんだか“ぬるっ”としています。

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全体的にムラがあるわけではなく、髪と服にだけ色ムラが強く出ているように見えたので肌部分のテクスチャは削っています。

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いい感じにザラザラ感が出て、とっても良くなりました(当社比)。

もうバレているかと思いますが、自分はテクスチャをとにかく多用します。

いかに早く、自分に負担なく、でもいい感じにするにはどうするか
をもっと突き詰めていきたいです。


⑧完成!

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無事に完成でございます。よくできました。
所要時間は合計で7時間ほどだったかなと思います。(ぶっ通しではなく細切れに)

ここまで見ていただきありがとうございます。
こんな感じで毎月パロディイラストの方を頑張って描いています。
自分にも描けそう!と思っていただけたらとても嬉しいです。説明が下手で申し訳ないです。


余談ですが最近、パロディ・オマージュ・マッシュアップとパクりの違いについて聞かれることがありました。個人的には

「元ネタをリスペクトしていて、かつご本人や公式様・ファンの方に見られても良い(誰も不快にさせない)」

これが大きな違いなのかな?と考えていますが色々と解釈あると思うので一概には言えないです。上記3つの単語もそれぞれ意味合いが違ったりするので、自身も日々勉強で学んでいる最中でございます。

もっともっと早く上手く、フライヤー制作ができるよう精進して参りたいです。

パロディやオマージュを得意とされている方は沢山いるので、自分はどこで差別化を図っていくのかが大きな課題です。今のところ「依頼の手軽さ」と「芸人さんへの知識と愛」は頑張っていると思っています。

今後とも、若気の至り共々よろしくお願い致します。ご依頼もお待ちしています!

5月16日の「若気の至り」は、コーナー企画のみの無観客配信となりました。毎回即完大人気ライブの初配信ライブとなりますので是非ご覧ください!
詳細は若気の至りTwitterからご覧ください。



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