「今いるメンバーの皆さんに、問題を解決して乗り越えていってもらいたい」Songmuさんが技術顧問としてMOSHにジョインしてくれた理由
MOSHは「情熱がめぐる経済をつくる」というミッションのもと、誰もが自己実現できる社会を目指して、個人の持つ特技・スキル・情熱をサービスとして価値に転換する「ネットでサービスが売れるMOSH」 を提供しています。
この秋、開発チームのアドバイザーとしてMOSHの外部顧問に就任した“Songmuさん”こと松木雅幸に、MOSH CTOの村井亮介を交え、就任の経緯から今後の展望について、詳しく話を聞きました。
MOSH新顧問、ソンムーさんはこんな人
ーーまずはSongmuさん、自己紹介をお願いします!
Songmu:
MOSH開発チームのアドバイザーとして参加しました。Songmuです。名字の「松木」の中国語のピンインが「Songmu(ソンムー)」でして、中国語がすごく好きだったので、昔からそれをハンドルネームにしてます。
エンジニアとしてはかれこれ20年くらい活動してきました。英会話学校に勤めていた時代もあるし、金融、物流、ゲーム、SaaS、IoT…なんでもやってきたって感じです。現在は、医療系のシステム開発をしている株式会社ヘンリーでVPoEをやっています。
経歴で言うと、ISUCONで過去3回優勝したり、『みんなのGo言語』っていうプログラミングの本を共著で出版したりもしています。
ーーSongmuさんは、ISUCONとOSS(Open Source Software)にものすごく強い、スペシャリストという印象です。
Songmu:
実は自分では、器用貧乏だなって思うところがあって。僕は、チームでプロダクトを開発することが一番好きなんですけど、プロダクトの価値を継続してクライアントに届けるには、持続性あるビジネスモデルを考えることが必要で。
そうすると、活動がいろんなことに広範囲に広がっていくわけで。だから、「スペシャリスト」という感じではないのかな、と。
ーーえっ! 意外です。
Songmu:
そうなんです。自分はこれだ!って、一番に語れるものはない(笑)。
じゃあ、自分の強みは何か?と考えた時、「発信力」と、ある程度の「技術力」を持っている人は他にはいないと思えました。
今はOSSの活動、ブログやX(旧Twitter)の発信をもっといかしていきたいと思っているところです。
僕は、OSSのコミュニティで育ててもらった感覚がすごくあるんです。コミュニティを通じて、人や組織が好きになった。
そんなのもあって、今は会社でもエンジニアとしても、組織の開発や採用に関わっています。
ーー技術と発信、そして人、ですか?
Songmu:
人との関わりで生まれる“エモさ”というか…みんなを引っ張っていくメッセージを伝える役割が自分にはあるのかな、と思ってます。
もともとは、ハッカー的な人への憧れがあってこの業界に入ってきてますからね。際立った技術みたいな尖ったところは大事にしつつも、自分の強みはそれだけじゃないな、と。
まぁ、エンジニアとして生き残るためにも、そんなふうに活動している、という感じです。
ーー“エモさ”ですか、なんか、いいですね。せっかくなんで、村井さんも自己紹介をお願いします!
村井:
Songmuさんにスペシャリティがないと言われてしまうと僕がスペシャリティあるとは言えないんですが(笑)
MOSHのCTO、村井です。e-learningの会社のソフトエンジニアからキャリアが始まって、その後Rettyというグルメサービスのアプリを開発していました。Rettyではアプリだけでなく、Webや海外展開もやっていました。
MOSHを立ち上げてからは、技術開発はもちろん、経営のこと、ファイナンス、チーム運営…いろいろやってはきているんですが、すべて「我流」というか。
目の前に出てきたものを一生懸命、頑張って、我流でなんとかして。我流はいけないと思いながらも学ばず、皆さんに支えてもらいながらやっている感じ。
先ほどソンムーさんが、技術的バックボーンの上でいろいろやってるという話をされてましたけど、そこが、僕には欠けている。
あらゆる現象についてはそれなりにキャッチしてきている自負があるのですが、苦手なんですよ。「ちゃんと」学ぶということが。
Songmu:
村井さんの「我流」でやってきたっていうところ、僕と近い部分があると思います。
僕はもともとコンピューターサイエンスをやってたわけじゃないし、やっぱり目の前の課題を解決しながら学んできたところはあります。
ちょっと違うところがあるとすると、僕は自然と、「コミュニティに問う」みたいなことをしてきたところですかね。
コミュニティに発信することで、「それはいいよ」とか「あんまり良くないよ」とか、「こうしたほうがいい」みたいなフィードバックを得られた。
コミュニティのおかげで、自分のスキルセットがガラパゴス化せずに済んだかな、と思ってます。
ーー「コミュニティに問う」ですか! 「我流」とは対極かもしれないですね。
Songmu:
そうですね。我流でやってたものをコミュニティに発信していったら、世の中のトレンドとのすり合わせができていた、と思います。
なぜSongmuさんは顧問を引き受けたのか
ーーSongmuさんと村井さんの“馴れ初め”について聞かせてください。
村井:
僕からSongmuさんにX(旧Twitter)で連絡させていただいたのが始まりでした。
僕からするとSongmuさんは、“影響力のある著名な方”っていうイメージ。第一印象はですね……ぶっちゃけ怖くて、怒られたらどうしよう!みたいな。厳格なオーラを感じて、ビクついてたんですけど(笑)。
いざ話させていただくと、すごく真摯に深掘りして僕の話を聞いてくださって。めちゃくちゃ安心して、なにか背中を押していただいたような感覚がありました。
Songmu:
“技術力あるエンジニア”って、なんとなく怖いですよね。身構えちゃう、みたいな。僕も誰かにそう思ってしまうことはあるし、思われる立場になることもある。
僕も結構、ズバッと言っちゃうところがあって、怖がられることもあるのだろうなと感じるので、気をつけるようになりました。
村井さんのように、DMから連絡をいただくことはよくあります。でも見ないことも多いんです。
ただ村井さんは、MOSHの状況を丁寧に書いていて、困っていることをさらけ出しちゃってる感じが、印象良かったんですよ。
この人となら、ちゃんと腹を割ってコミュニケーションが取れそうだな、と思ったし、なんだか面白そうだな、とも感じました。
あと、ネット上の記事で見た村井さんの経歴にシンパシーを感じた部分もあって。僕も村井さんと同じで、自分の方向性を定めるのに時間がかかっていて、フラフラしてた時期が長かった。
昔は、「最低限のお金を稼いで趣味に生きればいい」って思ってたんですけど、エンジニア的なことをやり始めてから、自分のキャリアが回り始めた感じがあるんですよね。
僕には、大事にしている岡本太郎の言葉があって。
情熱があって何かを始める人なんて少なくて、何気なく始めたことに無意識のうちにのめり込んで、そこから情熱が生まれる…みたいな言葉なんですけど。
MOSHが、「情熱がめぐる経済をつくる」というミッションを掲げているのも、すごくいいなと思いましたし、村井さん…つまり以前の僕みたいな人が、情熱を掲げたスタートアップ企業にいらっしゃるのもいいな、と思いました。
村井:
岡本太郎の話、まさにそうなんですよね!
MOSHは、(CEOの)籔くんが「やるで」みたいな感じでふわっと始まって。掲げるミッションの言葉もなかった。でも、やっていく中で、出会う人たちや課題に向き合っていくうちに、気がつけばのめり込んでいた。
Songmuさんにそういうところを見抜いていただいたというか、共感していただけたのはすごく嬉しいですね。
もしかしたら、Songmuさんへ顧問のオファーに至った経緯も似てるかもしれないです。
お話をさせてもらう中で、Songmuさん自身が、技術向上や組織運営について日々悩みながら立ち向かっていらっしゃるのを感じまして。めちゃくちゃ尊敬しましたし、もっとお付き合いいただきたい、って思ったんです。
Songmu:
技術顧問的な経験をあまりオープンにはしていなかったんですけど、僕を見つけて必要としてくれたのが、まず嬉しかったですよね。
そこから食事とかも行かせていただきましたが、籔さんと村井さんが仲良くやってるのも印象的でした。スタートアップ企業は特に、経営陣の関係性が大事。そこが円滑であれば、僕は技術顧問としてやるべきことに集中できる。
それと、もしも僕がどこかの企業を手伝うとしたら、若くて勢いがあるスタートアップで、ビジネスに見込みがあって、僕が経験してきたことがない領域で事業をしているところがいいな、と思っていました。
MOSHは僕が経験したことのなかったCtoC領域ですし、面白い事業をやっていて、将来的な発展性も感じられて興味を持ちました。
僕自身、対外的な部分など個人クリエイターとしての側面もあると思っていますし、妻がMOSHの名前を知っていたのもきっかけになりましたね。
あと、僕が存じ上げているトレーナーの久野圭一さんもMOSHを使っているというのも。
そういう、自分ごと化のし易さもいいなと思って、オファーを受けさせてもらいました。
ーーSongmuさんにとって、MOSHの事業はどう見えました?
Songmu:
CtoCのサービスは僕自身、あまり経験したことがないので、どれくらい可能性があるのか、みたいなところは正直言って分からない部分もありました。
でも、MOSHはやりたいことが明確になっていて、ユーザーもちゃんとついているのがいいですよね。
村井:
MOSHを使っていただいているクリエイターさんのユニークさ、彼らがこれからの時代のコンテンツプロバイダーになっていくだろうという話は、かなりアピールさせてもらいましたね。
MOSHと関わってる人たちは面白いよ!ということは、他でもよく言わせていただいているんですが、Songmuさんにも伝わった、っていうことですよね。
久野さんの名前でMOSHにピンと来てくださったんだから。もう、「久野さん、様様〜」な(笑)。
結構いろんなところでクリエイターの方にはお世話になってるんですよ。
以前は、採用時の面談で見極めをする際に、クリエイターさんに入っていただいたりしてました。
投資を検討されているVC(Venture Capital)の方に、クリエイターさんと会ってもらうこともありますし。
MOSHが出資に値するかどうか、実際に使っている人はどう思っているのかを確かめてもらうために、クリエイターさんに会っていただく機会を設けています。
もう、あの手この手でクリエイターさんにご協力いただいている感じではあります。
Songmu:
そういう巻き込み力がめっちゃいいですね。
スタートアップの人って、自分のビジョンが強いぶん、外部の力を頼るのが苦手な経営者が多いのかな?と思ってたんですけど。VCの方やクリエイターの方を巻き込んだ動きができているのは、すごくいいことだと思いました。
それって、関わる方たちと視点の共有がされてないと、なかなかできてないことだと思うんですよね。すごいことです。
村井:
ありがとうございます。そこは大事なカルチャーとして継承していきたいと思います。
Songmuさんから見たMOSHとキャリア
ーー改めてMOSHのおもしろさや難しさってどんなところに感じますか?
Songmu:
まず繰り返しになりますが、ビジネスがしっかりしている、形になってきているというところですかね。
その中で技術的に追いついていないところは当然あることが見えてきているのが現在地なわけですが。
ただ課題を乗り越えるのって得がたい経験じゃないですか。
そこを乗りこなしてこそ、技術者としてのおもしろさや成長機会でもあると思うし、そういったチケットを手に入れられるってなかなか無いと思うんですよね。
なので技術者が関わる上でとても良いフェーズにいるなと思います。
その環境下で、目下でいうと技術的な負債だったり、監視が足りていないというお話は伺っているので、僕がMOSHでお手伝いできることがあると思っています。
今いるメンバーの皆さんに、問題を解決して乗り越えていってもらいたいと思ってるんです。今いるメンバーで乗り越えてもらうためのサポートをしていきたいです。
ーーフェーズのおもしろさやそこに関わるキャリア的な意義みたいな話って村井さんと日々話していることとすごく近いものを感じます!
Songmu:
事業がうまくいくかはどうかは分からないですが、飛び込んでチャレンジできるかに成長の鍵があって、試行錯誤を繰り返すことがシニアなエンジニアへの道筋だと思います。一回トライしてみてやっと分かることも多いので。
良い環境で完璧なアーキテクチャで..というようなのを求めがちなジュニアのエンジニアもいると思うのですが、そもそも与えられた好環境なんてなかなか無いし、そこに価値を見出すのはあまり好んでいなくて。
ーー「与えられた好環境はない」というのは、村井さんからは絶対言えないですね(笑)
Songmu:
そうですね(笑)やっぱ自分たちで作っていくのが楽しいし、ソフトウェアなんて、今は完璧だと思っていても当然変化していくものなので、そこに適応していく、変化していくことにおもしろさを見出していくことが大事なことなのかなと思います。
村井:
得難い機会ではあるのですが、僕が負債生み出している本人だったりもするので自分からは言いにくさはありましたねw
負債に向き合うだけじゃなくて、ユーザーさんのニーズの変化や技術トレンドの変化によって、技術スタックはどんどん変わるし、アーキテクチャもアップデートしていかないといけないと思っています。
例えば、今はメジャーな技術であっても潮流が変わることとかは普通にあると思っていて。それが起きた時にある種、衣変えくらい感じで適応していけるくらいの身軽さ。それを経験してきて「そういうもんだよね」と思える屈強な方や、そういうものなんだと学びに変えていける若手が入り混じった組織にしたいですね。
SongmuさんとMOSHの今、そしてこれから
ーーSongmuさんは今、MOSHで具体的に何をされているんですか?
Songmu:
今はMOSHの皆さんと、1on1のミーティングですとかディスカッションベースでいろいろお話をさせてもらってるところですね。
あとは「監視」を整えたいという相談や、輪読会開催の提案があったので、協力していく予定です。
ーー就任されて2ヶ月弱が過ぎましたが、実際に関わってみて感じたことはありますか?
Songmu:
皆さんやっぱり忙しそうですよね。もうちょっと僕から踏み込んでコミュニケーションを取った方がいいかなと思っているところです。
情報共有やドキュメンテーションもしっかりやられているし、情熱を大事にたカルチャーのもと、メンバーのモチベーションも高いですよね。結局モチベーションみたいな部分が技術的負債などに打ち勝つ部分があると思っているのでそこは良いなと思います。
あとはやっぱり、技術開発組織としての課題があるとは思っています。村井さんも忙しくて、権限移譲できていないところがかなりあるんだろうな、と感じてます。
村井:
まさにおっしゃる通りで。
今まではトップのクリエイターさんにMOSHを使っていただいて、それをセールスが牽引している感じなんですけれど。より一層スケールアップしていかないといけないフェーズに来ていて。
クリエイターさんたちのインサイトをちゃんとサービスに反映して、そこでさらに使われていく状態を作っていかないといけない。
…ということを見据えたときに、やっぱりプロダクトの作り方が結構変わると思っていて。今後はより一層toC的な探索を行っていかなくてはいけない。
プロダクトを改善するのに、僕があれこれ指示を出したり意思決定をしたりしていたのでは、限界がある。というか、すでに限界は超えているんですよね、多分。
Songmu:
うんうん。
村井:
これからは、トップダウンではなく、MOSHのメンバー1人ひとりがそれぞれの探索をより一層できるようになっていかないといけないですし、それを推奨する会社にもなっていかないといけないと思ってます。
とはいえ、自分で探索するのって怖いわけで。暗中模索する中で、Songmuさんにそばに立っていただけるとありがたい。
Songmuさんに「正解を出してください」っていうのではないんです。知見を与えてくださったり、背中を押してくださったりして、MOSHのメンバーを支えていただけるとすごく嬉しいなと思います。
ーー村井さんからSongmuさんに、こんな風に関わってほしいという希望はありますか?
村井:
抽象的な表現なんですけど、やっぱりみんなの「道標」になっていただきたいですね。
戦略とかミッションという経営側の視点への助言もいただきつつ、やはり現場を見ていただく機会を増やしていただけたら嬉しいです。
Songmu:
最近現職で、組織のバリューについて考えるワークショップを企画してファシリテーションもしたんですけど、MOSHでもそういう企画をやらせてもらう可能性はあるのかな、と思います。
皆さん、立ち止まって考える時間が必要なのはわかっていても、日々の仕事が忙しいとなかなかそうもいかない。
なので、僕から考える機会を提案していこうと思います。
ーーこれからの展開にワクワクしますし、聞いていてとても楽しそうだなと思いました!これからもよろしくお願いします!