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【宗教二世問題】子ども家庭総合支援拠点への期待と課題

元統一教会二世もるすこです。
ある子ども家庭総合支援拠点の所長さんとお話をする機会がありました。
お話をすると、宗教二世問題に対する現実的なアプローチとして子ども家庭総合支援拠点が持つ重要性に気づきました。
現場の課題を含めてnote記事にしました。

子ども家庭総合支援拠点とは

子ども家庭総合支援拠点は児童虐待を未然に防ぎ、育児の支援を行う機関です。一方、児童相談所は虐待を受けている子供を保護できる機関です。

簡単に言うと児童相談所がパッシブセーフティ。すなわち事故が起きた後のエアバッグのようなもので、子ども家庭総合支援拠点はアクティブセーフティ。すなわち自動ブレーキのように事故を未然に防ぐ役割をもった機関です。

子ども家庭総合支援拠点の役割


子ども家庭総合支援拠点は虐待や児童相談所案件となる前の段階でのサポートを行うため
不登校の子どもや検診を受けていない子どもの確認を行い、適切なサポート活動を行います。
具体的には学籍がない、登校していない、検診を受けていない子供の情報を集め、子ども家庭総合支援拠点の職員が確認に行き、厚労省(子ども家庭庁)に報告することになっています。

そして子供と家庭のニーズにあった支援を行います。(以下はあるセンターの一例)
・無料の学習支援
集合方式や家庭教師もある
・地域の人とのかかわりを作る
挨拶する NPOと協力し、近所の大人と子どもを顔見知りにすることで、近所の人が虐待などに気付けるようにする
・子供にお菓子を上げる取り組み
・野菜などを渡す活動
子供の顔を確認しないと渡さない。親だけ来ても渡さないような工夫もある

これらは国の支援があってNPOと協力して進められています。※上記の活動は一例で各地方自治体で内容は違います

宗教二世をサポートできる可能性


児童虐待予防で、貧困、不登校、ヤングケアラーなどの子供を対象としていますが、私たち宗教二世のエピソードを聞くと、不登校やヤングケアラー状態になっていた人達がとても多いことが分かります。
私も経験しましたが、宗教と学校生活は仮面の表裏を使い分ける二面性が必要で、
小さな頃から身につけないと、教義と現実の狭間で苦しんでしまいます。実際に統一教会の二世仲間では不登校児の比率が多い印象です。
また、親が宗教活動や貧困により家にいる時間が少なく、小学生の頃から食器洗い、洗濯、掃除は私たち子供の仕事でした。ヤングケアラー状態になる宗教二世も多いと思います。
つまり、不登校やヤングケアラーにアプローチすることで、結果的に苦しんでいる宗教二世に気づいてあげることができる足がかりになるのではと期待しています。
ただ、職員が宗教二世に関する知見が少なく、サポート対象の児童の背景に宗教があると気づくことが難しいのが現状です。

現場の困り事


 次に子ども家庭総合支援拠点から聞いた現場の困り事について
・宗教二世と気づくための知見が足りない
・児童福祉法による支援は概ね18歳までであり、その後のサポート体制の構築が必要
18歳というタイムリミットが来るとそれまで継続的に支援していた子供に何もしてあげることができない
(国は39歳までを対象とした若者支援を検討している)
・親の思想的、宗教的な理由で食事に制限がある子どもに対しては何もすることができない
食べさせないのか、食べないのか見極めが難しい場合がある。成長曲線を基に正常な範囲から外れてやっとサポートができる。みるみる痩せていく子供を見ながら支援できないのが辛い
・児相と違って家庭に介入する法的根拠が弱い
親が支援を拒むケースも多い。学籍がない、不登校、ヤングケアラーであることを知りながら定期的に子供の「生存確認」しか行うことができないケースも多い

宗教による児童虐待への対応


子ども家庭総合支援拠点の職員に宗教による児童虐待に関する研修を行う提案があり、これが具体的に進む見込みです。
私たち宗教二世が辛かった過去をふりかえって、あの時どのような支援を望んでいたか、苦しい時、子供なりにどのようなシグナルを発していたか
多くの宗教二世の体験談を集めることで、苦しんでいる宗教二世に気づき、サポートできる体制が整ってくると期待できます。
また、去年からの活動であらためて宗教二世のサポートは当事者ではなく、専門職でなければ難しいということを感じました。
宗教によって苦しんでいる子供たちの存在が報道によって多くの人に認知されました。
ですが、時が経つとともに社会的な関心が薄れてしまい、宗教二世の存在が忘れ去られてしまうかもしれません。
それでも子ども家庭総合支援拠点の職員は歯がゆい思いで苦しんでいる子供たちに手を差し伸べようと努力し続けるはずです。

宗教二世を救うためにも、子ども家庭総合支援拠点の職員を守るためにも、国は法整備を行う責任があると思います。

こども家庭庁は公的な職員を増やす予算枠の確保、NPOへの支援を拡充していってもらいたいです。

あらゆる宗教や思想をもった親の元に生まれても、その子が自分らしくのびのびと育つことができる社会福祉制度が作られていくことを願っています

※おわりに
今回お話をさせて頂いた子ども家庭総合支援拠点のみなさまへ
とても素晴らしい活動をされているのに、私が発信することで統一教会からどのような嫌がらせがあるか分かりません。
支援拠点が特定されるような情報は差し控えました。
宗教による児童虐待と対峙する皆様が法的根拠によって守られる日が来ますように。そして子供たちが心から笑顔になれる日がきますように🍀


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