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ボードゲーム体験記〜ドラスレ編〜

TVゲームから長らく離れている僕にとって、新しく開拓した趣味であるボードゲームは安価かつとても楽しいものだ。今日は色々と遊んだボードゲームの中から、初心者でも遊びやすいものをピックアップしていきたいと思う。第一回目となる今回は、RPG好き必見の協力型ボードゲーム『ドラスレ』を紹介しよう。

『ドラスレ』最大の魅力は「濃縮されたRPG感」である。一プレイ30分という短さながら、その内容は非常に濃く、RPGを一本丸々プレイした時の満足感があり、参加するメンバーによってその冒険の内容はガラリと変わる。またクリア率は体感40%〜50%程度というのもあって、繰り返しやりたくなる中毒性があるのだ。参加人数は2人から5人までと実に幅広いが、プレイヤーの参加人数でゲームの難易度が変わらないという点が素晴らしく、MMORPG好きは間違いなくハマる。対面で言葉を交わしながら冒険の指針を決め、コミュニケーションを重ねてドラゴン討伐に赴く様は、ボードゲームの根源的な楽しみが詰まっていると言えよう。

『ドラスレ』が初心者にオススメの理由として、協力型のゲームであるということが挙げられる。つまり他人と競い合い、時に蹴落とすという対人ゲーのストレスが少なく、また基本はダイスロールの出目が全てのゲームであるため、運要素が高く、初心者と上級者の腕の差も感じにくい。毎回同じゲーム展開にならず、ダイスの出目によっては極端にハードになったり、またトントン拍子に上手くいく場合もある。流れに応じて、参加した面子と冒険のプランを相談しながらプレイするのが何よりも楽しい。前置きはここまでで、まずはルールを説明しよう。

○基本的なルール〜移動編〜

『ドラスレ』がどういうゲームかというと、ドラゴンが目覚めるまでに各地を移動して、伏せられた五つの山のタイルに隠された「クエスト」を達成し、財宝や武器を手に入れて、最終的にドラゴンを討伐するのが目的である。クエストクリアを主とする「冒険フェイズ」では、キャラの取れる行動は主に「移動」と「アクション」の二つに分かれており、いずれもダイスの出目によって成否が決まる。

「移動」は出目で進むわけではなく、ダイス一つにつき一マスしか進めない。キャラクターシートのステータスの移動の項目に書かれた数だけダイスを振り、出たダイスの出目によって移動できる地形が変わる。白い道である「街道」は出目が2以上で進め、移動が楽で安全な代わりに、後述するアクションの中の一つ「冒険」によるLV上げはできない。「平地」は出目が3以上。緑色のパネルである「」は出目が5以上でないと進めないため移動が困難である。加えて森での「冒険」は苦手なキャラが多い。上記のダイスだと、4以上が三つなので街道と平地なら3マス進むことができ、5以上が二つあるため、森の中のみなら2マス進むことができる。

「移動」はルール上必ず行う必要があり、また伏せられたクエストパネルを達成するためにもかかせないわけだが、当然のごとくリスクが存在する。「移動」で6の目が出た場合、ドラゴンが目覚めるゲージが溜まる。大きな物音を立ててしまい、ドラゴンが目覚めてしまうというイメージなのだろう。ドラゴンのイラストに沿って、赤いマーカーが置かれているゲージがそれだ。すなわちこれがクエストクリアまでの制限時間である。

ゲージの途中にある炎のマークにマーカーが達することによって、ドラゴンはプレイヤーに対し「ドラゴンアクション」と呼ばれる様々な嫌がらせを行う。ダメージであったり、出発点への強制送還や、休息場所の消失など、冒険への影響力はデカく、その都度、プランを立て直す必要があるだろう。

「RAMPAGE」と書かれた中央に達すれば、強制的にドラゴンとのラスボス戦に突入する。財宝を全て集める前にラスボス戦になった場合、先ほどの嫌がらせとは別格の、苛烈な先制攻撃が二度に渡ってプレイヤーを襲う。つまりはなるべく6を出さずに移動して、クエストを達成し、万全の状態で最終決戦に行くのが冒険の目標となる。

○基本的なルール〜アクション編〜

「移動」後に、プレイヤーはその場所で四つの「アクション」のうち、一つを必ず行わなければならない。行える「アクション」は「冒険」「休息」「調査」「挑戦」の四つである。

「冒険」は謂わばRPGでいうLV上げに該当し、成功すれば経験値を得て、ステータスを成長させることができる。各キャラクターシートに書いてあるステータスの一つ「冒険」の項目に書いてある数だけダイスを振り、その成否の数によって判定する。前述の通り、平地と森では「冒険」時に触れるダイスの数が違うことがあるため、キャラによって得意な場所で「冒険」を行うようにしよう。

「移動」と違い、「冒険」を含めたアクションの時のダイスの判定は少し変わる。基本的にアクション時のダイスによる行動の成否判定は、1は-1として扱い、2、3の出目は0として扱い、ここまでは失敗である。4、5は+1として扱うため、基本的に4以上の出目を出すことが成功の秘訣となる。

「移動」の際はファンブルとして散々苦しめられることになる6の出目だが、アクション時の6は「クリティカル」としてダイスを振り足すことができ、振り足したダイスは2以上が成功、すなわち+1となるため、「クリティカル」が発生すれば楽になる。冒険は振ったダイスの成功数が2ならば経験値+1、成功数1で経験値+1とダメージ1、成功数0で経験値もダメージも0、成功数-1で、ダメージ+1である。例えばダイスを三つ振り、2、4、5と出た場合は成功数である4以上の目が二つなので+2で無傷による経験値ゲット。1、2、2だった場合は、-1が一つの0が二つであるため、結果的に成功数-1となり経験値は入らずダメージを受けてしまう。1、3、6だった場合、このままでは+1で-1で相殺され成功数の合計が0になり、経験値も得られなければダメージも受けないが、6の出目は「クリティカル」であるため、ダイスを振り足すことができる。振り足したダイスの出目が2以上である場合、成功数+1が追加され、合計で+1になるため、ダメージと引き換えに経験値を得ることができる。

先ほど書いたように「街道」では「冒険」が行えず、謂わばLV上げができないわけだが、移動後のアクションは必ず行わなければならないため、やることがなければ強制的に「冒険」しなければいけない。 RPGの移動の際に、モンスターとエンカウントするのを想像してもらえれば分かりやすいだろう。つまりライフが危ういなら、街道を進んで敵と出会わないようにするというプレイも重要になってくるのだ。

次にアクションの一つである「休息」を説明しよう。「休息」できるのは出発点である街と、道中にある二つの「村」のマスに止まった時にしか行えないが、「休息」すれば「冒険」やドラゴンの妨害で減ったライフを2ポイントだけ回復することができる。

ただし、ドラゴンの嫌がらせの中に村の炎上があり、休息地点が消失する可能性もある。当然、そのマスに止まっていればダメージを受けてしまう。余談だが、プレイした人間は村が燃やされるたびに大笑いするが、貴重な回復ポイントが一つ潰されるのは意外とキツい。

次に取れる「アクション」は「調査」である。「調査」は伏せられたクエストに隣接するマスに止まることで行うことができ、めくることでそのクエストの達成条件を知ることができる。そのクエストに 「挑戦」できるのは次のターンからだ。移動力のあるキャラは先回りしてクエストの「調査」を行い、その達成条件を見て、後続のパーティの指針を決める。戦闘が得意なら戦闘系のクエストに向かい、探索が得意なら探索系のクエストの方向に向かうといった具合にだ。

まとめると、「移動」でなるべく6を出さないようにしてクエストパネルへと向かい、公開させてプランを練り、早急にクリアするというのが大まかな方針となる。

最後のアクション「挑戦」は「調査」によって明らかになったクエストに隣接することで、文字通り挑戦することができる。上記のクエストは探索3であるため、挑戦したキャラクターの探索の数値の数だけダイスを振り、4以上の出目を三つ出せばクリアすることができる。

クエストは戦闘系や探索系、教養系など様々な種類があり、キャラクターによって得意なクエストと苦手なクエストがある。判定の仕方は「冒険」の時と同じだが、「冒険」と異なる点は、クエストに隣接したキャラがいれば数人単位で協力して挑めることである。手番でなくても、「挑戦」したキャラクターが隣接したキャラクターに協力を仰げば、一緒にダイスを振ることができるため、挑むダイスの数自体を増やすことができるのだ。

クエストによっては失敗時のペナルティが存在するが、一度「調査」でめくってさえいれば、それ以降は何度でも「挑戦」することができる。たとえ一度でクリアできずとも、成功数さえ出せばその数だけ達成マーカーを置くことができ、置かれた達成マーカーを差し引いた数がクリア条件となる。上記の場合、達成マーカーが一つ置かれているため、本来なら探索3のクエストが探索2になり、ダイスを振って二つ以上成功数を出せばクリアとなる。

つまりは苦手なクエストでも爪痕を残すことで後続のキャラクターのアシストができ、また得意なキャラクターがクエストに隣接していれば協力することで一発クリアも夢ではなくなる。そうしてキャラクター同士の得手不得手を補い合ってクリアすることが最大のコツになるだろう。

クエストをクリアすれば報酬が手に入る。一人でクリアすれば経験値2が貰え、協力すれば協力したキャラクター全員に1ずつ入る。よほどでなければ協力したほうがトータルでは成果が大きく、またそちらの方がクリアも容易い。隠された財宝の種類は様々で、得たアイテムでドラゴンとの決戦時にキャラクターの特殊な能力がアンロックされたり、武器を手に入れることで決戦時の戦闘の時に振れるダイスが一つ増えたりと、その恩恵は計り知れない。この財宝を全て集めるか否かによって最終決戦時の難易度が劇的に変わるため、何としてでも集めよう。

○基本的なルール〜リソース編〜

キャラは能力値が違うだけではなく、それぞれ固有の「リソース」と呼ばれる特殊な能力を持っている。例えばこれは「ハンター」のキャラクターのリソースである「魔力弾」で、「リソース」とは、「移動」以外の「冒険」やクエストの「挑戦」時に、ダイスを消費したリソース分、任意の個数だけ追加することができる能力である。キャラによってリソースの上限や回復方法が異なるため、局面での対応力や運用にかなり差異が生まれる。

例えばキャラクターの一人である「プリンス」で説明しよう。「戦闘3」のクエストを達成したいが、そのためには4以上のダイスを三つ振る必要があり、プリンスは戦闘の能力が1しかないため、このままではダイスを一つしか振ることができない。だが「リソース」(プリンスの場合は部下)を消費することで、振るダイスの数を上乗せすることができる。戦闘能力1だと通常なら1個しかダイスを振れないが、リソースを2消費することで、計3個振ることができるようになり、成功確率を上げることができる。

また「リソース」にはガードという役割もあり、任意の数だけ消費することにより、消費した分のダメージを減らすこともできる。ドラゴンの妨害や「冒険」の失敗などでライフが減った時にリソースを消費することでダメージを軽減することができ、不意の一撃死を防ぐことができる。リソースをクエストクリアに回す「攻め」の使い方だけでなく「守り」に使うという柔軟なプレイもまた戦術の一つであり、リソース使いの上手さが『ドラスレ』を制すると言っても過言ではない。

○基本的なルール〜キャラクター編〜

初期キャラは全部で5種類いる。好きに選ぶのでも、クジで選ぶのでも、イラストで選んでもいいだろう。

キャラクターの一人「ハンター」は見て分かる通り、ステータスこそ平均的だが、このゲームにおいて平均的というのは穴がないため非常に使いやすく、クエストを選ばない強さがある。すなわちどんな局面でも力を発揮できるため、対応力が非常に高い。「リソース」の「魔力弾」は「休息」することで全快するため、町や村に定期的に通うことで「リソース」を補充できるため、ライフの回復と合わせて、分かりやすくメリハリの効いたプレイが可能である。財宝取得時の固有のアイテム能力は「ベノムバレット」で、決戦時の戦闘に出た任意の出目一つを「クリティカル」である6に変更することができる。ハンターらしい安定感のある能力だが、一度しか使えないため使い所の見極めが重要になるだろう。

「グラディエーター」は戦闘特化型のキャラクターである。戦闘の数値は4であるため、戦闘系のクエストはお手の物。またドラゴンとの最終決戦は戦闘の数値分ダイスを振るため、ドラゴンとの決戦フェイズではメイン火力となる。「リソース」を持たないので追加ダイスを振れず、ダメージを防ぐこともできないが、「冒険」するだけでライフが1回復する特殊能力がある上、初期ライフも高いため、ソロプレイで延々とレベルアップすることができる。単独行動が得意であるため、ハンターと並んで初心者向きのキャラクターであると言える。アイテム能力は「マンモス肉」でドラゴンとの決戦前にライフを全回復することができる。これによって万全の状態で最終決戦に挑むことが可能である。

「パラディン」は探索以外が標準的だが、最大の特徴は「移動」の際の一番高い出目を取り除くことでリソース回復に回すことができる。やや鈍重で運用にはコツがいるものの、行軍しながらリソース回復できるため基本的に死に難く、上手く使えば移動の際の出目が無駄にならない。アイテム能力は「白銀の盾」で、最終決戦時に一度だけドラゴンの攻撃を完全無効にできる。そのためいるのといないのとではパーティの生存確率が格段に違うため、やや中級者向けとなるが、対ドラゴンでは守りの要のなるだろう。

「ニンジャ」は全キャラ中唯一の移動4で「移動」の際にダイスを四つ振ることができるため、移動力が非常に高い。先発メンバーとしてクエスト調査に行けるため、その後の計画が立てやすくなるが、移動時にダイスを四つ振る性質上、6が出る確率が大きく、ドラゴンを目覚めさせやすい。ややトリッキーな運用となるが、上手く使えば最高のサポート役になる。アイテム能力は「朧霞」でドラゴンとの決戦時のダイスを毎回一度だけ振り直すことができる。特に決戦時はダイスの出目が生死を分けるため、失敗しても振り直せるのは非常に大きい。中級者、もしくはドラスレ経験者が担うのが一番であると言えよう。

最後のキャラクター「プリンス」は全キャラ中最弱である。ライフも低く、初期値だと教養クエスト以外では役に立たない。だが大器晩成型キャラであり、上手く育てると全キャラ中最強となる。その理由は、自身のターンが回ってくるだけで自動回復するリソースにあり、これはLVアップと同時に増える。つまり毎ターン能力値に+αしてダイスを追加できるため、育てるのが難しい分、育てた時の見返りも大きい。アイテム能力は「金貨」で、なんともう一つのリソースである。「部下」と合わせれば最大六つのリソースを所持しており、ダイス追加による超火力やダメージカットなど、その応用力は無限である。上級者向けで最初は介護が必要だが、育ち切れば先陣を切ってクリアに貢献してくれるだろう。

○基本ルール〜決戦フェイズ編〜

ドラゴンゲージが最大まで溜まる。もしくはクエストを全てクリアして財宝を集めると、「冒険フェイズ」は終わりを告げ、「決戦フェイズ」へとゲームは移行する。決戦フェイズでは戦闘の数値でダイスを振り、出た成功数によってドラゴンにダメージを与えることができる。ここまで来たら後はダイスを振って、運を天に祈るだけだ。ダメージは短剣マーカーでカウントし、爪のマークに達した瞬間に「ドラゴンランページ」というドラゴンの攻撃がパーティを襲う。今までの「ドラゴンアクション」とは段違いの火力であり、生き残るだけで必死になるだろう。また決戦時は各キャラクターの戦闘の数値分ダイスを振り、判定は決戦表に従う。出目によっては下手をすると即死もあり得るため、最後まで気を抜くことはできない。決戦表によるダメージと「ドラゴンランページ」による二重の攻撃をくぐり抜ければ、念願の完全クリアだ。諸君らの健闘を祈る。

○まとめ

長々と書いたが、これが『ドラスレ』の全容である。ルールは多く、ぱっと見では複雑な印象を受けるかもだが、とりあえず初心者は、移動では6を出してはいけない。それ以外のダイスは4〜6が成功で、6はダイスを振り足す。これだけ覚えておけば円滑にゲームを進めることができるだろう。

欠点があるとすれば、クリアのハードルが意外に高いことで、5回やって1〜2回クリアできればマシなほうである。だがその難度の高さが何度でも挑戦したくなる中毒性に繋がっており、プレイヤーの冒険心を掻き立てているのだ。

ちなみに『ドラスレ』には拡張がいくつか存在し、買い足すことでキャラクターや新クエストを追加したり、新規マップで遊ぶことができる。値段は拡張であることを思えばやや割高に感じるが、その反面飽きることはなかなかなく、世界観が広がるため新鮮な気持ちで遊ぶことができる。 RPG的な冒険に憧れていてボードゲームを遊びたい人間は、ドラスレから手をつけてみてはどうだろうか。赤井てら先生によるイラストも、ファンタジーゲーム好きなら虜になること請け合いだろう。最高の冒険の旅が君を待っている。

#ボードゲーム #アナログゲーム #ゲーム #ゲーム感想 #コラム


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