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共同親権よくある誤解 Q&A

このnoteでは、共同親権についての誤解や批判についてのQ&Aを、国際的な共同養育の研究・推進団体である ICSP (Internatiional Council on Shared Parenting) が根拠論文付きで公開しているので、抄訳して紹介したいと思います。

QAが全16件、参考文献紹介が全26件からなります。気をつけたつもりですが、もし誤字・誤読などあればご指摘いただけたら助かります。

なお、文中で "Shared Parenting" は監護割合が父母双方に3割以上あるような共同養育を意味しますが、日本での言葉の通りやすさから基本的に「共同親権」と訳してあります。ですので共同親権といった場合、ここでは身上監護権を含み、実態としての十分な養育時間があるものと捉えていただければと思います。

Myths and Truths about Shared Parenting and Child Well-Being
https://www.twohomes.org/myths-and-truths-about-shared-parenting-and-child-well-being/
https://www.twohomes.org/shared-parenting-myths-and-facts-beyond-child-well-being/

Q1. 共同親権は子供の利益を犠牲にして親の権利を大事にしている。 

A1. いいえ。共同親権 (監護権を含む)を原則とする法制度を支持する第一の理由は、共同親権が子供の利益となるからです。

大多数のケースにおいて、共同親権の下で育った子供は単独親権で育った子供よりも、子供の幸福(well-being)に関する全ての指標において有意に高いスコアとなることが、40年以上にわたる社会科学研究によるコンセンサスです。
Nielsen (2014); Baude (2016); Bauserman (2002 & 2012)


Q2. 共同親権は両親が高葛藤の場合は子供の利益にならない

A2. いいえ。両親が高葛藤である場合でさえ、共同親権は全ての指標で子供の幸福にとって良い結果をもたらします。

両親の間が高葛藤である場合でさえ、共同親権は単独親権よりも、素行面、心理面、身体面そして学業面の全ての指標で子供の幸福にとって良い結果をもたらし、子供と両親・両祖父母との関係も良好にすることがわかっています。親子関係の質は、両親間の葛藤よりも、子供の長期的な生育結果を良く予測するファクターです。
Fabricius & Leucken (2007); Nielsen (2017 & 2018); Harmon, et al. (2022); Fabricius & Suh (2017)


Q3.共同親権が子供によい結果をもたらすのは単なる相関関係であって、因果関係ではない。

A3. いいえ。今や明白な証拠によって、他の要素ではなく共同親権自体が子供の幸福に寄与することがわかっています。

共同親権を選ぶような家族はもしかすると子供の成功を助ける他の要素を持っていた(両親の高収入、高学歴、低葛藤)かもしれません。しかし、今や明白な証拠によって、そうした他の要素ではなく共同親権自体が子供の幸福に寄与することがわかっています。これを支持する証拠は、社会経済的ないずれの階層においても共同親権が一般的となっている国で、共同親権の効果を測定することが可能な先進的な統計解析を行って得られたものです。
Braver & Votruba, 2018


Q4. 共同親権は乳幼児には適さない

A4. いいえ。乳幼児が父親と宿泊することが子供にとって害になったり母子の愛着形成を妨げるなどと言った科学的な根拠はありません。

幼い子供が一次愛着 (primary attachment) を形成する相手は一人だけにとどまりません。強固で健康的な親子関係のためには首尾一貫した頻繁な交流が必要で、それには日中と夜間の両方の子育てを含みます。乳幼児だからといって彼らを大切に思っている親と宿泊させないことは、意義ある親子関係を築く方法とは矛盾します。乳幼児が父親と宿泊することが子供にとって害になったり、母子の愛着形成を妨げるなどと言った科学的な根拠はありません。
Warshak (2014 & 2018); Nielsen (2014); Fabricius & Suh (2017); Fabricius (2022)


Q5. 共同親権は子供に両親の家を行ったり来たりさせることによって子供の安全を脅かす。 

A5. いいえ。2つの家を行き来することが子供にとって害にならないことがわかっていますし、それが両方の親と子供が強固な絆を作るのを邪魔しないこともわかっています

2つの家があることが時に不便を生じることはあります。しかし研究によれば、それは子供にとって害にならないことがわかっていますし、それが両方の親と子供が強固な絆を作るのを邪魔しないこともわかっています。「両方の親の家それぞれに、同じ日数だけ宿泊をするようにすることで、長期的な母子関係にも父子関係にもよい効果があった」ということがわかっています。
Fabricius & Suh (2017); Fransson et al. (2018); Warshak (2014)


Q6. 共同親権は不要である。なぜなら、大切なのはそれぞれの親と過ごす時間の質であって量ではないからだ。

A6. いいえ。養育時間の質はもちろん極めて重要です。しかし同時に、養育時間の量も子供の幸福にとって極めて重要です。

研究によれば、子供に良い結果がもたらされるのは、両方の親が週末や休日だけでなく、普通の毎日の養育責任にも相当程度関与した場合です。そして、共同親権が子供にたらす良い効果は、両親それぞれが子供と過ごす時間が50:50に近づくほど増えていきます。
Fabricius & Suh (2017); Fabricius (2020 & 2022)


Q7. 共同親権は子供を児童虐待の危険に晒す 

A7. いいえ。そのような言説を支持する科学的な証拠は何一つありません。

共同親権 (監護権を含む)を原則とする法制度は反証可能 (Rebuttable)なものですので、50:50の養育計画が子供の最善の利益にならない場合や、過去の家庭内暴力歴が示された場合は覆すことができます。HHS(米国福祉保険省)は、50:50の監護分担推定を法制化した州において、児童虐待(child maltreatment)の件数に増加は見られなかったと報告しています ( 米国福祉保健省児童家庭局 “2020年 "Child Maltreatment 2020” , p. 30.)
Fabricius (2020)


Q8. 共同親権は "画一的でワンパターンな" 養育方法のおしつけだ 

A8.いいえ。共同親権は父母別居後の育児についての極めてフレキシブルな方法論です。

父母が同等に子の監護を行うといっても、異なる家族のニーズにフィットする様々な養育スケジュールの組み方があります。研究によれば、子供の年齢に応じて、幼い子ほど頻繁に両方の親の間を行き来する方がよいとされています(訳者注:幼児は記憶が長く持たないため)。一方、乳幼児だからと言って父母のどちらかに偏った監護割合にすることは、研究によって支持されていません。
Baude et al., 2016; Fabricius, 2020


Q9. 子育ての役割分担は、別居や離婚後も同じのままが良い 

A9.いいえ。子育ての役割分担は、通常、別居や離婚に伴って変わらなくてはなりません。

一方の親が子育てに注力し、もう一方はキャリアアップを追い求めるような分担は、両親がいる子供にとってはより豊かな経験をさせてあげることができます。しかし、家族関係、行動適応、感情面の幸福(well-being)、学業達成度を含む様々な領域において、共同親権で養育された子供は片親の単独親権の下で育った子どもよりも適応力が高く、これは別居や離婚前にどのように子育てが分担されていたかとは関係がありません。
Fabricius & Hall, 2005; Emery, 2004; Fabricius, 2003; Bauserman, 2002


Q10. 共同親権は両親の葛藤を高めてしまう 

A10. いいえ。共同親権が両親の葛藤を高めるという主張を支持する科学的な根拠は何もありません。

実際は、共同親権を行っている父母は葛藤が少なく、心情的な支えが多く、元配偶者に大してポジティブな感情を報告しています。
Bauserman, 2012; Kruk, 2013; Nielson, 2017 & 2018


Q11. 共同親権は家庭内暴力(DV)を増加させる 

A11. いいえ。近年の調査はその全く逆の事を示しています。50:50監護分担の法的推定則があることで、家庭内暴力と女性によるパートナー殺人の発生が減ります。

Fernández-Kranz, et al., 2020


Q12. 均等監護分担の法的推定は試行の結果、失敗だと判明している 

A12. いいえ。均等監護分担推定の法律が、良い結果をもたらさないという理由で撤回された例はありません。

カリフォルニアの例が時折、均等監護分担(50:50)の削除であるとして引用されますが、実際にはこれは元々均等監護分担ではなかった法律の内容を明確化しただけでした。世論調査では均等養育時間は人気があり、研究によれば均等監護分担の推定は離婚問題の専門家たちに支持されています。
Fabricius, et al., 2018


Q13. 共同親権を選択した家庭は不安定で、うわべは共同親権といいながら、結局単独親権状態に落ち着く傾向がある。 

A13. いいえ。最近の研究では、共同親権での子供の生活形態は、少なくとも母親単独親権の子供の生活形態と同程度には安定している、と報告されています。

たしかに、カリフォルニアのとても古い研究(1980年代)では、共同親権は時間の経過とともに単独親権の状態にずれ込んでいくと示唆したものがありますが、最近の研究では「共同親権の子供の生活形態は、少なくとも母親単独親権の子供の生活形態と同程度には安定している」と報告されています。
Bartfield, et al., 2021


Q14. たとえ共同親権が子供にとって良いものだとしても、養育時間に関する法的推定が存在するべきではない 

A14. いいえ。離婚家庭で育った若年成人たちは、両方の親の養育時間がもっと半々に近ければよかったのにと願っています。

50:50均等監護分担の法的推定は親と子供の双方に、彼らの親子関係がしっかり守られるという保証を与えます。離婚家庭で育った若年成人たちは、両方の親の養育時間がもっと半々に近ければよかったのにと願っています。
Fabricius, 2003 & 2020


Q15. 父親たちが本当に対等な育児責任を欲しいなら、子供の身体的な監護をもっと分担していたはず。 

A15. 均等な監護分担をしやすい住居環境を用意するために父親に求められる経済力は、しばしば養育費の存在によって制限されてしまいます。

均等な養育時間を求めて争うために必要な法的コストの大きさが、しばしば父親たちに均等な時間を求める事を躊躇わせてしまいます。
Fabricius and Braver, 2003; Braver, 1998; Wallerstein and Blakeslee, 2004


Q16. 子供たちが父親とも同等な時間を生活するようになると、子供は金銭的に不利になってしまう。なぜならば、養育時間が父母で同等になると、父親が払うべき養育費の金額が減ってしまうからだ。 

A16.いいえ。子供への金銭的な支援は、親が自分自身で子供のために支払う直接的な支払いでも可能です。

子供への金銭的な支援は、親が自分自身で子供のために支払う直接的な支払いでも可能ですし、あるいは親がもう一方の親にお金を渡して子供のために使ってもらう間接的な支払いでも可能です。均等な養育時間にすると、しばしば間接的な支払いが減る結果につながりますが、その場合は常に子供への直接的な支払いは大きく増えています。子供がより多くの時間を父親と過ごせば、父親が子供のために支払う金額も増えます。
Wallerstein & Blakeslee, 2004; Braver, 1998, Fabricius & Braver, 2003


◾️参考文献

文献1. Baude, A. et al. (2016).

Child adjustment in joint physical custody versus sole custody: A meta- analytic review.
Journal of Divorce & Remarriage. 57(5), 338-360. 

内容:共同監護家庭の子供はより環境への適応が良いが、それが見られるのは、両方の親と同等のまたはほぼ同等の時間を過ごした子供に限られる

文献2.  Bauserman, R. (2002)

Child adjustment in joint- custody versus sole-custody arrangements: A meta- analytic review.
Journal of Family Psychology, 16(1), 91–102.

内容:この33件の研究を取りまとめたメタ解析では、離婚後に単独監護の家庭で育った子供と共同監護で育った子供の適応を比較している。それによると、法的監護権と身上監護権を共有する親の下で育った場合、子供は自尊感情、家族関係、離婚関連の適応、学業達成度、そして心理的・行動的適応、の領域において、よりよい適応が確認された。

文献3.  Bauserman, R. (2012).

A meta-analysis of parental satisfaction, adjustment, and conflict in joint custody and sole custody following divorce.
Journal of Divorce & Remarriage. 53(6), 464-488. 

内容:JPC(共同身上監護)の母とJPCの父は元配偶者との葛藤を報告することが少なかった。また感情面のサポートがより多く、元配偶者との関係についてポジティブな感情を持っていた。再調停が必要になる頻度もJPCの場合はより少なかった(特に特定の動き、例えば養育費金額の変更)。

文献4.  Braver, S. L., and A. M. Votruba. (2018).

Does joint physical custody "cause" children's better outcomes?
Journal of Divorce & Remarriage 59(5), 452-468. 

内容:共同親権家庭で育った子供の方が単独親権家庭で育った子供よりもパフォーマンスが良いことはよく確立された事実だが、この良い結果は共同親権そのものによってもたらされたのかどうかについては論争があった。BraverとVotrubaは先進的な方法を用いて、共同親権が子供の良い結果の原因である事を突き止めた。

文献5.  Fabricius, W. & Luecken, L. (2007).

Postdivorce living arrangements, parental conflict, and long-term physical health correlates for children of divorce.
Journal of Family Psychology. 21(2), 195-205. 

内容:離婚後に、より多くの時間を父親と過ごした子供たちは、父親との現在の関係が、そうでない子供より良好だった。これは両親の葛藤の高さとは無関係であった。父親とより多くの時間を過ごすことは、高葛藤の家庭でも低葛藤の家庭でもどちらでも有益であった一方で、父親と過ごす時間の多寡に関係なく両親の紛争に巻き込まれることは子供にとって有害だった。

文献6.  Fabricius, W. and Go Woon Suh. (2017).

Should infants and toddlers have frequent overnight parenting time with fathers? The policy debate and new data.
Psychology, Public Policy, and Law 23(1) 68-84. 

内容:近年の研究により、乳児(1歳未満)であっても複数の人間と愛着形成が可能であることがわかっている。大学生とその両親に対するインタビューに基づくこの調査では、既存研究にはなかった3つの要素に注目している:(1) 乳幼児期の頻繁な宿泊付き面会交流の長期的な影響、(2) 父子関係の長期的有益性、(3) 日帰りのみの面会交流の影響。これらの調査の解析結果により、たとえ子供が1歳未満や2歳未満の場合に限っても、宿泊付き面会交流は親子関係に長期的に有益な効果があることがわかっている。

文献7.  Fabricius, W. (2020).

Equal parenting time: The case for a legal presumption.
The Oxford Handbook of Children and the Law (pp. 453-476). Oxford University Press. 

内容:これらエビデンスのパターン全体から示唆されるのは、均等養育時間(Equal Parenting Time) を法的推定とすることにより、児童の両親に対する心理的安心感を守り、その結果として離婚家庭の子供たちの長期的なストレス起因の精神的・身体的問題が減って、公衆衛生の改善にも良い影響があるということだ。

文献8.  Fabricius, W. (2022).

Attachment and parenting Time for children under three years of age.
The Oxford Handbook of Development Psychology and the Law (in press). Oxford University Press. 

内容:離婚家庭の中で青年期に最も良い親子関係が見られるのは、子供が3歳になる前から両方の親と同じ日数の宿泊付き交流をしている場合である。今回の発見から示唆されるのは、乳幼児期における父母均等養育時間の実施が、将来の親子関係の下地を作る特異な役割を果たしているのではないかということである。親子関係の毀損による長期的な健康上のリスクを政策に反映して、父母均等養育時間を奨励し、児童が両親と育みつつある愛着関係を守ることで、児童の将来の健康を守るべきである。

文献9.  Fransson, Emma, Anders Hjern, and Malin Bergström. (2018).

What can we say regarding shared parenting arrangements for Swedish children?.
Journal of Divorce & Remarriage. 59(5), 349-358. 

内容:父母均等な共同身上監護は、「子どもが頻繁な移動を課されることと2つの家に住むことの潜在的なストレスを理由として、子供の幸福(well-being)という観点で論争の的になってきた」。この研究では、「共同監護の子は、ほとんどまたは完全に一人の親とだけ生活している子供に比べて、より高い幸福度と精神的健康を報告している。スウェーデンにおけるいかなる研究においても、3歳以上の児童の健康が、片親単独監護の場合より共同監護の方が悪かったという報告は一つもない。」

文献10.  Harmon, J., Matthewson, M, & Baker, A. (2022).

Losses experienced by children alienated from a parent.
Current Opinion in Psychology, 43: 7-12. 

内容:この論文は、子供が片方の親から引き離された時に経験する、生涯続く喪失感について述べている。喪失感は多くの領域に悪影響を及ぼし、それはアイデンティティや自己イメージ、両親や親戚との豊かな子供時代の経験、コミュニティへの帰属意識、人間関係の質、などにおよぶ。

文献11.  Neilsen, L. (2014).

Shared physical custody: summary of 40 studies on outcomes for children.
Journal of Divorce & Remarriage, 55(8), 613-635. 

内容:総合的に見ると、共同親権の家庭の子供は、感情面、行動面、そして心理学的健康の各指標においてより良い結果が見られた上、身体的な健康と父母双方との人間関係も良かった。こうした利益は、子供たちの両親が高葛藤の場合であっても失われなかった。

文献12.  Nielsen, L. (2017).

Re- examining the research on parental conflict, co-coparenting, and custody arrangements.
Psychology, Public Policy, and Law, 23, 211–231. 

内容:この論文は4つの疑問に答えている。(1) 養育時間の割り当て量を決める際に、父母間の葛藤の度合いをどの程度考慮に入れるべきか (2) 離婚した両親の葛藤が低い方が、子供たちにはより良い結果がもたらされるのか (3) 両親が離婚問題を裁判所に持ち込んでいる場合、子供たちの結果は悪くなるか (4) 両親が高葛藤で非協力的な場合は、単独親権家庭の方が子供の結果はよくなるのか

文献13.  Nielsen, L. (2018).

Joint versus sole physical custody: Children’s outcomes independent of parent–child relationships, income, and conflict in 60 Studies,
Journal of Divorce & Remarriage. 59(4) 247- 281. 

内容:この論文は、収入や親の活動度合いや親子関係の良好さなどを調整した上で、単独親権(SPC)と比較した場合の共同親権(JPC)の家庭の子供の結果をレビューしている。これら3つを調整した後でも、JPCの子供は一般的に殆どまたは全ての評価指標において良い結果が見られた。

文献14.  Warshak, R. (2014).

Social science and parenting plans for young children: A consensus report.
Psychology, Public Policy, and Law. 20(1) 46-67. 

内容:この報告書の結論は、110人の研究者と実務家によって承認されている。結論の中には以下のようなものが含まれる。「乳幼児であるからと言って、両方の親との宿泊を含む頻繁な面会交流(involvement)を延期すべきだといえる証拠は存在しない」「健康的な親子関係の発達に関する社会科学的なエビデンスと、健全な親子関係がもたらす長期的な利益に関するエビデンスによって、とても幼い子供を含む全ての年齢の児童にとって、離婚後の養育計画の基本は均等監護分担とするべきであるということが支持される。

文献15.  Warshak, R. (2018)

Night shifts: Revisiting blanket restrictions on children’s overnights with separated parents.
Journal of Divorce & Remarriage, 59(4) 282- 323. 

内容:乳児及び幼児が別居または離婚後に父親と宿泊付きの交流を行うことに関する文献レビュー。研究結果は父親と宿泊付きの交流を行うことにより幼い子供たちに望ましい効果があるという結論を支持している。

文献16.  Bartfeld, J. et al. (2021).

Stability of Placement Arrangements Among Divorced Wisconsin Families with Sole Mother and Shared Placement Orders.
Institute for Research on Poverty Research Report. 

内容:この最近の研究は共同親権の養育計画の安定性を既存研究と異なる2つの注目すべき方法で調べている。一つは、過去の研究と異なり、共同親権 が昔のように珍しいことではない文脈での調査であること、もう一つは過去の研究よりも長い期間にわたっての調査であることである。著者たちは「共同親権の裁判所命令が特に不安定であるとは、絶対的な意味でも、単独親権との比較の意味でも言えない」としている

文献17.  Braver, S. (1998).

Divorced Dads: Shattering the Myths.
New York: Putnam. 

内容:この本は8年間に及ぶ離婚した父親に関する国費での調査の結果分かった発見をまとめたものである。この研究によって多くの政策や専門家の思い込みが、不正確でネガティブな「離婚した父親」へのステレオタイプに基づいていることが分かった。この本は離婚した父親に対する、科学的調査結果によって否定された6つの神話について述べている。

文献18.  Emery, R. (2004).

The Truth About Children and Divorce.
New York, NY: Viking. 

内容:離婚は子供にとって適応の問題を引き起こすが、必ずしも長期的に残るダメージとなるわけではない。離婚は大きなストレス要因であるが、「苦痛は病気ではない。悲しみは精神障害ではない」

文献19.  Fabricius, W. (2003)

Listening to Children of Divorce: New Findings that Diverge from Wallerstein, Lewis, and Blakeslee.
Family Relations 52(4), 385-396 

内容:インタビューに答えた離婚家庭育ちの大学生たちは離婚後に両親と同じだけの時間を過ごす方を好んだ。離婚後に両方の親と同等の時間の養育計画で育った子供たちは、大人になってからも両親とより関係がよく、両親から支えられている実感があり、さらに両親からより多くの大学学費補助を受けられていた。

文献20.  Fabricius, W. & Braver, S. (2003)

Divorced Parents' Financial Support of Their Children's College Expenses,
Family Court Review. 41,145-56. 

内容:離婚した両親が自発的に大学の学費を補助していくれている大勢の大学生から得られたデータによれば、父親も母親も、同じリソースがある場合は同等の貢献をしていた。母親が単独親権となる場合に比べて、共同親権(Joint Legal Custody)の場合の方が父親はより学費に貢献していた。

文献21.  Fabricius, W. & Hall, J. A. (2005).

Young Adults’ Perspectives on Divorce Living Arrangements.
Family Court Review. 38(4), 446–461. 

内容:この研究では、820人の大学生が両親の離婚についての視点を提供している。そのうち多数が、成長の家庭でもっと多くの時間を父親と過ごしたかったと答えている。彼らの父親はもっと子供と過ごすことを望んでいたが、彼らの母親がそれを許さなかったのだと、彼らは認識していた。

文献22.  Fabricius, W. et al. (2018).

What Happens When There is Presumptive 50/50 Parenting Time? An Evaluation of Arizona’s New Child Custody Statute.
Journal of Divorce & Remarriage. 59(5), 414-428. 

内容:米アリゾナ州が均等監護法を立法して4年、この研究では以下のようなことが示された。「当該法は反証可能な父母均等養育時間の推定として機能しており、裁判所調停係、判事、精神衛生専門家、そして弁護士たちから、総合的にみて子供の最善の利益に対してポジティブな評価を得ている。」そして「均等監護法は法的及び個人間の紛争に対してニュートラルな影響があった」

文献23.  Fernández-Kranz, D. et al. (2020).

Bargaining Under Threats: The Effect of Joint Custody Laws on Intimate Partner Violence.
IZA Discussion Papers, No. 13810. 

内容:スペインの研究者による研究では、父母均等養育時間の法的推定が、離婚する夫婦間における家庭内暴力(親密な関係における暴力)の発生を約50%削減につながり、またパートナーによる女性の殺人も有意に減少させたことが分かった。

文献24.  Kruk, E. (2013).

The Equal Parenting Presumption.
Montreal, Quebec: McGill-Queens University Press. 

内容:この記事でKruk博士は、共同親権に関する神話について、非常に多岐にわたる条件下での子供への好影響も含めて、述べている。

文献25.  Fabricius, W. & Braver, S. (2003).

Non-Child Support Expenditures on Children by Nonresidential Divorced Fathers.
Family Court Review. 41, 70-82. 

内容:この研究は、非同居の父親による衣類・自転車・自動車代・おもちゃなどの子供に関する出費は、父親が子供と過ごす時間が増えるほど増加するということを、予備的に支持している。また、父親たちは子供との交流時間が最小の場合でもこれらの出費に高いレベルの貢献をしていることもわかった。これらの発見は、非同居親の養育費の計算にもっと調節が必要であることを支持している。

文献26.  Wallerstein J. and S. Blakeslee. (2004).

What About the Kids?
Hyperion. 

内容:著者は、30年に及ぶ離婚家庭の子供への詳細なインタビューに基づき、離婚した夫婦に対してどのようにして子供たちを離婚の過程で守るかのアドバイスを与えている。その中には、新しいパートナーの紹介の仕方、いつどのように子供に離婚について話すべきか、離婚後の父母間の監護割り当てをどのように選ぶべきか、またいかに子供を長期的な人間関係を育める人間に育て上げるか、などのトピックが含まれる。


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