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〈読書記録〉2024年2月

1月の末から読み始めた「炉辺の風おと」が文庫本だけどわりと分厚めで、本の中に流れる空気もゆったりしたものであったので、少し時間をかけて読んだ。途中、「熊本かわりばんこ」(田尻久子/吉本由美)を読み始めたのもあって、冊数としてはスローペースな2月であった。「熊本かわりばんこ」はまだ読み途中なので、2月の読書録には入れていない。

小説
「荒地の家族」佐藤厚志

エッセイ/その他
「炉辺の風おと」梨木香歩
「お金の学校」坂口恭平

今、春からの日々に向けて家探しをしていたりするので、”住まい”や住む場所と向き合う本が気になる。「炉辺の風おと」は、作家の梨木香歩さんが、八ヶ岳での山小屋暮らしを中心に、日々のことを綴ったエッセイ。小鳥に餌をやったり、リスがデッキを駆け抜けていくような暮らしは私の暮らしとは全く違うものではあるのだけれど、梨木さんの”家”との向き合い方はとても心地が良い。特に、買う寸前まで行ったけど結局買わなかった東京の家の話がじんわりときた。選んだ暮らしだけが素晴らしいんではなくて、選ばなかった暮らしもまた、梨木さんの中に生き続けている。

「荒地の家族」は本屋さんで見てから、ずっと気になっていた。現役の書店員でもある作者が、自身も体験した震災のその後を描いた小説。他の本を目当てに県立図書館に行った際に、スマホのメモ機能に残している「読みたい本リスト」の中にあって、蔵書検索をしてみたら貸出可だったので借りてきた。劇的でわかりやすい苦しさではない、じっとりとした長い、長い、息苦しさのようなものが漂っていて、能登の震災のこともあったので、これからの被災地の方々のことが思い起こされた。

同じく県立図書館で、坂口恭平さんの「幸福人フー」を探すのに、蔵書検索のPCで作者名で検索したら一覧にあった「お金の学校」も気になって借りてきた。読みたい本が無料で読めて、さらに知らなかった本にも出会えて、図書館様様である。

ここ2年くらいかな、ずっとお金のことで不安でいる。お金がないから不安なのだと思っていたのだけど、「お金の学校」を読んだら、本質はどうやらそうではない気がしてきた。私は不安にならなくても、ちゃんとお金を稼ぐことができる。不安になって小さく縮こまっているからお金がないのであって、坂口さんの合言葉「大丈夫、きっとうまくいくよ」と自分に言い聞かせていれば、大概のことが大丈夫な気がしてきて、そうなると私はもっと太っ腹に気前よく(それはお金の使い方ということだけではなく)いることができて、そうなると必要なお金がやってくるような気がしてきた。

そうだ。
大丈夫、きっとうまくいくよ。


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