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2022.12.30 摂津富田にて~腹立つチョコの壁を見に行く~

今月のぶらり途中下車の旅、大阪府高槻市の摂津富田駅で降りた。先月は色々疲れてて普通にすっぽかした。免許取得や内定式などやるべきことを終えて、リフレッシュのために月末ギリギリに旅に出た。

摂津富田駅といえば明治の工場である。チョコレート会社の明治の工場があり、車窓からは巨大な板チョコの壁が見える。その壁を就活中、大阪の会社の説明会や面接に向かう道中の電車からよく見てたのだ。

就活中は何とも思ってなくて強いて言うならおもしろスポットぐらいに思っていたが、最近あの光景をふと思い出して、バカにされてたような気分になって妙にムカついてきた。

自分の人生の命運がかかっているような戦場に出向いていたというのに、あまりにも大きすぎてマヌケな壁に見下ろされていたのが無性に腹立つなぁと思った。

だからといって事前に何か目的を立てていたわけではないが、自然とあの辺りに行こうと思っていた。

とりあえずまずは町のパン屋さんでクリームパンを買った。駅前の大通りから1本入ったところにあるが、店内で身動きが取れなくなるほど賑わってた。パンの札を落としてしまった。

明治の巨大チョコ壁を見るために、線路沿いの住宅街を歩いた。道が真っすぐにはなってないから、カクカク曲がりながら向かった。駅周辺が人通りや店が多く、それなのに歩道が無くて路側帯があるだけだから、車スレスレを歩くような忙しない空間だった。その分閑静な住宅街だったから軽やかに歩けた。

次第にチョコ壁の上半分が見えてきた。高架越しに見ていたから下半分までは見えなかった。場所によっては住宅越しに眺める時もあった。

この地域に住んでる人はふとした瞬間にバカでかいチョコがちらっと見えているんだと思うとおかしな気分だった。ただ、小さい子供とお母さんが2人で細い道を歩いてて、家族越しにチョコ壁が見えるワンシーンは胸に来るものがあった。

あんなチョコ壁が、この地域の人々の生活とか記憶の深い所に根付いているのかぁと考えると、心がジーンとする。ここで育った子供が引っ越して帰省するとなると、車窓からチョコ壁を見て「帰ってきたんだなぁ…」と、懐かしい気持ちになるんだろうな。

この時点でやや和解しかけていたがその前に、最後にチョコ壁の裏側を見たいとなんとなく考えていた。チョコサイドからしたらあまり見られたくないであろう、恥部みたいな所である裏側を見て終わりにしたかった。

最後の最後に、誰にも気づかれないような小さな仕返しをして、自分の中で完結にしようと思ったのだろう。

住宅街を歩いていたら森らしき場所が見えた。稲荷神社があり、それを取り囲むように森があり「アジャリの森」と言われているのだそう。

その歴史は別に知らないが、住宅とか工場が集まる地域にふと神聖な空間があるというのがなんかよかった。それを守るように建物が森を避けていた。

高架下のトンネルをくぐって反対側に出て、さぁチョコ壁の裏を盗み見してやるぞと思ったが、現在位置がよく分かんなかった。今自分の左に見えているのは、明治の工場なのかそうじゃないのかがあやふやだった。駅への方角はだいたい分かってるから、とりあえず地図アプリは見ずに歩いてた。

木々に覆われていて見えねぇなぁ、やっぱり恥部は見られないようにガードしてるかぁ、と思っていたら目の前に明治の工場が現れて。さっきまでの木々の向こうは別にチョコ壁じゃなかったんだ、よしよし恥部を見てやると思ったら、明治の工場がでかくて普通に裏が隠されてて。

本当に見られないようにガードしてたんだと思い諦めていた。そしたらモスバーガーが見えて、急にハンバーガーの口になって迷わず入店した。おそらく雰囲気のいい定食屋 ※ は年末だし休みだろうな。

とびきりチーズバーガーにポテトとウーロン茶もつけちゃった。チーズもいいけどやっぱりフライドポテトは美味しいね。

ハンバーガーを食べながらふと思った。あのでかいチョコ壁は真正面から見るとこっちを嘲笑っているようだけど、それに隠されてモスバーガーがあった。

今まで電車からの距離でしか見てなかったけど、そいつと距離を詰めて近辺をウロチョロしたらいいところもあった。もしもあのまま電車から降りずにチョコ壁と敵対し続けてたら、なんかもったいなかったろうなって。そいつのパーソナルスペースに飛び込んでよかったな。

でもあまりにも嫌いなやつとは分かり合えないとも思う。

すっかり和解してモスを後にしたら、少し歩いた所に2棟目の明治の工場があって、端っこにチョコ壁の裏が少し見えた。

何だよ、モス横の工場じゃないとこにあったんだ。距離なんか詰められてるようで詰めれてなかったんだ。そんで恥部の1割ぐらいしか覗けなかったし。

もういいや、敵対してるやつと無理に和解したってしょうがないや。やっぱりあのでかいチョコ壁がなんか腹立つ。


※ ぶらり途中下車の旅で常に心掛けてる行き先なのだが、ほぼ行けたためしがない。


外を歩いてるくせにほぼ脳内トリップで構成された旅行記を、ここまで読めた人がどれくらいいるのだろうか。日記を書きながら「どうすんだよ、これnoteに載せるんだぞ?」と思っていた。

でもあくまでも日頃の日記をコピペするという形式は守ろうと思い、手を緩めることなくあふれる言葉を全部詰め込んだ。その結果、自分でもよく分かんなくなった。もういいや、書き逃げしてやらぁ。