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2021.08.02 唐崎にて~飛び出し坊やとセミ~

夏休み、特にやることもないからぶらり途中下車の旅でもしようと思った。今まで行ったことが無い所にふらりと電車で立ち寄って、あちこち歩いて知らない景色を見る。

そしたら結構面白い旅になったから日記に書いた。noteにも載せる。

ぶらり途中下車の旅シリーズ。この夏の連載に、なるかもしれないしならないかもしれない。次の駅が面白かったら連載ということにしようと思う。


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滋賀県大津市の唐崎駅で降りた。京都駅からかなり距離があるのにたった3駅で、運賃も240円と抑えめだった。

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最近駅の写真を取り集めるのが趣味で、どんな駅舎をしてるのか楽しみだった。高架下建築だった。駅舎の形状としてはあまり特徴無かった。ただ「唐崎駅」の文字のフォントが好き。ナンバープレートの県名の文字みたい。

琵琶湖沿いの駅で、すぐ近くに唐崎神社という神社があった。琵琶湖のほとりにあるのが気になった。海とか湖のほとりの神社ってパワースポット感あるよね。とても力のある神様じゃないとこの地は治められないよ。

神社の本殿の裏手に「唐崎の夜雨」という景勝地が広がってた。

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原っぱに灯籠がぽつんと1つだけ立ってて、抜けた空と澄んだ琵琶湖が広がってた。絶景だった。

琵琶湖ってこんなに広かったんだ。前に原付で琵琶湖に行った時 ※1 は、琵琶湖の細い部分(下の方)から見てたから、なんか狭かったんだよね。

神社の裏手という隠れ感・原っぱに腰を据える孤独感・琵琶湖と空の抜け感。暑い中5分ぐらいぼーっと見てた。視界の端に「HOTEL」って看板が見えたのだけ気になったけど。

駅舎もそうだが、飛び出し坊やの看板も集めてる。坊やたちに注目して歩いてたのだが、十字路に差し掛かった時、視界の端に上半身だけの飛び出し坊やが見えた。

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胸から上の飛び出し坊やが地面に置かれてて、まるでコンクリに半分埋められたみたいだった。

腹を抱えて笑っちゃった、涙が出るくらいにね。飛び出し坊やってこんなに残虐な刑を受けるものなのかと。

その埋められた坊やを抜けると、結構歴史的な家々が並ぶ裏通りに入った。唐崎を選んだのも、ストリートビューで味のある家々が見えたからだった。

いっぱい写真を撮るべきだったが、この辺りで暑さと空腹で頭がぼーっとしてしまい、あまり写真を撮ってなかった。唯一撮れてる家 ※2 がまぁいい味してるんだ。悔やまれるね。

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昼食にしようと思ってアプリで地図を見てたら、駅前よりもだいぶ離れた場所に来てしまったようで全然店が無かった。高そうな魚料理の店しかなくて、仕方なしにロードサイドのすき家に入った。

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できれば町の定食屋とかに入りたかったけど。ただ店に入ってお客さんを見たところ、小さい子供たちの6人家族とか、近くの工事現場で働いてるであろうおっちゃん2人とか。

唐崎神社の近くには手打ちそばの店とかあったけど、おそらくすき家の方が「地域の味」と思われてそうだな。おそらく地域の人は手打ちそばの店なんか行かないだろうなって。すき家の方が愛されてそうだなと思った。

塩分が足りないから、おろしポン酢牛丼にした。普通の牛丼でも塩分過多な気がするのに、そこにポン酢をかけるんだから。塩分と冷たいお茶をしっかり補給して、また琵琶湖沿いを歩いた。

坂本城跡公園という所でまた琵琶湖を眺めてた。木の下を通ったらセミにおしっこをかけられた。顔にちょっと水しぶきがかかった。それでひどくテンションが下がったが、その時に聞いてたラジオをなんか覚えてる。

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ハイパーハードボイルドグルメリポートの「右翼左翼の飯」の回 ※3 を聞いてた。内容も内容だから詳細は省くが、おじいさんが「どんな国の人も個人として関わるなら仲良くなることもある。そこに国が関わるといさかいが起こる」と喋ってた。

国とか立場はあるけど、その人個人に目を向けると見えてくる素の姿ってのがあるんだな。

セミもそうなのかな。うるさいとかおしっこ引っかけてくるとかセミの生態を語りがちだけど、セミ個体で見ると面白いヤツなのかもしれないなーって、琵琶湖の砂浜を歩きながら思ってた。おしっこ引っかけられたからといってセミ全体を嫌うのってどうなのかな、と。

ただしその後、別の場所でもう一度セミにおしっこをかけられた時に、すぐ前言撤回したね。セミ、許さん。ちょっとおセンチになりすぎたわ。暑さで頭がやられてたのかな。

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その後は高架下の公園を見たり、坂を上がって高い所から琵琶湖を見たりしてた。

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その時点で2.5時間ぐらい歩き回ってた。大したことは起こらないし、疲れたし、腕に力が入らなくなってきたし、考えることもできなくなってきたから帰った。唐崎駅より南の方は全然回れなかったな。

ぶらり途中下車の旅、いいですね。


※1 前の琵琶湖への訪問はこちらのエッセイにて。

※2 家の写真を撮ったのだが、住人のプライバシーに配慮して家ではなく路地裏の写真にした。ちらりと映ってる部分だけでも味があることが分かるだろう。

※3 特殊清掃員・パパラッチ・風俗嬢などがどんな飯を食べてるかに密着したドキュメンタリーラジオ。「どんな人でも腹は減る」がモットー。


大学も夏休みに入り、時間が空くからエッセイにも注力していければなと思う。ただ、エッセイのために出歩くのではなく、シンプルに見たい景色があるから出かけるんだけなんだけどね。