MOROHA アフロ

MOROHA アフロです。ラッパーです。 日々思った事や、思い出した事を書きます。 信…

MOROHA アフロ

MOROHA アフロです。ラッパーです。 日々思った事や、思い出した事を書きます。 信濃毎日新聞で連載している「俺が俺で俺だ」の紙面に収まりきらなかった余談と、過去に発表したエッセイ「俺のがヤバイ」のアーカイブも。

マガジン

  • 「ひよこが先か、ニワトリが先か。」

    それゃヒヨコだろ🐥といわれました。

  • 2016年出版 エッセイ集「俺のがヤバイ」

    エッセイ集「俺のがヤバイ」からいくつかをまとめました。

記事一覧

信濃毎日新聞「俺が俺で俺だ」9月『長篠の合戦』の追記

先にこちらを読んでね。 https://www.shinmai.co.jp/feature/moroha/article/202009/04001270.html 追記。 戦を振り返れば織田の戦ぶりは見事なものだった。 透明な白鼻…

16

おふっ、おふっ

初めてCDをリリースした時のお話です。 (エッセイ集「俺のがヤバイ」より。) 母だけなら煙にまける自信があった。 ただ、姉がいるのは誤算だった。 二人は学校を卒業して…

40

へぇー。

「夏っちゃん、俺が守るよ!君を何処へも連れて行かせない!」 俺は叫ぶ。麦わら帽子を被り、水色のワンピースにサンダルを履いた夏っちゃんは、怯えながら俺の手を握って…

30

鼻ゴルフ。

幼い頃、鼻の穴に石を入れて遊ぶ習慣があった。 そしてそれを「穴に入れる」という共通の一点のみで「鼻ゴルフ」と呼んでいた。 小さいながらに取り出せなくなったらどうし…

40

アントニオ。

一度は通り過ぎた顔が、ギュインと音を立て引き返した。 久しぶりの二度見だ。 現場はコンビニのエロ本コーナー。 一見ただのエロ本、しかし表紙に書かれていた文言は 「特…

24

芸術とは。

思い出す、あれは初めての美術館。 ノーマルな人生を全うした場合、決して口にしないような複雑な語感の配列を成した名前の、何処かの遠い国の画家の展示だったと思われる…

101

バンプのメロディ、高田の鼓動。

高校二年の時、同じクラスの裕子ちゃんに恋をした。その子はクラスで一番、いや学年で、いや学校で一番の美人だったと思われる。方や俺はというと 「ちょっと仕込んだオッ…

103
信濃毎日新聞「俺が俺で俺だ」9月『長篠の合戦』の追記

信濃毎日新聞「俺が俺で俺だ」9月『長篠の合戦』の追記

先にこちらを読んでね。

https://www.shinmai.co.jp/feature/moroha/article/202009/04001270.html

追記。
戦を振り返れば織田の戦ぶりは見事なものだった。
透明な白鼻毛(通称忍者)を使いこちらを混乱させたり、途中くしゃみを連発させてその身(毛)を濡らし捕まり辛くする水遁の術、さらにはこちらが「全滅させた!」と思ったら逆の鼻の穴から

もっとみる
おふっ、おふっ

おふっ、おふっ

初めてCDをリリースした時のお話です。
(エッセイ集「俺のがヤバイ」より。)

母だけなら煙にまける自信があった。
ただ、姉がいるのは誤算だった。
二人は学校を卒業しても定職につく事もなく、地元にも帰って来ようとしない俺をしばき上げ、なんとか実家へ引き戻そうと東京までやって来たのだった。
待ち合わせの喫茶店の席に着くなり、眉間に皺を寄せながら母は
「あんたは東京で何をしてるんだい?」
と訪ねた。

もっとみる
へぇー。

へぇー。

「夏っちゃん、俺が守るよ!君を何処へも連れて行かせない!」
俺は叫ぶ。麦わら帽子を被り、水色のワンピースにサンダルを履いた夏っちゃんは、怯えながら俺の手を握っている。しかし、容赦なく迫り来る冷ややかな気配。それが近付くにつれ少しずつ、掴む手の力が弱まっていく。
「あたし…もうダメ。」
「夏っちゃん!ダメだ!行くな!夏っちゃぁーん!」

そんな叫び声が心の内で響く頃、現実世界では
「いやいや、まだ夏

もっとみる
鼻ゴルフ。

鼻ゴルフ。

幼い頃、鼻の穴に石を入れて遊ぶ習慣があった。
そしてそれを「穴に入れる」という共通の一点のみで「鼻ゴルフ」と呼んでいた。
小さいながらに取り出せなくなったらどうしよう、と思ってはいたのだが、不安と共に小石を詰めては、鼻息と小指を使い引っこ抜いては安堵する、というスリルを楽しむアバンギャルドな幼児であった。
一度母親に見つかり「鼻ゴルフ禁止」のお達しは出ていたのだか、その程度では懲りる事無いのが俺の

もっとみる
アントニオ。

アントニオ。

一度は通り過ぎた顔が、ギュインと音を立て引き返した。
久しぶりの二度見だ。
現場はコンビニのエロ本コーナー。
一見ただのエロ本、しかし表紙に書かれていた文言は
「特別付録!脱ぎたてホヤホヤ!美人OLの香り付きパンティー!」
であった。
俺は涙が溢れ出んばかりの衝動に駆られ、拳は震え、唇を強く噛み締め、その場に立ち尽くしていた。
震えながらようやく口から溢れて出た言葉は

そんなバナナ。

であった

もっとみる
芸術とは。

芸術とは。

思い出す、あれは初めての美術館。
ノーマルな人生を全うした場合、決して口にしないような複雑な語感の配列を成した名前の、何処かの遠い国の画家の展示だったと思われる。女の子に「よかったら一緒に行きません?」と誘われ、へーこらとついて行ったのだ。その子は頻繁に美術館へ行ったり、宗教や歴史などの展示を覗きに行くような趣味を持ち、外見も麗しく知的な囲気漂わせていた。彼女はあなたの音楽には芸術の根本たる熱量と

もっとみる

バンプのメロディ、高田の鼓動。

高校二年の時、同じクラスの裕子ちゃんに恋をした。その子はクラスで一番、いや学年で、いや学校で一番の美人だったと思われる。方や俺はというと
「ちょっと仕込んだオットセイの方が上手いのでは?」
という位に下手クソな野球部補欠のジャガイモ野郎だった。無論、バリバリの童貞。
どれ位の童貞かというと、もし月刊「チェリーボーイ」なる雑誌が発行されたとすれば巻頭グラビア、2万字インタビュー、さらには

「好きな

もっとみる