MOROHA アフロ
それゃヒヨコだろ🐥といわれました。
エッセイ集「俺のがヤバイ」からいくつかをまとめました。
先にこちらを読んでね。 https://www.shinmai.co.jp/feature/moroha/article/202009/04001270.html 追記。 戦を振り返れば織田の戦ぶりは見事なものだった。 透明な白鼻毛(通称忍者)を使いこちらを混乱させたり、途中くしゃみを連発させてその身(毛)を濡らし捕まり辛くする水遁の術、さらにはこちらが「全滅させた!」と思ったら逆の鼻の穴から出現するというあの奇襲作戦。このトリックは未だ解き明かせない。 敵ながらあっぱれ
初めてCDをリリースした時のお話です。 (エッセイ集「俺のがヤバイ」より。) 母だけなら煙にまける自信があった。 ただ、姉がいるのは誤算だった。 二人は学校を卒業しても定職につく事もなく、地元にも帰って来ようとしない俺をしばき上げ、なんとか実家へ引き戻そうと東京までやって来たのだった。 待ち合わせの喫茶店の席に着くなり、眉間に皺を寄せながら母は 「あんたは東京で何をしてるんだい?」 と訪ねた。 俺は絶対に良い顔しないだろうなー、と予想しながら 「ラップだけど。。。」 と、渋
「夏っちゃん、俺が守るよ!君を何処へも連れて行かせない!」 俺は叫ぶ。麦わら帽子を被り、水色のワンピースにサンダルを履いた夏っちゃんは、怯えながら俺の手を握っている。しかし、容赦なく迫り来る冷ややかな気配。それが近付くにつれ少しずつ、掴む手の力が弱まっていく。 「あたし…もうダメ。」 「夏っちゃん!ダメだ!行くな!夏っちゃぁーん!」 そんな叫び声が心の内で響く頃、現実世界では 「いやいや、まだ夏は終わってないから。」 と半袖Tシャツ姿で主張する俺がいた。 「なんだかんだ、1
幼い頃、鼻の穴に石を入れて遊ぶ習慣があった。 そしてそれを「穴に入れる」という共通の一点のみで「鼻ゴルフ」と呼んでいた。 小さいながらに取り出せなくなったらどうしよう、と思ってはいたのだが、不安と共に小石を詰めては、鼻息と小指を使い引っこ抜いては安堵する、というスリルを楽しむアバンギャルドな幼児であった。 一度母親に見つかり「鼻ゴルフ禁止」のお達しは出ていたのだか、その程度では懲りる事無いのが俺の性分だ。 道楽サラリーマンよろしく、母親の目を盗んでは鼻ゴルフ三昧の日々を過ごし
一度は通り過ぎた顔が、ギュインと音を立て引き返した。 久しぶりの二度見だ。 現場はコンビニのエロ本コーナー。 一見ただのエロ本、しかし表紙に書かれていた文言は 「特別付録!脱ぎたてホヤホヤ!美人OLの香り付きパンティー!」 であった。 俺は涙が溢れ出んばかりの衝動に駆られ、拳は震え、唇を強く噛み締め、その場に立ち尽くしていた。 震えながらようやく口から溢れて出た言葉は そんなバナナ。 であった。 だって、だって、あんまりだ。 それは男を馬鹿にし過ぎだ。 いくらなんでもコン
思い出す、あれは初めての美術館。 ノーマルな人生を全うした場合、決して口にしないような複雑な語感の配列を成した名前の、何処かの遠い国の画家の展示だったと思われる。女の子に「よかったら一緒に行きません?」と誘われ、へーこらとついて行ったのだ。その子は頻繁に美術館へ行ったり、宗教や歴史などの展示を覗きに行くような趣味を持ち、外見も麗しく知的な囲気漂わせていた。彼女はあなたの音楽には芸術の根本たる熱量とふくよかな詩的表現が含まれている、と言ってくれていて俺の事を少なくとも悪くは思っ
高校二年の時、同じクラスの裕子ちゃんに恋をした。その子はクラスで一番、いや学年で、いや学校で一番の美人だったと思われる。方や俺はというと 「ちょっと仕込んだオットセイの方が上手いのでは?」 という位に下手クソな野球部補欠のジャガイモ野郎だった。無論、バリバリの童貞。 どれ位の童貞かというと、もし月刊「チェリーボーイ」なる雑誌が発行されたとすれば巻頭グラビア、2万字インタビュー、さらには 「好きな子に意地悪しちゃいそう第一位」 「枕にキスの練習してそう第一位」 「母親にはやた