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【文化人類学】日本語の「ん」の謎、聞いていかない?【言語学】

「ん」について

はじめに


めくるめくめぐるの世界にようこそ、
諸星めぐるです。

とうとう、言語学にまで手を出してしまいました。
面白すぎて、資料読みながら、声に出して震えていました。

そんな今回は「ん」について
みなさんご存じ、日本語50音の最後の文字。
この文字、いつから存在していたか知っていますか?

奥深い「ん」の世界にようこそ。


音韻論とは

今回のように、一つの文字のルーツや使われてきた歴史を探るのには、「音韻論」が役に立ちます。
音韻論は言語学の一つです。
「音声がどのように並べられ、どのように入れ替わり、どのように意味を持ったうえで区別するかを考える学問」であり、
私たちが普段何気なく使っている言葉を深堀していく学問になります。


「古事記」には「ん」はない?!

古事記とは、現存する日本最古の書物で歴史書であるとされています。

712年、「古事記」の編纂者太安万侶(おおのやすまろ)は、
「文章に書き表すと、漢字で書き表すことが難しいことがある。すべてを訓で書いてしまうと意味が一致せず、すべてを音で書くと長くなってしまう。」
と愚痴っています。
そもそも、当時の日本語は話し言葉と書き言葉に違いがあったのです。
そこで、中国から渡来した漢字を使った万葉仮名を用いることにしました。

これは、渡来した漢字を当て字にしており、
太安万侶が言うように「美しくなる」形で当て字がつけられています。
そして、当時彼らが学んだのは「唐の時代の長安」の発音「漢音」です。
この勉強のために使われたのが「切韻」、これを詳しくした「韻鏡」(いんぎょう)。
ここにある「ん」の種類は3つでした。
ちょっと次の言葉を発音してみてください。

「案内」・・・舌内撥音(n)音を硬口蓋の舌先で止めるような発音

「案外」・・・喉内撥音(ŋ)喉の奥から鼻にかけて息を抜くような発音

「日本橋」・・・唇内撥音(m)上下の唇を閉じて、前の音がこの唇の部分で一度閉じる発音

ね、違うでしょ。
日本の根本的な「ん」の発音はこうして出現します

「ん」の文字をめぐって

この「ん」の文字表記ですが、当時の中国にもなかったようです。

ここで「ん」という文字を渡来させた人間として、天才空海が登場します。

空海は遣唐使として中国にわたり、インドのサンスクリット語で書かれたオリジナルの教典から「ん」の文字を持ち帰りました。

そこで「」の登場である。
これは「阿」「吽」という世界の始まりと終わりを表す思想でした。

いずれにしても、真言宗をはじめとする仏教の流行で貴族に
そして、末法思想の影響で果ては庶民にまで、「ん」が浸透します。

平安貴族の愚痴り屋代表、清少納言なんかは「ん」ということばは
穢れていて厭だなんて語ってたりもするようです。

その後、文字の初出としては
カタカナの「ン」は1058年の「法華経」で
ひらがなの「ん」は1120年「古今和歌集」だとか。

そう、意外と最近なんです。

さらに江戸時代になると印刷ブームと流通の増加に伴い、「ん」という言葉が広く知れ渡っていきます。
その中でも「ん」の文字表記は作者の自由意思によってなされ、表記には消極的だったようです。
そしてみんな暇なときに絶対やっていた「しりとり」も、江戸時代にはなかった遊びだとか。

明治時代に入り「教育」が浸透することで、ようやく「ん」という文字も一般化されていくこととなります。


さいごに


いかがだったでしょうか、「ん」の世界。
以外に文字としての歴史は浅く、発音としては複雑なものでしたね。
本日の参考文献はコチラです

それでは今回はここまで!
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諸星めぐるでした!
さようなら×3