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文章の基本が全て詰まっている 『新しい文章力の教室』を実践してみた

文章ノウハウ本って実際役にたつの?そんな疑問を持つ方の代わりに、文章初心者が本に沿って文章を書くプロセスを公開していきます!購入を考えている一歩手前の読者の役に立てばいいなーと思いながら書いています。

第二弾は『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』

コミックナタリー初代編集長の唐木元さんが、社内向けの教育ノウハウをなんと一冊の本にしてくれました!他社の文章ノウハウを1500円以下で学べるとは、なんというご時世でしょう。感謝です。では早速実践していきます。

文章には事前準備が大事

本書のノウハウは完読、つまり読み手に文章を読みきってもらうことがゴールです。そのために欠かせないのが事前準備。ナタリーではこの事前準備で「構造シート」と呼ばれる、いわば設計書のようなものを作成します。今回は中止になった札幌のYOSAKOIソーラン祭りの代わりに開催される「Virtual YOSAKOIソーラン祭り」をテーマに進めていきます。

第一ステップ 材料を集める
とにかく関連する話題を集めます。

・札幌初夏の風物詩「YOSAKOIソーラン祭り」が中止
・中止の原因はコロナ
・29回目にして初の中止
・全国から約280チーム・28000人の参加者、約200万人の観客の方々が参加するイベント
・中止の代わりに「Virtual YOSAKOIソーラン祭り」を実施することに
・本祭を予定していた6/10 ~ 6/14に
・ライブ配信のみ、Youtubeにて
・企画:YOSAKOIソーラン祭り学生実行委員会
・配信:YOSAKOIソーラン祭り公式Youtubeチャンネル
・少しでも祭りを通して地域に元気と感動を届けることができれば、との願いから企画された
・コンテンツは第26回~28回過去3年間の本祭ダイジェスト映像、28年間分の全大賞受賞チーム映像、参加予定だった各チームから提供された動画
・学生実行委員会からは「祭りは中止になりましたが、参加を予定してくださった皆様と、また観る事を楽しみにしてくださった方々と、6月10日から6月14日、かけがえのない時間を過ごす事ができれば幸いです」と。
・真剣に遊ぶをモットーに掲げるチーム「夢翔舞」は、伝統の337拍子でエールを送る

ざっとですが、こんな感じでまずは箇条書きで文章の材料をかき集めましょう!!

第二ステップ 主眼をセットする
主眼は、言い換えるとコンセプト、切り口です。集めた材料からどういったコンセプトで文章を書くのか。筆者の力量が試されます。今回は「初の開催中止となったYOSAKOIソーラン祭り、Youtubeで笑顔と元気を届ける」と設定しました。

第三ステップ 集めた材料の中でどこに重点を置くか、を考える
もっともアピールしたい部分にA、基本情報にB、付帯情報にCと振ってみてください。僕はコンセプトを「初の開催中止となったYOSAKOIソーラン祭り、Youtubeで笑顔と元気を届ける」としているので、
・ライブ配信のみ、Youtubeにて
・少しでも祭りを通して地域に元気と感動を届けることができれば、との願いから企画された
の二点をAと振りました。

第四ステップ 順序を決める
結論 → 問題提起 → 状況説明 → 付帯情報、の構成で集めた材料を並べ直します。本書では新しい構造シートを作成すべきだと述べていますが、今回僕はサボります。ごめんなさい。

第四ステップまで作成した構造シートがこちらになります↓

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汚い字ですみません。。

とりあえず文章にしてみる

さて、構造シートをもとに、文章を書いていきます。

【初の開催中止となった「YOSAKOIソーラン祭り」、Youtubeで元気と感動を届ける】

6月10日から6月14日、Youtubeで「virtual YOSAKOIソーラン祭り」が開催される事になった。
全国から約280のチーム、28000人の参加者、約200万人の観客が参加する「YOSAKOIソーラン祭り」。新型コロナウイルスの影響で今年度の中止が4月に決定した。札幌初夏の風物詩と謳われている人気イベントの中止決定に、全国から悲しみの声が広がった。

しかし、「世間に暗い雰囲気が流れているこんな時だからこそ、少しでも祭りを通して地域に元気と感動を届けたい」との思いから、「virtual YOSAKOIソーラン祭り」を実施する事に。本祭を予定していた6月10日から6月14日の5日間、YoutubeのYOSAKOIソーラン祭り公式チャンネルから無料でライブ配信される。

過去3年分のダイジェストや28年分の全大賞受賞チームの演舞や参加予定だった各チームから提供された映像などが放映される予定だ。「真剣に遊ぶをモットーに掲げる夢翔舞は、伝統の337拍子で世界にエールを届けます!」など、各チーム意気込んで映像を作る事に協力している。

学生実行委員会からは「祭りは中止になりましたが、参加を予定してくださった皆様と、また観る事を楽しみにしてくださった方々と、6月10日から6月14日、かけがえのない時間を過ごす事ができれば幸いです」とのこと。

節目の30回を目前にした「YOSAKOIソーラン祭り」、今年はどんな感動の渦を巻き起こすことができるのだろうか。

あとはひたすら文章の推敲作業

本書に則って推敲作業を進めていきます!

1 重複チェック
単語、文節、文型、段落、コンテンツ、これらの単位でそれぞれチェックしていきます。

約280のチーム、28000人の参加者、約200万人の観客

ここが怪しいですね。同じ文型で3つ並んでしまっています。本書では2連は黄色信号、3連はアウトとしているので、最低限黄色信号には持っていきましょう。修正します。

約280チームと28000人の参加者、さらに約200万人の観客

他にも黄色信号があります。

新型コロナウイルスの影響で今年度の中止が4月に決定した。札幌初夏の風物詩と謳われている人気イベントの中止決定に、全国から悲しみの声が広がった。

黄色信号はセーフという甘々な自己評価を今回はしますが、過去のことを話すときは「〜した」など重複してしまいがちです。文末表現が多彩だと、文章にリズムが生まれ、リズムが生まれると完読に近づきます。重複チェックをして、文章にリズムをもたらしましょう!
また、今回は1コンテンツだけなので、コンテンツ単位でのチェックは除きます。連載などを書く方はコンテンツ単位での重複にもアンテナ張ってみてください!

2 主語と述語を意識しながら構造に還元して読む
「構造に還元して読む」とは、主語、述語、目的語、を意識して読むことです。ひとつ主語がわかりずらい箇所がありますね。

しかし、「世間に暗い雰囲気が流れているこんな時だからこそ、少しでも祭りを通して地域に元気と感動を届けたい」との思いから、「virtual YOSAKOIソーラン祭り」を実施することに。

思いは誰のものか、そして「virtual YOSAKOIソーラン祭り」は誰が実施するのか、謎ですね。主語を補います。

しかし、「世間に暗い雰囲気が流れているこんな時だからこそ、少しでも祭りを通して地域に元気と感動を届けたい」との思いから、学生実行委員会は「virtual YOSAKOIソーラン祭り」を実施することに。

主語を加えることで、内容がすんなり頭に入ってくる文章に変わりました。主語、述語、目的語を意識することは大事ですね!

3 漢字とかなのバランスに注意する
文章をパッとみたとき、漢字が多すぎると黒っぽく見え、読み手が離脱してしまう可能性が高まります。こんなときは漢字をひらがなに変換してあげましょう。この行為を「開く」と言います。よく挙げられるのは

事 → こと
時 → とき

です。変えますので、後ほど載せる最終形を確認してみてください。

4 誤植の頻発ポイントでは事実確認を厳重に
特に固有名詞を書く際の注意点です。今回出てくる固有名詞は「YOSAKOIソーラン祭り」と「Youtube」と「virtual YOSAKOIソーラン祭り」。このうち最後の「virtual YOSAKOIソーラン祭り」は公式ホームページと表記が違います。正しくは最初のv(小文字)がV(大文字)です。こういった間違いをなくすために、固有名詞に関してはコピペをしましょう。

5 翻訳文体にご用心
翻訳文体とは、まるで英語を翻訳したかのような文体ということです。一箇所見つけてしまいました。

各チーム意気込んで映像を作る事に協力している。

映像を作ること = 映像制作、と言えますね。

各チーム意気込んで映像制作に協力している。

うん、わかりやすい。

6 伝聞表現は腰を弱くする
〜とのこと、〜だそうだ、など曖昧な表現はつい使ってしまいがちです。僕も見つけてしまいました。

学生実行委員会からは「祭りは中止になりましたが、参加を予定してくださった皆様と、また観る事を楽しみにしてくださった方々と、6月10日から6月14日、かけがえのない時間を過ごす事ができれば幸いです」とのこと。

ただ、こういった表現は文章のリズムをなくし、読者が離脱してしまう要因です。

「祭りは中止になりましたが、参加を予定してくださった皆様と、また観る事を楽しみにしてくださった方々と、6月10日から6月14日、かけがえのない時間を過ごす事ができれば幸いです」。

思い切って主語まで省略してみました。前文との関係から主語を推測できそう、と主観的な判断です。けれど言い切ってみると、修正前よりも格段に読みやすくなりました。
僕自身も本から得た情報でもなるべく曖昧表現を使わず言い切る努力をしています。勇気がいると思いますが、頑張って言い切ってみましょうー!

7 列挙の「と」「や」は最初に置く
こちらはお作法の話になります。同じ要素を並べるとき、「と」「や」の位置は最初の情報のあとが一般的です。

過去3年分のダイジェストや28年分の全大賞受賞チームの演舞や参加予定だった各チームから提供された映像などが放映される予定だ。

こちらの文章は放映される要素が並んでいます。「や」が乱立してしまっていますね。最初の情報のあとだけに「や」を置いてそれ以降は「、」で繋ぐことにしてあげましょう。

過去3年分のダイジェストや28年分の全大賞受賞チームの演舞、参加予定だった各チームから提供された映像などが放映される予定だ。

8 可能表現に頼らない & 便利な「こと」「もの」は減らす努力を
〜ができる、〜なことはお手軽に扱えます。だからこそ文章のオリジナリティが薄れてしまいます。見つけてしまいました。

節目の30回を目前にした「YOSAKOIソーラン祭り」、今年はどんな感動の渦を巻き起こすことができるのだろうか。

下記のように簡単にできますね。

節目の30回を目前にした「YOSAKOIソーラン祭り」、今年はどんな感動の渦を巻き起こすのだろうか。

結構やりがちなので、注意が必要です。

完成した文章がこちら

【初の開催中止となった「YOSAKOIソーラン祭り」、Youtubeで元気と感動を届ける】

6月10日から6月14日、Youtubeで「Virtual YOSAKOIソーラン祭り」が開催されることになった。
全国から約280チームと28000人の参加者、さらに約200万人の観客が集まる「YOSAKOIソーラン祭り」。新型コロナウイルスの影響で今年度の中止が4月に決定した。札幌初夏の風物詩と謳われている人気イベントの中止決定に、全国から悲しみの声が広がった。

しかし、「世間に暗い雰囲気が流れているこんなときだからこそ、少しでも祭りを通して地域に元気と感動を届けたい」との思いから、学生実行委員会は「Virtual YOSAKOIソーラン祭り」を実施することに。本祭を予定していた6月10日から6月14日の5日間、YoutubeのYOSAKOIソーラン祭り公式チャンネルから無料でライブ配信される。

過去3年分のダイジェストや28年分の全大賞受賞チームの演舞、参加予定だった各チームから提供された映像などが放映される予定だ。「真剣に遊ぶをモットーに掲げる夢翔舞は、伝統の337拍子で世界にエールを届けます!」など、各チーム意気込んで映像制作に協力している。

「祭りは中止になりましたが、参加を予定してくださった皆様と、また観ることを楽しみにしてくださった方々と、6月10日から6月14日、かけがえのない時間を過ごすことができれば幸いです」。

節目の30回を目前にした「YOSAKOIソーラン祭り」、今年はどんな感動の渦を巻き起こすのだろうか。

修正前と修正後で見違える文章になりました!本書には、ここで紹介できなかったチェックポイントやテクニックがまだまだたくさんあります。

この本にあるライティング法と相性の良い文章

・webサイト上の記事
・仕様書
などの大勢に見られる文章は向いてそうです。もちろん文章の基礎が全てと言っていいほど詰まっているので、万人が参考にできると感じました!

気になる方はぜひ読んでみてくださいね!!




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