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心揺さぶる文章力が身に付く!『20字に削ぎ落とせ』を実践してみた

第六弾は『20字に削ぎ落とせ』

「この本、役に立つの?」

そんな思いを持った方の少しでも力になれればと思い、始めた文章ノウハウ本実践シリーズ。6回目の今回は『20字に削ぎ落とせ』を実践してみました。著者の信元夏代さんは、8歳児の語彙力しかなかったにも関わらず、ニューヨークのスピーチ大会を4連覇した凄腕プロスピーカーです。相手を動かす伝え方として「ロジカル思考 × ストーリー」を掲げています。その手法にのっとって

・出版業界の物流課題に対する解決策のプレゼン

をテーマに文章法を実践していきます!(前職が出版業界だったため、自分にとって比較的書きやすいテーマを選ばせていただきました)

STEP 1 聞き手視点で情報を整理する

まず、4つの質問で聞き手との共通点を探します。4つの質問とは

聞き手は誰?
聞き手のメリットは?
聞き手になぜ自分が話すのか?
聞き手にどう行動して欲しいのか?

です!今回のテーマで整理してみると

聞き手は誰? 出版物流を担う会社のお偉いさん
聞き手のメリットは? 不安定な出版物流を再構築でき、結果として読者へより本を届けやすくなる
聞き手になぜ自分が話すのか? 本に救われた過去があり、低迷する出版業界を立て直したいという思いがあるから
聞き手にどう行動して欲しいのか? 提案した解決策をもとにプロジェクトを始動してほしい

になります。ここで聞き手との共通点は「低迷する出版業界を立て直したいという思いがあるから」の部分になりそうですね。個人的な意見ですが、思いを共通点に持ってくると相手に響きやすいと思っています。ロジカルと感情のバランスが大事だと、以前ご紹介した書籍に書いてありました。

STEP 2 何を伝えるか

ここでは構成面の話がメインになります。一般的にオープニング(導入)、ボディ(本論)、クロージング(締め)の3段階構成です。しかし、相手を動かすには足りません。9段階必要なのです。この構成をご紹介する前に、ポイントを先に伝えます。

(1)すべてはワンビッグメッセージに向かっていること
(2)ポイントごとにトランジション(移行)が含まれていること
(3)オープニングとクロージングがそれぞれ三分割されていること

ここでいうワンビッグメッセージとは、20字以内に削ぎ落とした伝えたいメッセージのことです。タイトル通りですね。(1)を言い換えると、9段階のどの段階においても、ワンビッグメッセージに向かった文章であることを必要としています。(2)ではワンビッグメッセージを支える根拠だけを並べると聞き手は混乱しやすくなるので、根拠と根拠の間に移行する文章を挟む必要があることを伝えています。(3)では惹きつけるオープニングと読後感・聞き心地の良いクロージングをするために、三分割することが推奨されています。

このポイントをまとめた9段階構成が以下になります。

①オープニング(バーン!、ビッグプロミス、ロードマップ)
②第1ポイントへの移行
③第1のメインポイント
④第2ポイントへの移行
⑤第2のメインポイント
⑥第3ポイントへの移行
⑦第3のメインポイント
⑧終わりへの移行(シグナル、Q&A、クロージングへの移行)
⑨クロージング

メインポイントに何を書けばいいのかというと、ずばり根拠です。まず最初にワンビッグメッセージを決めると思います。そのあとに

ワンビッグメッセージ→なぜなら→メインポイント(why so)
メインポイント→だから→ワンビッグメッセージ(so what)

のふたつでつじつま合わせをしてください。実際にぼくのテーマでやってみると

物流拠点を分散すべし(ワンビッグメッセージ)→なぜなら→ 地方都市への物流遅延を回避できる(メインポイント)
地方都市への物流遅延を回避できる(メインポイント)→だから→ 物流拠点を分散すべし(ワンビッグメッセージ)

みたいになります。この時メインポイントに持ってくる要素は聞き手によって変えましょう。

おそらくオープニングとクロージングについて、?マークがあると思うのでこの場ではオープニングに関してのみ補足していきます。

バーン!    = インパクトのあるつかみ
ビッグプロミス = 聞き手への約束(例:この授業が終わる頃には文章法を身につけています)
ロードマップ  = アジェンダ(例:文章法のポイントを3つ説明します)

バーン!にはいくつか、方法があります。それは次の章で説明するので一度後回しにします。また、今回実践した文にこの構成番号を添えているので確認してみてくださいね。

STEP 3 どう心を掴むか

構成ができたら、聞き手読み手の心を掴むためにいくつか工夫をしていきましょう。

まずひとつはメインポイント部分でストーリーを語ることです。ストーリーは3幕構成↓

一幕 主な登場人物が出てきて、ストーリーの状況設定
二幕 危機が訪れる。困難が降りかかりながらも果敢に立ち向かい、危機的状況に変化をもたらす
三幕 その変化の結果得られた新たな状況が描写される

で作りましょう。桃太郎など、昔話の多くはこの構成です。この時二幕が重要になります。人は誰しも失敗談にこそ共感するので、4つのF(失敗、不満、初めての体験、欠点)で問題や葛藤、危機的状況を思い浮かべましょう。

もう一つは、つかみとクロージングにひと工夫加えましょう。それぞれ手法をご紹介します。

【つかみの手法】
・ストーリー 例:あれは三年前のことです。
・パワフルな質問 例:明日死ぬとしたら何しますか?
・驚きの事実 例:実は、1日に8万点もの新刊が世に出ているのです
・引用 例:スティーブ・ジョブスは言いました。〜〜と。

【クロージングの手法】
・ストーリー
・引用
・行動喚起 例:〜〜してみてください。
・質問

他にも手法はありますので、知りたい方は本書を読んでみてくださいね。

出来上がった文章がこちら!

8万。これは1年に出るおおよその新刊点数です。出版不況と叫ばれながら、実はこれだけ多くの新刊が世に出ています。(バーン!驚きの事実)

過去20年ほどは年々書籍の売り上げを落としていても、新刊点数自体はそれほど変わっていません。これだけでも驚きですが、さらに衝撃の事実があります。物流の拠点が首都圏に一極集中しているのです。いまは首都圏で本が発行され、そこから北は北海道、南は沖縄まで鉄道やトラックでせっせと運んでいます。

この状況は一刻も早く変えるべきです。具体的にいうと、一極集中している物流拠点を分散させるべきです。(ビッグプロミス)
その理由を3つの観点からお話しします。(ロードマップ)

みなさん、北海道で暮らしていると想像してみてください。(第1ポイントへの移行)
明日は『鬼滅の刃 22巻』の発売日。早く明日が来ないかと心待ちにしています。一刻も早く店頭に山積みされた中の1冊を手に取り、家に帰って物語の続きを読みたいはずです。(第1のメインポイントの一幕)
そして待ちに待った次の日の朝、早くから開店している書店に行っても『鬼滅の刃 22巻』は置いていません。店員に尋ねたら

「福島県で鹿と列車が衝突して、物流が止まってしまった。今日は入荷しません。」

と。なんてことでしょう。その日の楽しみが一気になくなってしまいました。そして北海道で楽しみにしていた人は大勢いたはず。東京都に住んでいれば今日読めたはずのものが、北海道に住んでいたがために今日読むことができません。(第1のメインポイントの二幕)

そうです。これがひとつ目の理由です。いまは首都圏に物流拠点が集中しているため、大阪府で線路遮断されたらそれより西の地域には本が届けられないし、福島県で線路障害起きたらそれより北には本が届けられません。

物流拠点を分散させることができれば、こんなことは起こりません。たとえ福島県で鹿と列車が衝突しても北海道には関係ないし、大阪府で災害が起きたとしても九州地方では新刊が流通します。『鬼滅の刃 22巻』を心待ちにしている人たちへ、発売日通りに届けることもできるでしょう。(第1のメインポイントの三幕)

これまでは物流手段がストップする話をしてきました。しかし、さらに重大な問題が考えられます。それは現在物流拠点になっている首都圏が、首都直下型地震などで機能停止してしまうことです。これがふたつ目の理由です。(第2ポイントへの移行)

物流拠点である首都圏で災害が起きたとしましょう。(第2のメインポイントの一幕)
そうなると、首都圏の方のみならず全国の方に本が届けられなくなります。お母さんが読み聞かせてくれる絵本を楽しみにしている幼児や夏休みの宿題で読書感想文を課された中学生、仕事で壁にぶち当たっている社会人の方々など、本を求めている全国の人から笑顔を奪います。それだけは何としても避けたいとお考えになっているはずです。(第2のメインポイントの二幕)

全国に物流拠点を設ければ、たとえ首都圏が機能しなくなっても本を届けることができます。全国の方々に希望の灯をともすことができるのです。(第2のメインポイントの三幕)

最後にビジネス的な話をしましょう。(第3ポイントへの移行)
みなさん、物流費が高騰して頭を抱えていませんか?近年、配送業者の人材不足により物流費が高騰しています。この流れは今後10年は続くでしょう。(第3のメインポイントの一幕)それに加え貨物列車による輸送もあるため、推測ではありますがおそらく物流費だけ見ても相当コストがかかっているのではないのでしょうか?(第3のメインポイントの二幕)

この問題に対しても物流拠点の首都圏一極集中をやめることで、貢献できるのではないかと考えています。物流拠点を分散させても各店舗へ本を届ける足に関しては欠かせないため、配送業者にかけるコストを割くことはできません。言い換えると、物流拠点を分散させれば貨物列車にかかるコストを減らすことができます。(第3のメインポイントの三幕)

限定的ではありますが仕組みを変えることで、ただ本を届けるためだけに今まで支払っていた経費を、事業を促進させるための投資に変えることができるのです。この変化は、より御社をスケールアップさせる起爆剤になるに違いありません。(シグナル)

これまでの話を聞き、物流拠点の分散することのメリットに関しては納得いただけましたでしょうか?納得していただけたとしても、ひとつ疑問を抱えているのではないのでしょうか?

果たして、どうやって実現するのか。(Q&A)

この実現方法に関して、私たちはノウハウを持っています。物流拠点の分散化という一大プロジェクトをともにできたら、必ずや未来の出版業界を変えてみせます。(クロージングへの移行)

私は昔、いじめられっ子でした。引きこもって暗い人生を送っていました。ある日、お母さんが一冊の本を渡してくれました。今の私があるのはその本のおかげです。暗い部屋から明るい外の世界へ押し出してくれました。知らない世界を教えてくれました。だからこそ、出版業界を低迷させたくない、復活させたいという思いがあります。

ぜひ一緒に、出版業界を変えてみせましょう。(クロージング)

なかなかの大作になってしまいました。本書で紹介された構成をもとに文章を作成したら、平気で1500文字以上の文章は書けそうですね(しかも相手を動かす力を持って)。ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

スピーチライティングにこの文章法を!

・結婚式のスピーチ
・プレゼン

など、相手を動かしたい時にこちらの本はものすごく参考にしたいと思いました。「ロジカル思考 × ストーリー」の文章をマスターしたいですね。

今回の記事を読んで、『20字に削ぎ落とせ』が気になった方はこちら↓



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