『ブラックジャックによろしく』を読んでみた
『ブラックジャックによろしく』を全巻読み終え、こう思った。
「どれくらいリアルな話なのだろうか」
すぐに全てを鵜呑みにはできない内容だけれども、結構論理的に描かれていて決して信じられない内容ではなさそう、というのが正直な感想だ。そしてもしこの漫画に描かれている内容が全て本当なら、医療業界は変わる必要がある。
例えば医者として出世するかどうか。これはどれだけ患者を救ったか、どれだけオペをしたか、ではなく論文の出来で決まる。だから名医と呼ばれている人でも、手術が上手いとは限らない。大病院の教授よりも、小さい病院の医者の方が経験を積んでいる可能性がある。しかし、その事実を私たちは知らない。
仮に手術にものすごくスキルが必要な病気にかかってしまったら、私たちは何を頼りにお医者さんを探せば良いのだろうか。規模の小さな病院で治せない病気にかかり、大きな病院を紹介されても安心は出来ない。患者が安心できる場所はどこにあるのだろうか。治すのが難しい病気にかかったら安心できる場所はないのか。こういう時口コミがあれば便利なのだが。
他にも、未承認薬の話には驚いた。
がん領域における薬は、アメリカやヨーロッパなど他国で承認されている薬でも、日本は未承認であることことが多いそうだ。ではなぜこれが問題なのか。
実は未承認薬は全額自己負担なのだ。保険が適用されない。しかも未承認薬を治療に取り入れたら、本来は保険適用内のものまで自己負担になってしまう。これでは海外で認められている薬でも、その薬が日本で認められていなければ使用したくても一部のお金持ちしか使用できない。
他にも興味深い話題はたくさん出てきた。医局間での協力体制が脆弱であること、精神病患者への世の中の偏見、膨らみ続ける医療費など、実際に私たちには関係ないことからすごく身近なことまでこの漫画は議論していた。
そして思ったこと。仕組みはとてつもなくでかい力。仕組み次第で、良い方向に動くこともあるが、悪い方向へ動くこともある。まるで私たちには見えない力が働いているかのように。
医者が出世する仕組みも、未承認薬に関する仕組みも、悪い方向へ動いてしまっている気がしてならない。他にも調べたが予防医療の仕組みも良い方向へは動いていない。
今現在、人は病気になって治療して初めて保険が適用される。つまり予防のための補助はない。
人生百年時代と言われ、ますます高齢者が多くなると予想されている。そうなってくると、大きな病気にかかり治療が必要な人も増えるかもしれない。そして多額の医療費が必要になった時、国民から集めた医療費だけで足りるのだろうか。絶対に足りると言い切る人は調べた限りいなさそうだ。
では、国民から集めた医療費を治療に使うのではなく、予防に使ったらどうなるだろうか。これも今議論されている最中だった。でも可能性は感じる。そして、予防医療にも補助が出るような仕組みを作っている企業がある。
その会社が描く未来の医療を見てみたい。いや、一緒にその会社が描く未来の医療を作ってみたい。
今まで医療に特別な興味を持ったことはなかった。けれどもひょんな事がきっかけで医療に興味を持つようになった。そして『ブラックジャックによろしく』は医療への興味をさらに強くした。
医療は誰もが身近な話題なので、一読の価値はあるかなと感じた。それと、医療の現実を知っている人の感想も知りたいと思った。
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