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人事トップを外部から招くことの難しさ

先日、てりたまさんが、監査法人において管理部門のトップを外部から招くことの難しさをnoteに書かれていました。

では、監査法人以外のいわゆる事業会社ではどうなのでしょうか?管理部門の中でも、特に従業員に与える影響が大きく、また、近年日系企業においても外部招聘の目立つ人事部門について、考えてみたいと思います。なお、あくまで私の勤務経験の観測範囲からくるものであり、厳密な調査などを行って結論を出しているわけではないことを、あらかじめご了承ください。


日系企業における人事部門の位置づけ

日本企業における人事部門は、管理部門の中でも格の高いエリート部門とみなされている企業が多いと思います。日本的経営と言えば「終身雇用」「年功序列」「企業別組合」が三種の神器とまで言われてきたわけですが、実はこの三つ、全て人事部門と密接なかかわりがあります。終身雇用のスタートである新卒一括採用の時から、大半の従業員は人事部に各種データを管理され、配属を決定されるのですから、恐れ、敬われるのも当然ですね。そして、年功序列が崩れないようにしつつ、昇進させる人とそうでない人を丁寧に選り分けていきます。更に、労働者の権利を守るための存在である労働組合に対しても、企業が受け入れられないような要求はさせないようにコントロールするのも人事部門の役割であったりします。人事部門の幹部社員になる人は、組合に一時出向(これを専従と呼んだりします)して、組合内に人脈を作ってから昇進していく、というケースも多かったようです。これらの役割を適切に担える人事部員というのは、長く同じ会社に勤務しており、社内の動向や過去からの歴史、人間関係や社員たちの能力などに精通している、極めて企業特殊的な技能を持った人たちであったと想定されます。
重要な役割を果たしてきた人事部門ですが、「失われた30年」の中で日本的経営が色あせ、中途採用の活性化や、ジョブ型と呼ばれる新しい人事の考え方が浸透してくるにつれ、人事部門のトップや管理職を、主に外資系の経験者の中から採用するという動きが増えてきたようです。

外資系企業で人事部門に求められる役割

外資系企業は上述の日本的経営に強くとらわれている会社は多くありません。必然的に、人事部門の社内での立ち位置や求められる役割も大きく変わってきます。外資系企業では人事部ではあくまで事務処理を行うだけの部署、という意見を見ることがありますが、私の経験では少し違うように思います。

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