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響いた言葉が返るとき

今日はいいことがあった。

竹内さん(仮名)と仕事をした。
お別れして数時間後、竹内さんからお電話が。

忘れ物?それとも、何かお叱りをうけるようなことをしてしまっただろうか?
緊張して電話を取った。

竹内さんは言った。
「千明ちゃん、竹内勇太のことを覚えてますか?」

竹内勇太(仮名)くんは、中学の同級生である。
竹内さんは、そのお母さんだった。

竹内さん曰く。
勇太くんは中学時代、太っているのを理由に女子から邪険にされていた。
そんな中、唯一普通に接して元気づけていたのが私…ということらしい。

勇太くんから話を聞いた竹内さんは、私にお礼を言いたかったが、中学卒業後疎遠になってしまい、言えずじまいになってしまった。
今日、私と会って「もしかして?」と思い、家で卒業アルバムを確認して、電話をくれたのだった。

正直、全く覚えていなかった。
勇太くんが邪険にされていたことも、私が彼にかけた言葉も。
でも、竹内さんは覚えていた。
十数年経っても。

「今日、千明ちゃんに出会えて本当に良かった。無理しすぎず頑張ってね」
そう、温かい言葉をもらって、電話を終えた。


家に帰って、両親に話した。
驚いたことに、二人とも勇太くんのことを覚えていた。
中学の保護者会で、竹内さんが母に話したのだという。母はその日の夕食で私を褒め、父はそれを聞いていたとのこと。
「体育のフォークダンスで、あなただけが手をきちんと繋いでくれたって言ってたよ」
すみません。やっぱり覚えてないです。

だけど、嬉しかった。
私の言葉が、知らないところで誰かの心に響いていた。
何年経っても、私の言葉を覚えてくれている人がいた。

そして今日、竹内さんの温かい言葉が、私のもとに返ってきた。

大袈裟かもしれないけど、今日まで生きていて良かった。
竹内さんの言葉を受け取ることができたから。

明日、明後日と生きていれば、また嬉しい言葉を受け取れる日が来るだろうか。
そうだといいな。

今日のことは、ずっと忘れない。
忘れないでいたい。