見出し画像

NHK奇跡のレッスン パティシエ編

素晴らしかった。。。

奇跡のレッスン、パティシエ編。京都・福知山のパティシエを夢見る高校生たちに、ジャン=ポール・エヴァンさんがチョコレート菓子作りのレッスンを。奇跡と銘打ってはいるけれど、先生が巨匠すぎてビックリ。NHKすごいなあ。そして、なんて幸運な高校生たち!

レッスンの第1回目は、宿題として課されていたチョコレートケーキを、ジャン=ポール・エヴァンさんに品評してもらうところから始まる。ガチガチに緊張している高校生たちに、微笑みを浮かべながらもビシバシコメントする先生笑。

洗礼を浴びたあとは、生徒たちにチョコレート菓子を多角的に理解させるため、三つののアクティビティを。

まずは、生徒たちに、いくつかのタイプの異なるチョコレートを、藁や檜の香りを嗅ぎながら食べさせる。単体で食べるときと、香りと一緒に食べるとき。両者で味わいがどう変わるかを、生徒たちに体感させる。どの香りが、もともとチョコレートが持つ風味を引き立てるのか、あるいは損なってしまうのか。

つぎは、課外授業。貸切バスに乗って農場を訪ね、どうやってトウモロコシを育てているか、農家さんから話を聞く。ひとつひとつの生産物に、それらを育てる生産者さんがいることを学ぶ。

そして今度は、生徒たちをグループにわけ、チョコレートと組み合わせたら面白い食材を調達し、オリジナルのホットショコラを作る、という課題が出される。最初は困惑する生徒たちが、調理台にずらりと並べられた食材に次々に挑み、チョコレートを引き立てる食材の組み合わせを生み出そうと試行錯誤する。

レッスンの仕上げは、大事な家族や友人を招いての発表会。再度、オリジナルのチョコレートケーキが課題として出され、生徒たちはグループで取り組む。

ここまでのレッスンにおいて、それぞれの悩みを抱えた生徒たち何人かに焦点が当てられる。

現実的な将来をとパティシエの夢を諦めかけている高3の男の子。
実力はあるのに自分の意見をなかなか言えない引っ込み思案な高2の女の子。
シングルマザーとして自分を育ててくれた母親に感謝の気持ちを伝えたいとチョコレートケーキ作りに励む高3の男の子。

でもどの子も、最後の課題に向けて、それぞれの問題を彼ら・彼女たちなりの方法でクリアして、素晴らしいチョコレートケーキを完成させる。最初は心細げで頼りなかった生徒たちの表情がどんどん変わっていく様に、どうしようもなく胸を打たれてしまい、途中から涙・涙・涙。。。

この番組を見ながら、3年間だけ夏に手伝っていた、日本の高校生向け海外研修の仕事を思い出していた。米サンフランシスコや豪ブリスベンに10日間滞在しながら起業家精神を学び、自分たちのプロダクト案を練って、ビジネスピッチをする、というプログラム。

そのプログラムに参加していた高校生の子たちも、まさにああいう表情をしていた。初日からすぐ反応する子もいれば、ずっと無表情だったのに後半になって急に輝き出す子もいて。たった10日間という短い期間で、ものすごく変わっていく彼らの成長の早さに、毎回本当に驚いて、心が動かされて、最終ピッチのときはいつも号泣。。。

合計で100人近い高校生たちに出会ったけれども、10日間一緒に過ごしたあとはどの子も可愛くて可愛くて、宝物のような時間をもらっていた。ああ、あの子たちに会いたい。みんな今はどうしているんだろうか。

もう20年近くも前、新卒で会社に就職して1年目に、全然仕事が上手くいかないことがあって。そのときたまたま話を聞いてくれた先輩に、言われた言葉があった。

「こないだ入社したばかりで、いきなり思うように仕事ができるわけないの。当たり前でしょ。誰もそんなこと期待してない。新人はね、ただ一生懸命にやってるだけで、価値がある。それだけでいい」

当時は、先輩は不出来な新人を慰めるためにそんなこと言ってくれてるんだなあと受けとめていたのだけど、今思うと、ただ事実を言ってただけだったんだな、とわかる。

若者が一生懸命ひたむきに頑張っている姿って、それだけですごく価値がある。そのありようだけで、周りの心を動かしたり、励ますパワーを持ってる。こんな書き方すると、自分がひどく老成したように感じるけれども、でも本当にそう思う。

いろいろなタイミングや事情もあり、その海外研修の仕事はもうしていないのだけど、また高校生たちと関われる仕事があれば、ぜひやりたい。彼らに少しでも与えられるものを持っていられるよう、わたしもわたしなりに精進していかねばと、気が引き締まる思い。

とてもいい番組でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?