見出し画像

グローバリズムの真実~国際結婚の是非②~

世の中が、お互いにとって、思ったほど悪くないのは、その半ばは、人目につかないところで誠実な一生を送り、死後は訪れる人もいない墓に眠る人が少なくないからである。(ミドルマーチ/メアリー・アン・エヴァンズ)

 婚姻制度は成育環境が違う者同士が共同生活を始めるための契約であるため、主義・信条を一致させることがお互いのアイデンティティを尊重することにつながります。日本の場合、戦後の民法改正(家制度の廃止)と、バブル崩壊後の不況、共産主義(マルクス主義フェミニズム)の影響により、結婚観を画一化していた家を継ぐ意識、貞操観念、性別役割分担意識などが希薄化、多様化し、未婚率、離婚率が上昇しています。

具体的には…
・夫は次男だから義理の両親との同居や介護はない(はずだ)
→夫の兄が海外移住してしまい、義理の両親との同居と介護を求められた
・夫が定年まで一貫して家族を養ってくれる(はずだ)
→夫がコロナで失業して自分が家族を養わなければいけなくなった
・共働きだから夫も家事、育児を分担してくれる(はずだ)
→夫は家事、育児を全くしない
・単身赴任しても夫が自分以外の異性と関係をもつことはない(はずだ)
→夫の不倫が発覚した

 私の婚約者は世界一の離婚率を誇る(ダントツ!)ロシア生まれの敬虔なクリスチャンです。ロシアの場合、共産主義時代に宗教活動が弾圧され、一時的に無神論状態となり、ソ連崩壊後の不況で離婚率が高まったものの、ロシア正教(キリスト教)の復興により未婚率は高まらず、伝統的な結婚観は未だにある程度は維持されているようです。この記事では、主にキリスト教の思想に基づき、日本人が欧米人と結婚する場合に想定される主義・信条の不一致について説明します。別記事『グローバリズムの真実~婚姻制度の起源~』もあわせて読んでいただけたらわかりやすいと思います。

①人はどこに帰属するか

 下記動画で竹田氏は『欧米人は家という概念がないから、どこにも属さないっていうことになるんですよ』と言っていますが、欧米において人は神に帰属する(だから出生時に洗礼を受ける)ので、家の概念がないからといって、帰属先がないというわけではありません。国際結婚は夫婦別姓が可能ですが、逆にいえば子どもは産みの親に帰属するわけではないため、母親と父親が別姓であっても、父親と子どもの親子関係は保障されるということでもあります。これが離婚後の共同養育(共同親権)につながる考え方なので、よく理解していただけたらと思います(DINKsが前提の場合を除く)。

 日本の場合、名字はその家系の主義・信条を象徴するもので、改姓は改宗と同等の意義があるのかもしれません。子どもは母親に帰属するため、母親が父親の家系に帰属(改姓)しなければ、父親と子どもは家族になれず、父親が母親の家系に帰属(改姓)する場合も、自分の家系の主義・信条を捨てることになるため、好まれないのだろうと思います。日本人に限らず無神論者の男性は、育て親である母親を信仰の対象にしている場合が多く、母親をルールブックにしてくれる女性を好ましく感じることが多いのではないか(姑と仲が良いと夫婦生活がうまくいくのはこのため?)と思います。

②セクシャリティ

 欧米では同性婚も合法化されていて、LGBTの運動も盛んな印象がありますが、もともとは日本以上に同性愛に対して否定的です。特に男性同士の性交渉は、イギリス(イングランド)では1967年まで違法とされ、ドイツでも1994年まで、ロシアでも1993年まで違法とされていました。ロシアではキリスト教(ロシア正教)が復興したことも影響して、2013年に同性愛宣伝禁止法が施行され、憲法上でも同性婚は明確に禁止されています。

 日本では江戸時代まで上流階級を中心に一夫多妻が定着していたこともあり、(法的問題は別として)男の不倫は甲斐性といった考え方がある程度容認されますが、欧米では一夫一妻の歴史が長いため、性別や経済力は関係なく、不倫は(実際の経験者の割合は別として)原則NGとされます。また、親子関係においては、親が異性の子ども(特に父親が娘)と入浴することが性的虐待とみなされることもあるため、注意が必要です。

 私の婚約者は『結婚=愛のための契約、婚前交渉=婚約』『同棲、中絶は原則NG』といういかにもクリスチャンらしい考え方ですが、その婚約者と出会う前に知り合った無神論者(ロシア人全体の約13%)の男性は『結婚=お金や永住権のための契約、婚前交渉=娯楽』『同棲、中絶は本人の自由』という考え方でした。セクシャリティに関する倫理観には複数の要因が影響しますが、中でも宗教観はかなり強く影響する要因だと思います。


同居、扶助義務

 日本では、子どもが育った後の夫婦生活を重んじる規範意識が強くないため、亭主元気で留守がいいという冗談が通じますが、欧米では、夫婦関係に問題がないのに別居するのは正常な状態とみなされないため、航海士など一部の職業を除き、別居婚(単身赴任)は原則NGとされます。また、日本では、DVというと男性が加害者で女性が被害者のケースが想定されますが、欧米では逆のケースも十分認知されており、夫婦喧嘩が原因で女性が男性に暴力を振るった場合でも警察に通報されることがあります。欧米では女性にも男性と同等の処罰を課すのが一般的です。
 
 また、欧米では、男性が家事育児を分担するのが一般的ですが、女性が家計を管理する習慣(お小遣い制など)もないため、ほとんどの場合、共働きでお互いに生活費を出し合い(必ずしも5:5でなくていい)、残ったお金は各自で管理する(口座を共有する場合もある)のが前提となります。女性がフルタイムで働き、男性だけ家事をしながらパートで働く夫婦や、女性が産休後に職場復帰し、男性だけ育休を取得して子育てをする夫婦も珍しくなく、親に頼らず共働きを継続し、老後も子どもに頼らず夫婦で支え合い生活するのが一般的です。

 ところで、欧米の結婚は国教と結びついているため、聖書に理想的な家族のあり方について記述されています(下記ロシア正教の聖書より引用)。

高潔(純潔)な妻をもつことは、無数の真珠をもつより価値がある。
«Кто найдет добродетельную жену? цена ее выше жемчугов»
家族を大切にしない夫は信仰を捨てた不信心者よりも悪しき者である。
«А кто не заботится о родных, и прежде всего о домашних, тот отрёкся от веры и стал хуже неверующего»(1 Тимофею 5:8)
父と母を敬いなさい(あなた自身に善をもたらすために)。そうすれば神が与えた地で、末永く生きることができるだろう。
«Почитай отца твоего и мать твою, [чтобы тебе было хорошо и] чтобы продлились дни твои на земле, которую Господь, Бог твой, дает тебе» (Исх. 20:12)

 最近、自分が日本人男性と相性が悪い理由を考えてみたのですが、1つは(大正生まれの育て親の影響か?)貞操観念が強いこと、もう1つは(管理職だった母親の影響か?)経済面の責任感が強いことかなと思います。保守的な面と進歩的な面が両極端なので、ふつうの男性にとっては何を考えているのかわかりにくいのだろうと思います。私と同じようなパラドックスを秘めた女性は敬虔なクリスチャンの欧米人男性と相性が良いかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?