見出し画像

エンゲージメントを高める為に、なぜ組織カルチャーが必要なのか

Wevoxが正式にリリースして5年が経ちました。今までに2350社以上の企業に導入いただき、ワーク・エンゲイジメントを軸足に、「どうすれば組織の中でエンゲージメントを高められるのか」に向き合い続けました。

スクリーンショット 2022-05-17 23.41.00

結論から言うと、エンゲージメントを高める為には、現場の改善活動や対話だけでは限界があり経営にボールを戻す為に新しく組織カルチャーのサービスをリリースしました。

Wevoxのユーザーのみならず、エンゲージメントを高めるべく奮闘されている皆様にとって、少しでも参考になればとnoteに思考をまとめることにしました。

▼今回のリリースにより、今後はエンゲージメント以外も見える化することから、エンゲージメントを包含した組織力向上プラットフォームに変更しました。


企業の目的は「エンゲージメントを高める」ではなく「事業を通して社会に価値貢献をする」

最近では、人的資本やESG投資の流れもあり、エンゲージメントを含めた組織力が求められる時代になってきました。多くのサービスが組織の制度や福利厚生にメスを入れ「エンゲージメントを高めるための○○」というキャッチフレーズでサービスを展開しています。

Wevoxでは、パルスサーベイ(1回あたりのサーベイ調査を少量にし、高頻度で実施する仕組み)というテクノロジーを通じて、現場のエンゲージメントを見える化しています。従来の人事や経営企画主導で実施されていた従業員満足度調査(ES調査)とは異なり、1人ひとりの主体性や仕事・組織への感情を扱うエンゲージメントだからこそ、現場での気付きや、日々の会議や振り返りなどで活用してもらうことが肝だと考え、サービスを発展させてきました。

Wevoxを利用いただく企業や組織では、エンゲージメントの重要性を理解いただいているケースも多く、アンバサダーや意欲のある現場の方々を巻き込みながら、如何に活用を促していくか、教育や学習とどうセットにしていくかなど日々ディスカッションさせていただいてます。

一方で、重要性を理解いただけている企業でも、エンゲージメントはなかなか高まりません。もちろん、現場の皆さんもエンゲージメントを下げたいと思う人はいません。なのに改善できない。何故でしょうか。

そもそも企業は従業員のエンゲージメントを高める為"だけ"に存在しておらず(関わる人が幸せになる為のものという側面を失いたくないため"だけ"という表現を入れてます)、社会に価値を提供する為に存在しています。

故により多くの価値を提供する為に、組織を作り、多くのメンバーと共に事を成す訳ですが、当然ながら業務を進める上で、互いに連携する中でのプロセスロスやコンフリクトが発生します。

それらを解決する為に、人事制度や職務規定などを作り、業務プロセスやコミュニケーションパスを整理して、組織をデザインしていきます。

実はこの組織デザインが、構造的に負債になっていたり、エンゲージメントを高める動きとコンフリクトを起こしたりするシーンを度々目にしてきました。

▼評価制度と日々の活動の中で揺れ動くマネージャーの皆様

スクリーンショット 2022-05-11 0.52.50

我々のパートナー企業として、日々ご一緒いただいているMIMIGURI社では、「組織開発」と「組織デザイン」と整理をされています。

現場でのマネジメントや対話など、組織開発と呼ばれる手法だけでは限界があるのは、組織における構造やルールが影響していることに気付きました。

リーダーの役割って?

現場の中での対話やプロセスの改善だけでなく、コミュニケーションパスや人事制度など組織の構造、デザインも同時に見直さないといけない。そういった事を理解しながら日々ユーザーの皆様と向かうのですが、ここで新しい問いが浮かびます。

・組織開発は現場主導で、組織デザインは人事主導で行う場合、経営や企業のリーダーの役割とは何か?(意思決定だけ?)

そんな事を模索していた時に、ブイキューブ社の代表取締役副社長COO 高田様がWevoxのユーザー向けイベントにてプレゼンをしてくださいました。

スクリーンショット 2022-05-11 1.12.10

エンゲージメントの改善はもちろん素晴らしいのですが、高田さんがプレゼンの中で、企業が持つストーリーの重要性を話してくださいました。

ピープル・サクセス室の配置後、時間はかかりましたが、ゆっくりではありますが綺麗な右肩上がりでスコアが上がっていきました。このことにより、ストーリー性のない細かい施策や思いつきはほとんど意味がないことを学習しました。今では、人の時間を使って何かをする場合はストーリーを強く意識し、「なぜ、今、それをやるのか?」の背景等をしっかりと認識するようにしており、安易な施策で全社の時間を使うことはしないようにしています。

この話を聞いて、リーダーはストーリーを語り、企業における一貫性を整えることが重要なのだと理解しました。HowやWhatではなく、Whyを語りながら、組織の中での一貫性をつないでいく。これこそが、エンゲージメントを高める組織を創る上でのリーダーの仕事であると。

スクリーンショット 2022-05-11 9.15.59

ストーリーから生まれるのが組織カルチャー

そんな事を考えている時、両利きの組織をつくる――大企業病を打破する「攻めと守りの経営」の著者であり、今回の組織カルチャーの共同開発者である加藤さんとの出会いがありました。

エンゲージメントの向上が現場任せ、人事任せになっていることに違和感を感じディスカッションをさせていただいていると、加藤さんからコングルーエンス・モデルを教えていただきました。

画像4

引用:【後編】組織カルチャーは「変えられる」。日本企業は再び強い文化を築けるか?より

まさに組織開発、組織デザインの話と、経営やリーダーの役割であるストーリーの話がリンクした瞬間でした。

どれだけしっかりと構造や体制を作りルールを敷いても、組織が同じ価値観や規範を持たないと、常にコンフリクトが発生します。エンゲージメントは自分自身だけではなく、周囲との関わりの中で育まれるものでもあるので、コンフリクトが多く発生する組織で、エンゲージメントを育むのは難しい。

組織カルチャーこそ、組織の中で見える化し育む必要があるものだと感じました。同時に、組織カルチャーというワードを全く聞いたことがないという人はいないと思います。「○○社の作るカルチャーがすごい」「組織の成長はカルチャー作りが大事だ」等、組織づくりをしていると、組織カルチャーの重要性を聞く場面は多くあります。

一方で組織カルチャーを言語化したり、見える化しているケースはほとんどございません。多くの組織では、組織が持つ特有の暗黙知や空気として組織カルチャーが存在しており、企業のリーダーでさえ、正しく自組織のカルチャーを理解していないケースが多いです。結果、組織カルチャーの誤解から戦略・戦術の選択ミスが生まれ、企業の衰退につながっているケースが多いと感じています。

先が見通せないVUCA時代だからこそ、リーダーがVisionを掲げ、Visionの達成に必要な戦略や戦術、組織の構造をデザインし、絶えずストーリーを語りながら、組織の中での一貫性(アライメント)を育み続ける。

その一貫性の結果生まれるのが、組織カルチャーであると考えています。また組織の中での一貫性や、リーダーが語るストーリーから生まれるものだからこそ、組織カルチャーは変革が可能であるとも考えます。

画像8

すでに我々の研究結果から、組織カルチャーの醸成度合いとエンゲージメントの関係が見えてきています。

企業の中で組織カルチャーを育み、その組織カルチャーが浸透しているとき、メンバー間での認識や一体感が生まれ、結果としてエンゲージメントが高まっていく。逆に組織カルチャーが醸成できていない組織ではエンゲージメントが育みづらい。

まさに経営リーダーはカルチャーを育み、そのカルチャーを土台に、現場の対話や改善によってエンゲージメントを育んでいく。組織カルチャーとエンゲージメントがデータ分析からもリンクしました。

我々アトラエでも組織カルチャーを重視していますが、Netflix社やパタゴニア社など、世界的に著名かつ成長を遂げている企業が組織カルチャーにこだわる理由がわかりました。


異なる2つの時間軸を扱えるか

冒頭に記載したように、Wevoxは現場主導というコンセプトの元、パルスサーベイというテクノロジーを用いて、人事の改善サイクルから現場の改善サイクルに移行してきました。チームの状態は日々変化するからこそ、定期的に見える化をし、"今"にフォーカスしながら、現場の中で解決・修正をすることが可能です。

一方で組織カルチャーは一朝一夕で変化するものではありません。定期的に組織カルチャーの現状と理想のギャップを見える化し、リーダーを中心に、理想の組織カルチャーとは何か、その組織カルチャーを作る為に、どういった組織デザインや組織開発、日々のリーダーシップが必要なのかを絶えず議論し続ける必要があります。

この時間軸が異なる2つの要素を上手く育んでいく仕組みを、我々は作っていきたいと考えています。

スクリーンショット 2022-05-11 9.42.46

まずは組織カルチャーを見える化しませんか?

今回1年以上、研究と分析を実施し、現段階では下記の8つを因子として定義しています。(今後変化していく可能性もあります)我々アトラエ社にて実施した際には、一貫性・チーム志向が全社として形成されていました。

Wevoxの仕組みを使うと、10分程度のサーベイを実施いただく形で組織カルチャーを見える化します。(※特許出願中です)

ただ見える化するだけでなく、

・理想とのギャップはどれくらいあるのか?
・経営メンバーと現場メンバーの組織カルチャーの認識の差はあるのか?
・経営メンバー内での、組織カルチャーの認識の差はあるのか?

など、比較を通じて認識のギャップが明らかになります。

経営メンバー内では、「挑戦する風土がある組織だ」と考えていても、現場メンバーからは「失敗を咎める保守的な風土だ」という話は良く聞きますよね?こういったギャップに気づいていただきたいと考えています。

スクリーンショット 2022-05-18 16.37.08

1社でも多くの企業がWevoxを通じて自社のカルチャーを育んでいくきっかけになることを願っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?