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キャラクター描写の改稿①

新刊が発売されて約2週間。少しずつ感想を伺う機会があって嬉しいです!

昨日は雛倉さんが東放学園映画専門学校の授業でお話しされることになっていたので同行したのですが、読んで下さった生徒さんのお声を直接聞くことができてジーンと来ました……。

改めて、ありがとうございました。

雛倉さんと文芸評論家の榎本正樹さん


さて、改稿の様子を引き続き公開していきたいと思います!
今回は、主人公の神林揺というキャラクターの掘り下げに関わる改稿です。

揺はとても受動的で、周囲の空気を読み過ぎる性格という設定なのですが……それを文章から読み取ってもらうのは、なかなか難しいんですよね。相手に合わせる性格の人物だと表面上は波風も立たないので、読者も引っかからずに読んでしまうもの。

揺のそんな振る舞いに、読者にもうっすらとした違和感を持った上で読み進めてもらえたらというのが私の考えでした。

雛倉さんにご相談したところ、揺とクラスメイトとの関わりについて書かれた箇所に加筆下さることになりました。
元の原稿はこちらです。

第一稿


それが、こんな形に変わりました。


第二稿



相手に言われた通りに行動してしまう揺の強烈な受動性を、エピソードとして書いて下さいました。

雛倉さりえさん
「小説を書き始めた頃、人物の描写が苦手でした。〝登場人物が駒のようにみえる〟という旨のご指摘を編集者の方からよく頂きました……。水や植物の描写は好きなのですが、とくにエンターテインメントに寄った作品では、人物の造形に苦戦することが多かったです。
今回も、自分なりに揺のキャラクターは描き尽くしたつもりだったのですが、〝もっと強調してください〟という旨のご指摘を頂いて、やっぱりまだ足りないですよね……という感じでした笑
揺の異様なまでに受動的な性質をより強調するため、短い挿話を入れることにしました。
ついでに千年と麦緒の関係性をあらわせるよう、ふたりの会話も追記しました。」

改稿をいただいて、揺を表すエピソードとしてすごく綺麗に物語に嵌ったな!と驚きました。何故こんな風に言われた通りに行動してしまうのかという疑問が生まれますよね。


しかし……編集者というのは欲深いものでして。素敵な改稿をいただいただけで満足すべきなのですが、更に欲が生まれてしまいました。
ここから追加でお願いをして改稿いただいたので、それについてはまた次回公開しますね!