『森をひらいて』担当編集

2022/5/18に刊行された雛倉さりえさんの『森をひらいて』(新潮社)について情報を…

『森をひらいて』担当編集

2022/5/18に刊行された雛倉さりえさんの『森をひらいて』(新潮社)について情報を発信します!

最近の記事

キスシーンの描写の改稿

こんにちは! 刊行から約一ヶ月。刊行記念ということで、これまで雛倉さんのYouTubeで様々な企画をやってみました。 もうご覧いただいていますでしょうか。 新人賞の選考の裏側についてインタビューいただいた回が特に人気のようで、応募を考えていらっしゃる方がご覧下さったのかなと想像していました。 さて、今回は新人賞の選考の場でも話題になることの多い、ポリティカルコレクトネスに関わる問題について書きたいと思います。 性描写やそれにまつわる考察が含まれますので、ご注意下さい。

    • キャラクター描写の改稿②

      主人公・揺のキャラクター描写についての改稿の続きです。 彼女の複雑な性格を想像させるエピソードを加筆いただいた第二稿ですが、私が気になったのはこちらの箇所でした。 該当部分だけ抜き出しますね。 あまりに相手に合わせる揺の言動を見て、クラスメイトの千年は違和感を抱いた様子。そして、どこか歪な揺の様子が気になったのか、少し距離を縮めるような提案をしてくる––––というやり取りです。 物語の中の「普通」を感じさせるポイントとして、千年の反応は読み手の反応にも繋がります。揺の

      • キャラクター描写の改稿①

        新刊が発売されて約2週間。少しずつ感想を伺う機会があって嬉しいです! 昨日は雛倉さんが東放学園映画専門学校の授業でお話しされることになっていたので同行したのですが、読んで下さった生徒さんのお声を直接聞くことができてジーンと来ました……。 改めて、ありがとうございました。 さて、改稿の様子を引き続き公開していきたいと思います! 今回は、主人公の神林揺というキャラクターの掘り下げに関わる改稿です。 揺はとても受動的で、周囲の空気を読み過ぎる性格という設定なのですが……それ

        • 冒頭の改稿②

          前回からの続きです! そうして、冒頭も大きく変わることになりました。 雛倉さんが次に送ってきて下さったのがこちらの原稿です。 第一稿の冒頭の前に、加筆されたパートが挿入されました。 雛倉さりえさん 「揺のパートのほかに視点をもう一つ取り入れようということになり、冒頭を別人物の日誌として始めています。当時、日記という形式がとても書きやすいという感覚があったので、類似の形式をとりました。この作品を執筆していた当時、コロナ禍で今よりも先のみえない状況でした。すべてが終わったあ

        キスシーンの描写の改稿

          冒頭の改稿①

          5/18に『森をひらいて』が発売になりました! まず目に入るのは装幀ですが、著者の雛倉さりえさんが装幀室のデザイナーにインタビューして下さった様子がYouTubeで公開されています。 https://www.youtube.com/watch?v=SdDzhrRDW3Q 今回は新鮮な色味を求めて、ちょっと変わったことをやっています! デザイナーがこうして装幀の解説をする機会は珍しいので、ぜひお時間のあるときにご覧下さい。 読者の方の目に触れるのは完成版のみですが、装幀

          森がひらく音。

          雛倉さりえさんの新刊『森をひらいて』を新潮社より5/18に刊行致します。 ぜひ沢山の方に本作を知っていただきたく、noteを始めることにしました。 『森をひらいて』は戦火を避けるために郊外の学園で寮生活を送る少女たちの物語です。外界から隔絶された学園では、誰からともなく「森を作る」という遊びが流行し始めます。誰もが森を持つ中、唯一、森を持てない少女・神林揺(かんばやし・よう)が物語の主人公です。 作品の内容については、追々ご紹介していければと思います! こちらでは、本作