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さあ司法書士にまつわるオカネの話をしようか

今更ですが、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

ということで無事に2022シーズンが締まりました。申告は終わっていませんし、申告資料も全然準備できていませんが、とにかく締まってはいます。

昨年は新しいクライアントをご紹介いただいたり、それに伴い出張が激増したりしました。
北海道をはじめ、仕事とは言えいろいろな所へ行きましたが、ほとんど遊べず仕事漬け。非常に遺憾でした。来年こそは前乗り後泊をキメるど!と強く誓っているところです。

そんな涙ぐましい努力の甲斐なのか、おかげさまで今年も増収でフィニッシュ。感謝です。毎年「来年はこんな売上、立つのかなあ…」と不安に思いながらも、なんとか少しずつ右肩上がりでやってこれています。ありがとう、全クライアントよ。来年も頼む。できれば多めに頼む。

正直なところ、こうして独立してみるまで司法書士のオカネ問題については全くの無知でした。
「司法書士ってほんと儲かるの?」
「単価は知ってるけど、実際どんくらい売り上げてるの?」
「年を重ねても売り上げ落ちないの?」
って思っていながらも実際の数字はわからなかったり、「年商●億!」とか自分とは全然違うスタイルなので参考にならなかったりで、リアルなオカネ問題は謎に包まれていました。

独立から4年経ち、ようやく数字が蓄積されてきて、私自身、自分なりに見えてきたものがあります。
ということで今回は「カネで見る司法書士業」をテーマに、特に、売上について書いていきたいと思います。

オカネについて語るというのはあまりお行儀のよいものではないかもしれません。スタッフやクライアント、知っている人が見たらいい気分しないこともあるかもしれません。飲み会で話せばいい内容かもしれませんが、飲み会で話したことなんて翌日覚えていません。かといってしらふで面と向かってカネの話をするのもそれはそれでなんか気恥ずかしい。
でもこの仕事で生きていくには絶対避けて通れない話だし、大勢の先輩が口を揃えて言う「なんでも聞けるはずの同期」だって、リアルな数字は教えてくれない。
そんなわけで、過去の自分が知りたかった話を、昔を振り返りながらぽつぽつと書きとめていきたいと思います。


1.売上の概要

私の場合、ほとんどが税理士ほか士業(会計士・弁護士・行政書士・調査士)からの紹介です。そこから商業を中心に、ほんのちょこっとだけ顧問契約があったりしますが、ほとんどがスポット業務の登記による売上です(スポットといいつつ、リピートしてくれているクライアントが多いですが)。
不動産関係の売上も、いくつかの金融機関・不動産業者からくる決済をやったり、相続登記や遺産承継業務によるものですね。


2.2022年の売上

本年の売上は、入金ベースで36,447,684円、単価135,493円でした。あくまで司法書士業の売上だけですが、自分なりにはそこそこ満足な数字かなと思います。頑張りました。
単価については過去イチで良かったのですが、2~3ほどあった大型案件が引き上げたからで、何かを抜本的に変えたわけではないです。それでもまあ来年もやはり目線としては@100,000をキープしていきたいなと考えています。

目標にしている「開業年数×1000万」には入金ベースでは微妙に届かず

売上内訳でいうと、不動産46%と商業54%でした。受託割合が3:7程度なのですが、不動産でビッグディールがいくつかあったのでその関係で今年は均衡した比率になっています。例年は商業が65%以上です。



3.過去の売上げ

2019年の独立後、2021年までの売上変遷は下記のとおりです。

2019年、独立初年度。
補助者時代から自分のクライアントを抱えていたので1500万くらいを目指していたのですが思ったり伸びず(最後ちょっと調整して)970万でフィニッシュ。
夏くらいまで超低空飛行(でも補助者時代よりは実入り良し)でマジで俺ぜんぜんダメやんって思ってたのですが後半から持ち直しました。

独立すること・したことを伝えると「お、じゃあ仕事出すよ」と調子のいいことを言うだけ言って以後一切音沙汰のない人もいれば、「聞いたよ独立したんだって?司法書士探している人いるから紹介していい?」とこっちから何も言わないのにばんばん仕事をくれる人もいたり、当初の想定と全然違うことがたくさん起きました。
やはり独立は簡単ではないな…と改めて思ったものです。

2019年。1月は勤務しながら。


2020年、初のフル事業年度は、アベレージ100~200をキープでき、安定して仕事がありました。夏くらいに1名アルバイトスタッフを雇い、レタパのあて名書きや謄本の回収など簡単な雑務をお願いできることに。
3月頃にコロナがさく裂したもののまったく影響を受けず、淡々と仕事をしていました。ようやく波にのってきたなと実感するとともに、一方で目の前の仕事に忙殺され、まったくインプットができないことに焦りを覚えていたこともまた事実です。このあたりで正社員を雇って時間を作ることを検討し始めました。

始めてバイトの方が入りました


2021年に入るころには、アルバイト3名が入れ替わりで出勤してくれるようになり、ついに雑務からは解き放たれました。相変わらずコロナ真っ盛りでしたが影響なし。報酬を改定しつつ、自分のバリューを出せる仕事を模索していた一年でした。
そして兼ねてから考えていた正社員登用をし、すこしずつ自己研鑽の時間が持てるようになりました。

正社員1名が入ってきました


上記を見てもらえれば分かると思うんですが、とにかく月の売上に差があります。
この表を入金ベースにしているのも要因の一つだとは思うのですが、やはりスポット業務なのが一番大きくて、顧問フィーに根差す他士業とは少し毛色が違うのかなあと思います。

当初はこのアップダウンがきつくて「来月、家賃払えるのかな…」とドキドキしていました。最近は家賃にはドキドキしない代わりにスタッフの給与に超ドキドキしています。毎月毎月ほんと心臓に悪い。救心くれ。



4.利益率

ご存じのとおり、ざっくりと「売上-経費=利益」なのですが、経費については事務所によって大きく異なると思います。私の場合は、広告宣伝費など集客に関する費用は完全にゼロで、人件費が一番大きいです。次にテナント料ですね。
人件費は正社員だとやっぱりインパクトありますね。仮に年棒500万でも社保やら交通費やらを考慮すると1.2~1.5倍=600~700万くらいの感覚です。

利益率でいうと、2019~2020年までは80%くらいでしたが、2022年は65~70%くらいだと思います。いずれにしても他の事業より圧倒的に利益率がいいので、「自宅開業・アルバイトだけ」みたいな方で売上2000くらいの層が一番強いのではないかと思います。私自身、2020は経費も少なく、手残りが多い印象でした。

やっぱりスポット業務が多い我々の業態でいうと、固定支出をいかに下げるかというのが永遠のテーマになってくるのかなと思います。といいつつ、「やかましいわ!売上を高めて駆逐するわ!」って人もいるでしょうし、そもそも下げるだけがいいとは限らないですよね。良い場所(お値段が高い場所)にオフィスを構える意義もあったりするので。


5.まとめ

売上が見えてきたときに、そこから先どういう選択をするかは、ライフスタイルとの相談になると思います。
長時間労働が許されるのであれば、ぼっちorアルバイト投入しつつ、自らゴリゴリ働いて利益率で圧倒できますし、そうでなければ、利益率は下がりますが専門知識ある正社員を入れて仕事を分散する必要があります。
仮に後者だとしても、個人事業主であれば経費にかなりぶち込めますからね、仮に自分自身が課税前500だったとしても、体感的には700くらいの生活ができる気がします)

司法書士ってほんとうに儲かるのかよ、という問いの答えになっているか分かりませんが、「とにかく経費がない」というのはぜひ感じていただきたい。
きっとクソ儲かっている先生方は死ぬほど納税していることでしょう。もしくは悪いことしているはず。

そんな感じで、独立するときに知りたかったなーということをつらつら書いてみました。本当はPIC(マイクロ法人)のこととかも書きたいのですが、これは顧問税理士を付け、その人と相談しながら進めていくのがいいと思うので、まあまた。

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