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採用基準

とある会社の役員さんの講演を聞いたときに、「この本は読んだほうがいい!」とオススメされていた一冊
タイトルからして就職活動の話なのかなと思って読み始めたが、これはまさにリーダーシップについて書かれた本

そういえば高校の先輩が、このマッキンゼーという会社に一人在籍している。
以前に飲みに連れて行ってもらったとき、22:00くらいになると急に荷物をまとめ始めてしまった。
どうしたんですか?と尋ねたところ
「今から電話会議やねん!」と。海外とのProjectも多く、そういった会議も多いとのこと。そりゃそんだけ働いたら成長するよなと。

【概要】

マッキンゼーで採用のマネジャーを勤めた伊賀さんが採用についての考え方をまとめられている。
タイトルからして、「採用基準」がテーマになるのかと思いきや、内容の多くは「リーダーシップ」について。
どんな職業でも求められる一方で、日本で非常に抽象的なものして扱われている「リーダーシップ」について真正面から問を建てた一冊。

【著者】

伊賀泰代
キャリア形成コンサルタント。兵庫県出身。一橋大学法学部を卒業後、日興證券引受本部(当時)を経て、カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネスにてMBAを取得。1993年から2010年末までマッキンゼー・アンド・カンパニー、ジャパンにて、コンサルタント、および、人材育成、採用マネージャーを務める。2011年より独立し、人材育成、組織運営に関わるコンサルティング業務に従事。2012年に『採用基準』を出版、2016年11月26日に2冊目の著書『生産性』が発行される。

【メモ】

ケース問題は何を見ているのか?

採用の中で候補者に勘違いされているであろうところを指摘しているところから始まるこの本。

例えばケース問題
ものすごく対策本を買ってきて準備したり。そういうのはズレている。
ケース問題で見ているのは「考えるのが好きか」ということ。
考えるのが好きであればどんな問題に対しても頭を悩ませる。
ケース問題を出した時に、インプットした解き方を引っ張り出そうとする人は「考えるよりも知識に頼る人だ」と理解されてしまう
また、「正解を出すこと」を評価しているわけでもない。そう考えるプロセスを見ている。

面白いなと思ったのは思考力の話
この本では思考力が以下のように分解されている。

思考力=思考スキル+思考意欲+思考体力

このうち思考スキルは後から学べるものだという。
だから、面接で確かめなければいけないのは「思考意欲」と「思考体力」のほうだと。

そもそも「地頭が良ければ外資コンサルに入れる」という問いの答えはNOだ。
コンサルティングの仕事には
①経営課題の相談を受ける②問題の解決方法を見つける③問題を解決する
という3つのステップが必要とされる。
このうち“地頭”が関係するのは②だけ。
①に関しては話をしてもらいやすい空気を作れるかどうかのほうが大事かもしれないし、③に関しては物事を前に進めるリーダーシップのほうが大事かもしれない。

採用基準とスクリーニング基準

採用基準ということばとスクリーニング規準という言葉は明確に違う。

例えば「学歴」という評価基準がある。
これはスクリーニング規準として使われることはあっても、採用基準としては使われない。
企業において「東京大学だから採用」ということをしている企業は存在しない。

一方で「リーダーシップ」のようなものは採用基準としては適切だが、スクリーニング規準としては不適切。

聞くと当たり前だが、このあたりは明確に分けないといけない部分。

リーダーとは?

マッキンゼーでは採用の規準として“リーダーシップ”を大事にしていると言います。
ではリーダーシップとは何なのでしょうか?

みなさんが家族と一緒に大型客船のクルーズを楽しんで居るとしましょう。ところがある日嵐が来て船は岩に座礁、沈没の危機に瀕します。急いで看板に上がると、数多くの救命ボートが船の横に降ろされ、人々は避難を始めようとしています。
よく見ると、それらの救命ボートには既に1人ずつ主な漕ぎ手が乗り込んでいました。「どの船に乗ろうか」「最愛の妻をどの船に乗せようか」とそれぞれのボートに乗っている漕ぎ手の顔を見渡します。この時に「このボートに命を託そう」と考えたボートの漕ぎ手こそが、あなたが最も信頼しているリーダーです。
もしも穏やかなボート遊びであれば、「1時間を楽しく過ごせる漕ぎ手」として普段から性格の明るい友人を選ぶかもしれません。
しかし、こういった有事に、つまり、絶対に達成したい成果目標があるときに、選ぶリーダーこそ価値があるのです。

リーダーの仕事「決める」について

リーダーの役割の一つとして本書に登場する「決める」
日本のリーダーは欧米のリーダーに比べて、この決めると言うことをしない傾向にある。
例えばなにか問題が発生した時に日本では、「これは“どこで”決まったのか?」と言うことを聞く。どこの会議でという所在を曖昧にするやり方を取る。
本来は誰かがその会議で決めているはず。なのにそこをあえて決め切らない。

日本ではリーダーシップを発揮する人が少ない。

例えば駅で人身事故が起こった時に、駅前のタクシー乗り場は人で溢れかえる。
海外であれば誰かが「僕は◯◯方面に向かいます。相乗りされる方いませんか?」と声が上がる。これがリーダー。
そう言う役割は駅の人とかがやってくれるものだろうと思うのが、役職の考え方。日本でも声を上げればみんな動くのになかなか動こうとしない。
実はリーダーシップを発揮する場面はこういった日常の至る場面である。

なぜ日本ではリーダーシップが育たないのか。

国民のニーズが一定(豊かに)と言う方向を向いている時には少人数のリーダーで回る。みんなのニーズが同じ方向を向いているから。戦後の復興期のそういった時期にそもそもリーダーが必要とされにくい土台ができてしまっていた。
また、高等教育を受けられるのが一部だけだった時代があったせいで少人数のリーダーを上に置くしかない。結果的に中央集権体制になっていたという歴史的な背景がある。
しかし現代では日本でも国民内でのニーズが多様化し、リーダーが求めらる体制になって来ている。
だからこそ日本でも、今リーダーが求められている。



 


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