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【1分で読める小説】天界でも人間界でも、やることは同じ

お題:どうあがいても何でも屋
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 天界ではたくさんの生き物たちの転生を手伝ってきた。

 本人の要望を聞き、天界の都合を照らし合わせて転生先を決める。
 文字通り一生モノの決定なので、その重荷に耐え切れず、とうとう自ら転生届を上司に出した。
 転生先は人間で、ごく平凡な会社員として生きる道を選んだ。

 ところがどうだ。

「最近人間たちがここを通るからうるさくてねえ」
 とスズメが言う。

「新しい巣に引っ越したいんだけど、どこが良いかな」
 とアリたちがわいわい騒ぐ。

「聞いてよ山田君、今度アプリで知り合った子とランチするんだけど、おすすめない?」
 と、人間で同僚の田中君が声を掛けてくる。

 全ての生き物の言葉が分かってしまうものだから、聞き流すことも出来ず、つい相談に乗ってしまう。

「誰も通らないように、ペンキ塗りたての看板を立てておくよ」
 とスズメに答え、

「あっちにいい感じのコンクリートのヒビがあったよ。でも住むときは、ちゃんと出入口をたくさん作るんだよ」
 とアリに新居を提案し、

「プロフィール盛りすぎだよ。これじゃ君も相手の子にも良くない。ちゃんと正直に、ラーメンが好きって書きなよ」
 と、田中君をたしなめる。

 これじゃ、天界にいた時と同じだ。
 なんでも聞いて、なんでも手伝ってしまう。
 こんなはずでは、と思いながらも、僕はこんな場所でもまだ誰かを助けたがっている。