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ITC Vegas 2023参加レポート

こんにちは。
Sasuke Financial Lab 株式会社でUI/UXデザイナーをしているmorishitaです。

今回は10月31日から11月2日にかけて行われたInsurtech Connect 2023の参加レポートをお届けします。


1. Insurtech Connectとは

Insurtech Connect, ITCとは世界最大級のInsurTechカンファレンスになります。
ITCはアメリカや日本など世界各地で開催されていますが、今回はアメリカ、ラスベガスで行われたイベントに参加してきました。
InsurTechとは保険 (Insurance) とテクノロジー (Technology)を掛け合わせた言葉で保険分野におけるFinTechを指します。
Insurtech Connectという名前の通り、ITCでは保険業界の動向や新しいサービス・技術などトレンドを押さえた最新情報を知れたり、保険に纏わる企業や関係者と親睦を深めたりすることができます。

代表の松井いわく、5年前にアメリカで起きていたことが今の日本で起こっているそうです。今回のイベントには最先端の情報を知るために参加してきました。

会場にあった看板 (本物のドーナツでした)

2. カンファレンスってどんな感じ?

a. 会場の様子

ITC VegasはMandalay Bay Resort & Casinoというホテルで行われました。会場は3階まであり、部屋を移動するだけで10分ぐらいかかるほど壮大でした。

Mandalay Bay Resort & Casino

1階のエキスポホールには企業ブースエリアやデモステージ、2-3階には講演が見られる部屋がありました。特に印象的だったのが2階のネットワーキングエリアで、そこでは常にたくさんの人々が盛んに交流していました。

ネットワーキングをする人々

b. カンファレンス専用のアプリ

ITCには講演をチェックしたり、ネットワーキングをしたりするためのアプリがあります。日本ではこういったイベンドでアプリを使う機会がないのでは?と思い、こんなところにも衝撃を受けておりました。どこで何をしたらいいのかすぐに分かる使いやすいアプリでした。

3. どんな講演があるのか

a. AIに関する講演が多い

いろんな講演を見て感じたことは「とにかくAIに関する講演が多い!」でした。ChatGPTが2022年11月に公開されたのを皮切りに世界では生成AIがトレンドになりましたが、この流れは保険業界にも届いており、AIをどう使いこなそうか模索している様子が伝わってきました。アメリカは先進的なイメージがあるので、もうAIを使いこなしているのかと思っていましたが、案外生成AIをどのように活かそうかという段階でまだまだ発展途上のようでした。しかし、各企業の興味関心度合いやAIの発展スピードから保険業界で生成AIを活かした素晴らしいサービスが生まれるのも時間の問題なんだろうなとも思います。

デモステージの様子

b. 保険金請求、引受査定に関する講演も多い

AIだけでなく保険金請求や引受査定に関する講演もたくさんありました。このテーマは保険会社にとっては「業務効率化」「精度向上」、お客様にとっては「UXの向上」などお互いにメリットがにあるため盛んなようでした。
下記記事にもあるように、実際に引受査定のスピードはかなり早くなっているとのことです。

保険を引き受けます(保険に入れますよ)という結論が出るまでに、5分から20分しかかからないという例が出てきています

https://konohoken.com/article/interview-experts/wp14903/

デモステージに登壇している多くがSaaSで、デザインとしては今のGmailやSlackのように左から大きい順にメニューが並んでいるものが情報が読み取りやすく、直感的に操作がしやすそうな印象を受けました。

c. デザインに関する講演はあるのか?

私はデザインに携わっているため、「デザインに関する講演はあるのかな?」と気になっていましたが、結論デザインに関する講演はありませんでした。ですがUXやカスタマージャーニーに関する講演はいくつかあったので、これらの講演をチェックしてきました。

UXやカスタマージャーニーは特に保険金請求に関する講演で語られていました。その理由としては、顧客獲得コストを考えると「顧客維持」や「口コミ」に作用するUXを最適化することが非常に重要であり、特に保険のカスタマージャーニーで最も感情の変化が大きく顧客満足度に影響しやすい保険金請求のUXを向上させることが肝心だということでした。

近年はニーズに合わせたシームレスなUXを提供するサービスが増えて、ユーザーはそれと同等またはそれ以上のUXを期待しています。競合サービスと比較してUXがよくないと他のサービスに乗り替えようとする状況からUXデザインが重要視されるようになっています。

sasukeでもUXリサーチをしていますが、「また使いたい!」「誰かにおすすめしたい」と思っていただけるようなサービスにするため、引き続きよいUX作りに取り組んでいこうと思いました。

4. 文化とデザイン

ここからはアメリカの文化に触れて感じた日本とアメリカのデザインの違いについてのお話していきます。

a. アメリカと日本のデザイン

アメリカのデザインの特徴はシンプルで直感的なアプローチが目立ちますが、日本のデザインは情報を詰め込んだ詳細で緻密な表現が目立ちます。よく比較として挙げられる例にアメリカのAmazonやGoogle、日本の楽天やYahooがあります。また、ラ・ラ・ランドの映画ポスターを比較してみると、その違いは歴然としています。
この違いについて文化の違いがデザインにどう影響してくるのか考察してみました。

b. アメリカのコミュニケーション

アメリカに訪れて感じたことは「コミュニケーションが上手だな〜!」でした。
フリースペースで座っていて隣に人が座ろうとすると「お隣座ってもいいですか?席取っていますか?」と声をかけられたり、エレベーターでは「どこ出身なの?」から会話が弾んだり、トイレに並ぶ列では「その洋服素敵だね!」と褒めていただいたり、気軽に声をかける文化を目の当たりにしました。知らない人にも笑顔で話しかけるその文化は素敵だなと感じ明るい気分になりました。

積極的なコミュニケーション

c. アメリカでの出来事

そんなある日、カンファレンス会場のエスカレーターで2列に並ぶ人々を見て、「日本では1列で並ぶけどどうしてここでは2列並びなんだろう?急いでいる人がいないからかな?」と思っていたところ、代表の松井が「歩きたかったら声をかければいいと思っている」と言いました。日本育ちの私から見ると、話しかけるのは面倒くさいし、知らない人に声をかけるのは勇気がいるので、アメリカの人々は「コミュニケーションを取ることに抵抗感がないんだな」と気がつくと同時に、コミュニケーションに対する感情や考え方がデザインにもかなり影響していそうだなと思いました。

d. 考察

まず他者とのコミュニケーションについて比較してみると、アメリカでは「気になることは自分で聞いたらいい」、日本では「人に聞かず自己解決できるようにしたい」という考え方の違いが見えてきました。誰かに聞いて解決できるアメリカでは必要最小限の情報でも問題ないのでシンプルなデザインに、一方で日本では誰かに聞いて解決しにくいので自己解決できるよう情報が詰め込まれたデザインになっていったのかなと考察しました。

文化が違えば考え方が変わり、デザインに求められるポイントも変化するんだなと感じ、文化を理解することがデザインをする上で重要であると学びました。保険業界のデザインに携わる身として保険商品や業界についても知ることが大切なんだなと気がつき、この気づきを胸にこれからもデザインをしていこうと思います!

5. 最後に

この3日間で様々な体験をして有意義な時間を過ごすことができました。
異文化に触れるのは非常に良い刺激になり、デザインにも生きてくるのではと思います。これからも国内外のデザインをキャッチアップして保険のデザインをより良くしていけるよう努めていきます!

最後になりますが、アメリカのカンファレンスに参加するという貴重な体験をさせてくれたSasuke Financial Lab株式会社、ありがとうございました!

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