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BOOK REVIEW vol.019 古事記転生

今回のブックレビューは、 TOLAND VLOG サム(アライコウヨウ)さんの『古事記転生』です!今回も星読み係 yujiさんの“ライブ選書”の中から選ばせていただきました^^

『古事記』の世界に転生した、主人公サムの魂の成長ストーリー

仕事も人間関係もズタボロの主人公サムが、ある出来事をきっかけに数千年前の日本『古事記』の世界に転生する物語。神様として転生したサムの魂が経験する数々の学びは、時代は違えど、令和を生きる私たちにも共通する部分があり、読みながら多くの気づきを得ることができた。

今まで「難しそう」というイメージから『古事記』をまともに読んだことがない私。『古事記転生』の中に描かれている転生物語はフィクションだけれど、古事記に関する部分は忠実に書かれていると知り、私にも理解できるのか不安だった。しかし実際に読み始めてみると、本文は肩肘張らない文章で読みやすく、ストーリー展開のテンポも良いので『古事記』を知らない私でも、いつ間にか物語の世界観に入り込み楽しんでいた。

逃げてもいい、忘れてもいい、
人のせいにしてもいい。
それが “気づくきっかけ” になるならな。
でも、人のせいに “し続けたら” あかん。

『古事記転生』より引用

この物語の主軸は転生劇だけれど、転生を通して描かれているのは魂の成長だった。逃げたり、忘れたり、うまくいかない原因を人のせいにしたり…物語序盤のサムの言動は、まるで自分を見ているようで辛かった。しかし魂の課題から目を背けてばかりいては、いずれまた同じ出来事が繰り返し起こる。これは私自身にも身に覚えがあり、数ヶ月、数年のサイクルで、内容と人物を変えていつも同じような状況に陥っていることに、最近になってようやく気がついた。そのサイクルが終わらないのは、おそらく私がその状況から逃げ続けているから。その課題に自分で気づき、それを受け入れ努力することの大切さを、サム自身が成長していく姿を通して学ばせてもらった。

物語を読み進める中で、とても興味がわいたことがある。それは、サムが「ナムチ」という神様に転生したように、もし私が転生したなら一体どの神様になるのだろうか、ということ。そこに思いを巡らせずにはいられなかった理由は、プロローグの言葉にある。

日本に生きる全ての人のルーツは、この『古事記』に記されている。

『古事記』と無関係でいられる人は、この国には一人もいない。

『古事記転生』より引用

現代を生きる私たちの由緒書きとも言える『古事記』。何千年も昔の話だけれど、それはおそらく他人事ではない。『古事記転生』には、全知全能だと思っていた神様たちの人間味あふれる姿、神様同士の繋がりや支え合う心が生き生きと描かれており、とても親しみを感じたし、もっと多くの神様のことも知りたいという思いで胸がいっぱいになっていた。

物語を読み終える頃には、長い間、私の中で凝り固まっていた『古事記』に対するイメージが大きく変化していることに驚いた。そして何より『古事記』の内容をここまで分かりやすく噛み砕いて要約し、それをまた新たな物語にしてしまう著者のサムさんの考察力や構成力は本当に素晴らしく、これを機に『古事記』を読んでみたいと思った(まずは入門書あたりから!)。私にとって『古事記転生』は、“魂のルーツ探し”の出発点とも言える一冊になりそうだ。

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面白そうな本がたくさん紹介されているので、ぜひご覧になってください〜!

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