見出し画像

BOOK REVIEW vol.032 今日、誰のために生きる?-アフリカの小さな村が教えてくれた幸せがずっと続く30の物語-

今回のブックレビューは、 ひすいこたろうさんとSHOGEN(ショーゲン)さんの『今日、誰のために生きる?-アフリカの小さな村が教えてくれた幸せがずっと続く30の物語-』です!今回も星読み係 yujiさんの“life change book”の中から選ばせていただきました^^

作家のひすいこたろうさんとペンキ画家のSHOGEN(ショーゲン)さんの共著。ショーゲンさんが約一年半を過ごされた、アフリカにある「ブンジュ村」という小さな島での体験と、人々との交流を通して得られた“気づき”が綴られています。

『今日、誰のために生きる?』を読み始めると、ブンジュ村の人々の暮らしや考え方に引き込まれるのと同時に、胸の奥を“ツンツン”と刺激されるような不思議な感覚がありました。「おやおや?」と思いながら読み進めていくと、言葉ではうまく言い表せない、懐かしいような、胸の奥をキュッと掴まれるような、何とも言えない気持ちが胸の中いっぱいに広がって、いつの間にか涙が出ていました。涙の理由さえもうまく説明できないのですが、でもきっと「忘れてはいけないこと」を思い出させてもらえたことに対する感謝と感動が、身体中に広がっていたのだと思います。

ショーゲン、おはよう。今日、私は自分の人生を生きるね。
ショーゲンは誰の人生を生きるの?
また夜ご飯のときに会おうね。

『今日、誰のために生きる?』より引用

その「忘れてはいけないこと」の一つは、ブンジュ村の挨拶にありました。「今日、誰のために生きるの?」「自分の人生を生きている?」「今日、私は自分の人生を生きるね」・・・これらの言葉がごく普通に挨拶として交わされていると知った時は、言葉にならないくらいの衝撃を受けました。

私自身、今までの人生のなかで「自分の人生を生きている?」と人や自分に問うたことがあったでしょうか。「生きる」ということが当たり前になりすぎて、もしかするとどこか流れ作業のように生きていたのかもしれません…。けれど、ブンジュ村では、大人も子どもも、3歳の女の子でさえも、その言葉を日常の挨拶として使っているのです。そして、挨拶といってもそれは“決まり文句”ではなく、相手の顔をちゃんと見て、その人の状態を感じた上で、さまざまな言葉をかけるそうなのです。その中のひとつがこの言葉。

「おはよう。今日は誰のために生きる? オレは自分のために生きるからな」

そんな挨拶がごく普通に交わされている、ブンジュ村の朝の光景を想像すると、ありふれた言葉ですが「なんて素敵なんだろう」と胸がとても熱くなります。私には「自分の人生を、自分のために生きている」という自覚が足りていなかった。少し恥ずかしくなりました。

ショーゲンさんがブンジュ村で体験されたこと、村長さんやカンビリ家や、村の皆さんとの会話の至るところに、私たち日本人が忘れてしまっている気づきが多くありました。何にでも効率の良さを求め、システム化することに慣れてしまっている私たち。目の前には便利な製品があふれ、豊かに、何不自由なく暮らせてはいるけれど、ショーゲンさんの体験談を通して、ブンジュ村の人々から教わったのは、便利さでも効率化でもなく「心」の大切さです。

ブンジュ村に生きている人たちは、目の前の物に対しては“赤ちゃんを抱っこするように”扱いますし、目の前にいる人に対しては“抱きしめるように”話します。
そして、目の前のことに、しっかりすべての心を傾けて生きているのです。

『今日、誰のために生きる?』より引用

「今どう感じた?」「心はどんな風に変化した?」という微細な心の動きを大切にし、目の前の人や物に、まっすぐ心を傾けて生きる姿。村人全員が家族のような存在で、心からのコミュニケーションをとっているブンジュ村の人々には、目の前の人の“心の所在”までもが見えてしまうのです。

本の帯には「血に流れる記憶を思い出す!」と書かれています。このブンジュ村でのお話を読んでいると、ハートが本来の色を取り戻し、血色が良くなっていくような・・・全身に血がめぐり、心がめきめきと活力を取り戻すような・・・なぜかそんな感覚になりました。いつの間にか大切なものを失い、それが当たり前となってしまった現代の私たち。もう一度、日本人が本来持っていた「幸せを感じる心」を取り戻す必要性を感じました。

「おはよう。今日、私は私の人生を生きるね」

明日の朝、家族にそう挨拶してみよう(びっくりするだろうな笑)。もしもそれができなくても、自分の心の中でそっと唱えてみようと思います。まずは自分を大切に、自分の人生をちゃんと自分が生きていることを実感したいから。

yujiさんのスタエフと選書のアーカイブはこちら

yujiさんがご紹介されていたスタエフはこちらから♪(life change bookのコーナーは14:00〜)

life change bookのアーカイブ(一覧)はこちら♪
面白そうな本がたくさん紹介されているので、ぜひご覧になってください〜!

この記事が参加している募集

読書感想文

わたしの本棚

サポートいただけると、とっても嬉しいです☺️いただいたサポートは、書籍の購入費に使わせていただきます📚✨