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BOOK REVIEW vol.030 アインソフの物語-宇宙と自分の秘密を解き明かす、始まりも終わりもない永遠の愛の旅-

今回のブックレビューは、 奥平亜美衣さんの『アインソフの物語-宇宙と自分の秘密を解き明かす、始まりも終わりもない永遠の愛の旅-』です!

この物語は、マルクト国に暮らす主人公アインソフが、100人の願いを叶える旅の中で、宇宙と自分の秘密を解き明かし、真実の「愛」に気づくお話です。

僕は、大人になったら、この星にある国全部に行ってみようって決めている。
だって、ここは、僕の本当の居場所じゃないような気がするから。
どうしてかはわからないけど、ただ、そんな気がするんだ。

『アインソフの物語』より引用

物語の冒頭の一節に、胸がドキンとしました。
それはアインソフの言葉のはずなのに
どこか聞き覚えのある言葉だったから。

「きっと、ここはわたしの本当の居場所じゃない気がする」

幼い頃のわたしも
ずっと同じようなことを
考えていたことを思い出したのです。
家族にも友だちにも
誰にも言えなかったけれど
心の中で信じていたこと。

「なんのために生きているの」
「なんのために生まれてきたの」
「わたしってなんなの」

そんなことばかりを考えていた、あの頃。
誰に聞いても答えは分からないし
一人で考えたって答えは出ないから
その問いはそっと胸の奥にしまって
ただ目の前にある日常を淡々と過ごしていました。

でも、いつか遠い場所に出かけて
“その答え”を見つけたいと願っていたのです。

この『アインソフの物語』は
そんな幼い頃のわたしを呼び覚ましてくれた物語。
アインソフとふたりで
わたしもずっと知りたかった
“秘密の答え”を解き明かす旅に出ているような…
そんな気持ちで、この物語を読みました。

そのあいだじゅう、心の中は
とても不思議な感覚を保っていました。
アインソフの旅が進み
100人目に出会う老人ケセドさんの
話を聞いているあいだじゅうは
とくに不思議な感覚でした。

知っているようで、知らないような
聞いたことあるようで、聞いたことないような
でも、やっぱり知らないような…

「ちょっとむずかしいかも」
と思ったとき
「むずかしく考えなくてよい」
というケセドさんの声が
どこからともなく聞こえたような気もしました。

頭で考えるのではなく、心で感じる物語なのです。

アインソフが世界の秘密と
宇宙の真理を理解し始めたときに
わたしの中でも
少しずつ少しずつ
何かが繋がっていくのを感じました。

そして、幼い頃から感じていた
「わたしの本当の居場所はどこ?」
という問いに対する答えを
アインソフと同時に見つけたときは
お腹の底から真理を理解できたような
そんな気がして涙が出ました。

過去も現在も未来も
同時に存在しているこの世界。
始まりも終わりもない永遠の世界。
その中に存在しているわたしとあなた。
「未来でもう一度会おうね」と約束して生まれ
いま、こうして出会えている仲間たち。

この優しくてあたたかい
『アインソフの物語』のなかで
はじめて「永遠」の意味を知ることができました。

この物語は、架空の星の架空の国の架空の少年の架空の物語ですが、しかしこれは、あなた自身の物語なのです。
アインソフは、始まりも終わりもない永遠の旅を続けるあなた自身なのです。

『アインソフの物語』あとがきより引用

アインソフの旅に
同伴させてもらっているような感覚で
この物語を読み終えたあと
「あとがき」にある著者の奥平さんの言葉を読み
最後にようやく、この物語は
わたし自身の物語でもあったのだと気づいたのです。

アインソフはわたし自身でもあった——。
胸の奥が震えるような深い感動が
心の中に残りました。


『アインソフの物語』
何度も何度も繰り返し読みたい真実の物語に
出会えたことに感謝します。

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