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明治安田J2リーグ 第12節 ファジアーノ岡山VS清水エスパルス

上位対決となり、両チームとも勝ち点3が欲しい一戦。堅守の岡山に対して、清水はどのように得点を取るのかが注目された。前半から、清水がボールを握る時間が多く、セカンドボールも清水が拾うことが多かった。その中で、清水がPKを獲得するが、ブローダーセンに止められてしまう。それでも35分に、相手のクリアボールを回収し、カルリーニョスと北川のコンビネーションから北川がゴールし、先制に成功する。後半は、岡山がサイドを使った攻撃から清水ゴールに迫るが得点できない。終盤には、清水がゴールにシーンもあったが両チーム得点なく0-1で清水が勝利する。


感想

ファジアーノ岡山

ハイプレスをするが、清水が岡山陣内に侵入したら中央を固めたブロックを作るため、堅守な理由が分かった。攻撃では、グレイソンへのロングボールが多かったが、アタッキングサードでは、彼を囮として、シャドーの2人が抜け出す形が多かったため、攻撃がはっきりしていた。ビルドアップでは、ボールを繋げたい気持ちはあるが、整理されていないため、前進することがあまりできなかった。ビルドアップ時は、藤田はやや低い位置、輪笠がやや高い位置を取っていたため、パスコースを作る意識を高めることができればボールを繋ぐことができると思う。

清水エスパルス

首位をキープすることができたが、3バックでの守り方については課題が残った。後半、岡山がサイドを使い、ポケットに侵入することが多くなったため、原を入れて3バックにしたことは良かった。しかし、岡山のビルドアップに対して、前線の選手はプレスに行くが、後方の選手はラインを高くすることができなかったため、中央でスペースができてしまった。その中央を使われ、DFの背後を狙われることが多かった。そのため、ハイプレスをするのであればラインを高く保つ、できないのであればミドルブロックを作ることをしないと、一発で失点をしてしまう。北川とカルリーニョスのコンビネーションはとてもよく、今後も得点を量産しそうである。

両チームの狙い

ファジアーノ岡山

前半は、清水の左サイドの背後と中央突破。後半は、ポケットを狙ったサイド攻撃であった。山原の背後に関しては、どのチームも狙う場所であるため、岡山も同様に狙った攻撃であった。中央突破は、アタッキングサードでボールを持った時に、グレイソンがポストプレーをし、シャドーの2人が背後を狙った攻撃であった。後ろから飛び出すため、清水のDFは捕まえきれず、苦戦していたため、良い攻撃だったと思う。
後半は、サイド攻撃が多くなった。特に、ポケットを狙った攻撃が多くなった。シャドー以外の選手も後方から飛び出す選手が多くなり、攻撃の厚みが増し、チャンスを作ることが多くなった。また、清水は、背後へのケアがあまく、特にポケットを取られた後の守備対応があまいため、清水のウィークポイントをついた攻撃であった。

清水エスパルス

ボールを持った時は、この試合でもロングボールを使い、背後を狙うことが多かった。また、カルリーニョスが競り勝ち、そこから速攻をすることもあった。加えて、ハイプレスから高い位置でボールを奪い、ショートカウンターを狙うこともあったが、前線で引っ掛けることはほとんどなかった。しかし、得点シーンでもあったが、相手のクリアボールを回収し、速攻でフィニッシュまで行くこともあったため、この攻撃も狙いであったと思う。

後半は、岡山のサイド攻撃に苦戦していたため、原を早い時間に入れて3バックにし、ポケットに侵入する選手を防ぐことができた。また、岡山は、終盤にパワープレーをしてきたが、清水は3バックであったため、安定して対応ができたと思う。

解説

可変をしたビルドアップと課題

清水は、前節とメンバーが同じであったため、前節同様、矢島を内側に入れたビルドアップをしていた。図1のような形でビルドアップをすることが多かった。

図1

矢島を内側に入れることで、中盤の枚数を増やすことができ、安定してビルドアップを行うことができる。そのため、相手の3枚のプレスに対して、ビルドアップでボールを失うことはほとんどなく、安定していたと思います。

また、岡山が3バックということもあり、サイドでは1対1を作ることができ、山原の仕掛けからクロスを上げ、チャンスを作ることができた。10分のチャンスシーンは、矢島が内側にいることでサイドで山原が1対1となり、クロスを上げて作ったチャンスシーンです。

10分のチャンスシーンのように、山原が高い位置を取ることができれば、チャンスを多く作ることができるが、この試合でも山原の初期位置が低いと感じた。図1のように、右サイドの吉田に比べ、山原は低い位置にいること多かった。そのため、吉田は、ボールをもらった後は、アタッキングサードまで侵入することがができたが、山原は、侵入する回数は少なかった。
意図的に、吉田と山原の配置を決めているのであれば変える必要がない。しかし、吉田は、サイドを駆け上がり、クロスを上げるタイプではないため、山原が高い位置を取ることができれば、選手の特徴を考えて、バランスが良くなると思う。

その他、ビルドアップ時に、矢島が3列目に入るため、後方に選手が多くなり、バランスが悪くなる。また、北川やカルリーニョスにボールが入った後に、その他の選手との距離がある。そのため、矢島が内側に入る時の配置を少し整理することで、バランスがよくなる。


3バックに変更した対応とその後の課題

後半から、岡山がサイド攻撃をしてきた。特に、ポケットに侵入する攻撃が多くなった。49分の決定機(図2)は、ポケットを取った攻撃であり、清水としては、対策が不十分であった。

図2

そのため、原を早い時間に入れて、対策をした。原を投入し、3バックにしたことで、岡山の狙いを防ぐことができ、守備を安定させることができた。また、原を入れた後は、岡山は思うように攻撃をすることができなかった。

60分代は、清水がボールを握り、ピンチになる場面がなかった。70分以降から、岡山の攻撃の仕方が変わり、サイドにボールが出たら、背後を狙うボールを早いタイミングで入れることが多くなった。

ハイプレスを継続していたが、70分以降から図3のように、中央のスペースが空くことが多くなった。

図3

清水のダブルボランチが岡山のダブルボランチへプレッシングをかけるため、ボランチから前のポジションの選手は、ハイプレスを行っていた。しかし、後方(特にCB)は、岡山の前線が高い位置をキープするため、ハイラインにすることができなかった。そのため、中央のスペースが空いてしまい、そのスペースを使われることが多かった。中央のスペースを使われても、攻撃を遅らせることができたため、岡山の速攻からピンチになることは少なかったが、個人的には課題だと思った。

解決策としては、DFのハイラインもしくは、ハイプレスをしないことである。時間帯と暑さを考えると、ハイラインを継続することは困難であると思う。そのため、ハイプレスを止めて、ミドルブロックを作り、ボールが出たところにプレスをかけて岡山のプレーを制限した方が、この試合では良かったと思う。

選手が、状況に応じて戦い方を変えることができればよいが、できないことが多いため、ベンチから指示を出し、すぐに対応ができるとよい。


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