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明治安田J2リーグ 第13節 清水エスパルスVS栃木SC

5連勝を狙う清水と久しぶりの勝利を目指す栃木との一戦。試合は早い時間から動き、清水が10分までに2得点をする。その後は、栃木が攻める時間があり、24分に1点差とし、そのまま前半を終える。後半は、栃木が左サイドを攻略してチャンスを多く作るも得点ができない。そのまま時間が経過するが、79に清水が得点をし、再度2点差にする。その後にも得点をし、結果、清水が大勝して終えた。


感想

清水エスパルス

原がスタメンに復帰したため、どのようなプレーをするのか注目をしていた。2点目の時のように、内側を取り、ボールを受けて散らすことができていたため、原の特徴を活かした攻撃ができていたと思った。しかし、1対1の対応は悪く、前半は、ほぼすべてクロスを上げられてしまったため、コンディションはまだ万全ではないと思った。矢島も内側を取り、ボールを受けて散らすことができていたため、右は原、左は矢島が中間ポジションを取り、そこからサイドに振って、クロスなどから攻撃をすることができれば、攻撃のパターンを増やすことができる。前半の中盤から栃木にペースを握られており、後半にかけていつ失点をしてもよい状況であったため、素早い対応で守備の修繕をしたかった。


栃木SC

ロングボールを多く使うチームであることはわかっていたが、背後を取る回数が多かったため、良い攻撃をすると思った。前半は、左サイドと中央を使っての攻撃でチャンスを作れていたが、後半は、そのような攻撃がなかったため、残念である。選手交代から、中央を使うことがなくなり、攻撃の仕方がなくなってしまい、ロングボールを入れるだけになってしまったため、PA内に侵入することが少なくなってしまった。球際が激しく、タフな選手が多いと感じた。

両チームの狙い

清水エスパルス

ビルドアップ時には、矢島を内側に入れることを継続していた。また、矢島が空けたスペースを山原が使っており、前節よりも高い位置をとることができていたため、栃木のファーストラインを下げることができた。加えて、原がスタメンに入ったことにより、内側をとることができ、2得点目のように、中央でボールを持つことが多かった。そのため、外はブラガが使い、内側は原が使うことが多かったが、詰まってしまうこともあったため、整理は必要である。栃木が3バックであったため、3バックの外側に北川が流れることが多く、そこからの攻撃の組み立てでチャンスを作ることができていた。


栃木SC

前線に背の高い選手を起用しているため、ロングボールから競り勝ち、中央突破からの攻撃。加えて、清水の背後を狙った攻撃もあり、ロングボールを使うことは共通認識であった。また、左サイドからの攻撃も重視しており、左サイドからのクロスから多くのチャンスを作ることができていた。右サイドからの攻撃はほとんどなく、左サイドに選手を集め、背後を狙う動きや、中の選手がクロスに合わせる動きが多かったため、左サイドと中央に偏った攻撃であった。終盤にかけて、FWを二枚替えしたこともあり、ロングボールからチャンスを作りたかったが、ロングボールを入れさせない清水の守備であったため、彼らを活かした攻撃をすることができなかった。

解説

今節は、両サイドで内側を取る選手(矢島と原)がいたため、この試合での良いところと改善するところを解説する。

図1(右サイド)と図2(左サイド)は、それぞれ原と矢島が内側を取ったシーンである。

図1
図2

どちらのシーンも内側でボールを持ったため、相手を中央に集める(栃木が3バックということもあるが)ことができた。そのため、サイドでは1対1の形を作ることができ、サイドで仕掛けることができれば、クロスからチャンスを作ることができる。また、サイドにボールを送るタイミングで、中央の選手が背後を狙う動きからポケットに侵入することもできる。
このようなシーンは、今節で行っていたため、攻撃の幅を広げることができている。サイドからの攻撃の工夫がもう少しあれば、攻撃のバイリエーションを増やすことができ、ロングボールからでも、ビルドアップからでも攻撃することができる。

しかし、課題もあります。図1と図2を見比べると分かりますが、原がボールを持った時のブラガの位置と、矢島がボールを持った時の山原の位置が違うことである。山原に比べ、ブラガの位置が高い。これは、元々のポジションによるためでもあるが、意識の違いでもある。高い位置をキープするブラガと、低い位置でビルドアップに参加する意識が高い山原であるため、位置の高さが違う。
図1を見ると分かるが、ブラガのように高い位置をとることができれば、相手のWB(大森)が原にプレスをかけるべきか、ブラガへの守備をするべきか迷う。そのため、プレスが上手くかからず、清水は多くの選択肢から攻撃をすることができる。対して、図2のように低い位置を取ると、相手のWB(石田)は矢島と山原を同一視野で見ることができ、守備対応は容易になる。そのため、サイドからの攻撃ができず、ボールを返すことになる。配置を少し変えることにより、自分たちが優位になるのか、それとも相手が優位になるのかが変わるため、攻守ともに配置を見直す必要はある。

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