見出し画像

明治安田J2リーグ 第14節 ザスパクサツ群馬VS清水エスパルス

6連勝をして5連戦を終えたい清水に対し、最下位を脱出するためにも勝ち点が欲しい群馬との一戦。序盤は、群馬がセットプレーから清水ゴールを脅かすシーンがあったが、清水が基本的にボールを支配していた。早い時間に清水が先制したこともあり、清水が試合を進めることが多かった。清水は後半にも得点をしたことにより、安定して試合を進めることができた。終盤にかけて群馬が攻め込むが得点ができない。90分に北川が得点したため、試合を決定付けた。


感想

ザスパクサツ群馬

最下位にいることがわかる試合内容であった。終盤は動きをつけてチャンスを作ることができたが、それまで攻撃時には動きがなく、前進することがほとんどできなかった。カウンターを狙うこともあったが、清水の守備陣を脅かすまでとはいかなかった。守備に関しては、狙いどころがわからないため、なぜプレスをしているのかがわからない。整理をすることができれば、攻守ともに安定すると思うため、5連戦の反省をどう生かすかが大切である。

清水エスパルス

スタメンを4人入れ替えたが、出場機会が少ない選手が得点し、失点0で勝利できたことは非常に大きい。今シーズンは、これまでターンオーバーをほとんどしていなかったため、選手の疲労やサブメンバーのモチベーションが気になった。しかし、ターンオーバーをして結果を出すことができたため、今後の戦い方にも繋がる。連勝している時に、出場機会が少ない選手を起用することで、スタメン組との連携をうまく取れると思う。また、選手層を厚くすることができるため、できる限り多くの選手を使ってほしい。可変に対応できる選手が多いと思っていたため、可変をしてほしいと思っていた。今節は可変を行いよかったため、今後も続けてほしいし、戦い方のバリエーションを増やすことができる。


狙い

ザスパクサツ群馬

攻撃は、後方でボールを回し、清水がくいついてきた時に、背後を狙ったロングボールからゴール前に侵入することが狙いであった。前半は、攻撃時に動きがないことが多く、後方でボールを回しロングボールを蹴るがフィニッシュをすることができない。後半は、選手交代もあり、フレッシュな選手が動きをつけたことにより、背後を突くロングボールからチャンスを作ることができた。また、アタッキングサードに侵入した時は、後方から人が出てくるため、ゴール前に多くの人を置くことができたが、得点をとることはできなかった。

清水エスパルス

守備に関しては、ミラーゲームであったため、オールコートマンツーをし、前線からボールを奪うことを意識していた。群馬のシャドー(佐藤と和田)がボールを受けに低い位置を取った時は、3バックの両サイド(原か住吉)が敵陣までプレスをかけてプレーを制限していた。そのため、前半は、群馬は、思うような攻撃ができなかった。しかし、後半は疲労もあり、プレスがハマらないこともあった。

攻撃は、可変を行い、自陣でのビルドアップでは4バック、敵陣では、宮本か矢島、原を中央に置き、3バックにして両WBを高い位置に置いた。両WBを高い位置に置くことがこの試合での狙いの1つである。左サイドでは西澤と吉田のコンビネーションから左サイドを攻略し、宮本か矢島が3人目の動きからポケットを狙う。右サイドでは、北爪が高い位置を取るため、サイドチェンジからチャンスを作る(13分のシーン)。その他、ビルドアップ時に西澤が降りてくるタイミングで吉田が高い位置を取ることを意識していた(9分のシーン)。西澤はSBを務めていたこともあるため、相手のカウンターになった時でも対応することができる。また、吉田が高い位置をキープすることができるため、群馬のWBはどちらをマークすればよいのか迷っていた。


解説

清水の可変システム

この試合で清水は、攻撃時に可変をしていた。基本のフォーメーションは図1である。この試合では、今シーズン初の3-4-3(5-4-1とも捉えられる)をスタートから採用した。群馬とミラーゲームにすることで、群馬の速攻を防ぐことが目的である。

図1 基本フォーメーション

これまでは、試合終盤で5バックを使用することが多かったため、スタートから使用した時にはどのような立ち位置を取るのか気になった。

攻撃時には、図2~図4のような形に可変をした(図4の形は一度しかなかった)。これまで、4バックでスタートすることが多かったため、この試合でもビルドアップ時は4バックを採用した。また、群馬戦まで時間がなかったことも4バックを採用したことの1つである。

図2
図3
図4

可変でのキーマンは原である。この試合では、図2のように中に入る時もあれば図3のように外に張ることもあった。試合状況に内と外を使い分けていた。また、宮本と原がポジションを入れ替えることもあったため、群馬は的を絞ることができなかった。加えて、これまで通り、4バックでのビルドアップであるため、迷わずにポジションを取る選手が多かった。結果、ビルドアップで詰まることはほとんどなかった。

原が外に張った時は、北爪が高い位置を取ることができるため、ロングボールなどから北爪のスピードを活かした攻撃をすることができる。また、原がドリブルで相手をかわすことができるため、プレス回避が容易になる。
原が中に入った時は、ダブルボランチの1人が高い位置を取ることができる。そのため、パスコースを複数作ることができ、後ろからの組み立てが容易になる。また、ロングボールを使ったプレス回避でも、ボール奪取能力が高い宮本が高い位置を取ることができれば、セカンドボールを拾い、速攻をすることができる。加えて、3列目からの飛び出しで、相手の背後を取り、チャンスを作ることができる。


この試合は、個人的には今シーズンベストゲームである。攻守ともに各選手の役割がはっきりしていたため、迷わずプレーをしていた。また、可変を行ったが、各選手の特徴を活かした(西澤が降りてくるや原が内側を取ること)ため、安定した試合運びをすることができた。スタッツを見ると、前半のうちに複数得点をし、早い時間に試合を決定付けたかった。
よかった反面、課題もある。選手のポジションである。ほとんどの選手はよい活躍をしていたが、気になる選手が2人いた。ブラガと松崎である。ブラガは、サイドに張った状況からプレーする方が得意である。しかし、この試合は内側からのスタートとなり、彼の特徴を活かしたプレーが見られなかった。この可変をするのであれば、ブラガがサイドでプレーできる状況を作らなければいけない。松崎に関しては、ポジション取りを迷っていた。3点目の北川の得点シーンの時に、原とポジションが被っていた。また、サイドに張ったことで、北爪ともポジションが被っていた。松崎は、ポジション取りが器用ではない。そのため、立ち位置をはっきりした方がよかった。個人的には、カルリーニョスと北川の2トップにし、トップ下に松崎を置くことで渋滞を解消することができたと考える。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?