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明治安田J2リーグ 第22節 清水エスパルスVSファジアーノ岡山

連敗中の清水と、勝って上位との勝ち点を詰めたい岡山との一戦。20分にカルリーニョスのゴラッソで清水が先制する。その後、岡山は決定機を2度作るが権田に防がれる。しかし、42分、背後に抜けた岩渕が決め同点で前半を終える。それでも、後半立ち上がりにカルリーニョスが得点を決め、清水が勝ち越す。その後は、清水が余裕を持ってボールを回すなど試合を支配し、79分には矢島の追加点で3-1で勝利。連敗を止めることができた。



感想

清水エスパルス

前半の試合内容はあまりよくなかったが、後半にかけて、少しずつよくなっていった。これまでの課題であったタッチ数に関しては、後半は、ワンタッチが多くなり中央からの攻撃が多くなったことで試合を支配することと、チャンスを多く作ることができた。背後への動きも連敗中に比べ多く、その動きに合わせてパスをすることも多かった。ハイプレスを止め、ミドルブロックを作ることではがされることがなく、落ち着いた守備をすることができた。背後を取られての失点や、組織で得点できないことは課題であるが、この勝利で少しずつよくなることを願う。


ファジアーノ岡山

山原と高木の背後をルカオが狙っていたが、高木に防がれることが多く、思うように攻撃ができなかった。また、左サイドでは、岩渕が原の背後を狙っていたが、そこへパスをすることがなかった。そのため、岩渕が右サイドに流れることが多くなり、得点に結びついた。得点も取れたため、山原、高木の背後を取るのであれば、岩渕を右田中を左に配置した方がよかったと思う。後半は、自ら動くことができず、清水に試合を支配されて試合が終わった。


解説

清水 中央でのパスについて

前節までは、中央からの攻撃が少なく、攻撃の糸口を見つけることができなかったが、この試合ではワンタッチと、縦パスへの意識が高まり、特に後半は良い攻撃が多かった。2つのシーンを使い、各選手の特徴も踏まえて、立ち位置などを紹介したい。


図1は、31分のシーンである。この試合始めての縦パスのシーンである。

図1 31分、縦パスからの展開

何気ないシーンではあるが、個人的には重要なシーンである。このシーンまでは、ボールを素早く回すが、外回しのみであった。そのため、岡山のハイプレスを回避することができたが、敵陣でボールを持つことは少なかった。敵陣でボールを持っても、外でボールを持つことが多かったため、ゴールに迫ることは少なかった

しかし、このシーンがあったため、岡山は少し中央を固める意識がついた。そのため、サイドでボールを持った時は、少し余裕を持つことができた。


図2は2点目に繋がるシーンである。このシーンも、ワンタッチパスを上手く使い、中央を攻略したシーンである。

図2 2点目に繋がる攻撃

サッカーの基本である、縦パスの後は横パスということができたシーン。これまでも、このような位置取りは見られたが、中央突破は少なかった。その原因の1つは、タッチ数が多いことである。図2では、松崎と北川がワンタッチを使うことで相手を剥がすことができた。それと同時に、動きもついたため、ゴール前に侵入することができた。

サッカーは、中央突破をすることが得点をする一番の近道である。そのため、守備の原則としては、始めに中央を固めることである。相手に一度中央を使った攻撃を見せることで、相手は中を締める。中を締めた相手に対して、外を使うことで数的優位や質的優位を作り、チャンスを作ることができる。

特に、岡山のように3-4-2-1で中央に人数が多い相手である場合は、サイドで優位を作りたくなる。しかし、サイドだけで攻撃をしてもゴールに迫ることはできない。そのため、一度中央を使った攻撃をする。その後、サイドに展開し、もう一度中を使ってフィニッシュすることで相手を崩してフィニッシュをすることができる。


選手の特徴を考えると、ビルドアップ時には、宮本が低い位置中村が高い位置を取った方がよい。シーズンを通して中村が低い位置を取ることがあるが、図1のように、ワンタッチで縦パスを出すことができ、攻撃の起点になれる選手である。そのため、個人的には高い位置を取り、パサーの役割をして欲しい。

また、今シーズンの清水の特徴でもあるが、北川が降りてワンタッチでサイドに展開し、チャンスを作るシーンがある。このようなシーンを多く作ることで、より攻撃が活性化し、チャンスを多く作ることができる。図2のように、中村が北川にパスを送ることができれば、北川が展開をして攻撃をすることができる。また、乾とのワンツーからもチャンスを作ることができたため、彼の縦パスから多くのチャンスを作るためにも高い位置を取りたい。

また、宮本は、運動量が豊富であるため、背後を取ることができるが、低い位置でビルドアップに加わりたい。図2のように、CBの間に入ることで中央でボールを持つことができる。そのため、中央から縦パスを出すことや、無理であればキャンセルをして、パス回しができる。また、彼がいる試合といない試合では、ボール回しに違いがある。彼がいる方が、安定してボールを回すことができ、試合が落ち着く。また、カウンター対策としての宮本は低い位置にいた方がいい。

加えて、立ち位置縦パスボールをもらう意識を高め、これまでよりも中央を使った攻撃を意識したい。中央でワンタッチを使った攻撃ができれば、サイド攻撃がより効果的となる。



今回の勝利によって、自分たちの良さと悪いところを再確認できたと思う。この試合での失点シーンは横から縦への動きでやられた。サッカーでは対応が難しいシーンであるが、このような失点をなくさなければいけない。

次節は乾とカルリーニョスが累積で出場ができない。しかし、次節もホームであるため、勝利は必要である。この試合で見せた中央での攻撃を見せながらサイド攻撃ができれば、千葉に対しても勝利することができる。一人ひとりの立ち位置や動きをつけ、試合を支配し、連勝をする。


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