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明治安田J2リーグ 第8節 清水エスパルスVS徳島ヴォルティス 続き

今回の解説は、両チームの狙いで書いた徳島の攻撃についてもう少し詳しく説明したいと思います。前半は、ビルドアップ時に、ロングボールを多用することが多かった徳島が何故ショートパスを繋いで前進できたのかを紐解いていきます。また、ビルドアップが上手くいった徳島に対しての守備を私の考えを踏まえて提案したいと思っています。


徳島の前後半のビルドアップと攻撃の違い

前半の徳島の配置

徳島の前半の配置(攻撃時)をもう一度確認します。図1が前半の配置です。

図1

左肩上がりの配置となっていますが、始めからこの配置のため、清水からすると対策がしやすかったと思います。そのため、ハイプレスがハマっており、徳島としてはロングボールを使う回数が多くなりました。結果、攻撃の形を作ることができず、苦戦することになりました。対して、清水は、ボールを奪ってから速攻をすることができ、清水ペースで試合が進んだため、思い通りに試合が進んでいたと思います。

前半、徳島のチャンスシーン

うまくいかなかった徳島であったが、敵陣でボールを持った時は縦パスを使い、チャンスを作ろうとしていました。清水陣内でボールを持っているときは、図2のような形となることがありました。

図2

25分の児玉から柿谷への縦パスは素晴らしかったと思います。その時の形が図2のような形でした。清水は、ハイプレスをしているため、プレス回避をされてしまうと自陣に引かなくてはいけなくなります。特に、ダブルボランチは、CBの近くまで引くことになります。そのため、図2で示した通り、清水のダブルボランチとFWの間にスペースができ、永木と児玉がフリーな状態でボールを持つことができます。児玉がフリーでボールを持つことができれば、彼のスルーパスからチャンスを作ることができるため、今後、徳島はこのような形を多く作ることができれば、チャンスが増えると思いました。
このシーンから徳島がボールを持つことが多くなりました。

31分以降のビルドアップ

その他、31分からビルドアップの形を変えてきました。図1から図3の形へと変更しました。

図3

ビルドアップ時に、児玉は動きをつけてボールを受けたり、フリーになることが多かったが、永木はあまり動かなかったため、ボールをもらうことがあまりありませんでした。そのため、停滞していたと思います。2トップ相手に、3-2でボールを回すことは数的優位を作ることと、パスコースを作ることができます。しかし、先ほども書きましたが、永木の動きがないため、清水からすると、ハイプレスをしてマンツーマンを行うことでパスコースを限定し、はめることができます。このようなことがあったため、児玉を少し高い位置に置き、ボールの出口を作ることができると思い、図3のような形にしたと思います。この形を続けていましたが、効果的ではなかったと思います。

ボールの出口をうまく作ることができないまま前半が終わりました。

後半の配置

後半になると図4のように少しポジションを修正しました。各選手の特徴を考えた配置です。

図4

エウシーニョをややサイドに張らせました。西野は高い位置を取っていたが、ポジションを少し下げました。チアゴ・アウベスは、ボールに関わらせるため、中盤に降りてきました。杉森は、前半よりも内側を取り、ライン間でボールをもらえるようにしました。この変更が上手くハマり、ビルドアップが安定しました。
加えて、縦パスへの意識ボールをもらう意識が高まったことにより、積極的に縦パスを通すことで、プレス回避をすることができ、ボールを繋いで攻撃へと転じることができました。加えて、動きをつける選手も多くなったため、パスコースが増えたと思います。

ミドルサードでの配置

図5

また、ミドルサードにでボールを持っているときは、図5のような形になりました。後ろ3枚で回すというよりも、エウシーニョをサイドに張らせ、高い位置をとることにより、サイドから中央にドリブルし、展開などをすることができました。また、チアゴ・アウベスが中盤に降りてくるため、彼がサイドに展開し、左サイドからクロスを上げる回数が増えました。加えて、ピッチを広く使うことができたため、スペースを作ることができ、徳島が思うサッカーをすることができたと思います。

ただし、チアゴ・アウベスが中盤に降りてしまうため、サイドからクロスが上がった時に、ボックス内の枚数が少なくなることが不安になります。ボックスでの仕事を考えると柿谷よりもの方が高さなどがあり、得点の可能性が高いため、チアゴ・アウベスと合わせるのであれば、渡りを使うべきだと思います。また、チアゴ・アウベスの良さは、強烈な左足はもちろん、個人的には、中盤に降りてゲームを作ることだと思います。ボールを持つことができ、パスを出すこともできるため、彼を含めたビルドアップをすることができれば、プレス回避から速攻をすることができるため、チャンスが増えると思います。また、ハイプレスをする相手に対して、プレス回避をすることもできると思います。

PKに繋がったシーン

玄が入ったことにより、より攻撃が活性化し、PKに繋がったと私は思います。図6は玄が入った後の配置です。児玉が永木とコンビを組んだ時よりも玄と組んだ時の方が縦関係がはっきりしていたと思います。

図6

玄はボールコントロールに優れており、ボールの受け渡しをすることができるため、児玉がビルドアップに関わる必要があまりなくなったため、高い位置をとることが多くなったと思います。児玉が、PA近くでプレーをすることが多くなったため、徳島は清水陣内でボールを回すことができ、よりチャンスを作ることができたと思います。また、状況に応じて、2人のポジションをチェンジしていたため、清水は守りにくかったと思います。

玄が入ったことにより、攻撃が活性したため、後半から永木に代えて玄を入れた方が良かったと思います。守備などのバランスを考えると永木の方がよいが、ビルドアップが上手くいっていなかったことを考えると玄を入れて、自分たちのペースに持ち込むことが大切だと思いました。


徳島が後半良くなった要因は、各選手の特徴を活かしたポジションの修正と意識の変化だと思います。この変更をハーフタイムで行うことした増田監督には好感が持てました。後半のような形で試合を行うことができれば、徳島が築き上げたことを継続することができると思いますし、是非とも継続して欲しいと個人的には思います。

清水の対策方法

徳島の話が多くなりましたが、後半、清水がどのようにすればよかったのかお話しします。個人的に、何をすれば正解であったのか、正直わかりませんでしたが、私ならこうするといったことを紹介します。

選手交代

まずは、選手交代です。徳島が渡を投入したことにより、さらに流れが徳島の方へ傾いたと思います。柿谷に比べ、ボールに関わることが多かった渡であるため、ボールがスムーズに回り、チャンスが増えたと思います。そのため、どこかで徳島の勢いを消す必要がありました。58分以降、清水がボールを握ることになり、一度徳島の勢いがなくなりましたが、それまでに決定機をいくつか作られていたため、その前に対策をしたかったです。選手交代は、選手を代えること以外にも、戦術を整理する場や流れを切らすことができます。そのため、渡が入ってきた54分以降に一度選手交代をして流れを切ることと、守備の仕方を確認したかったと思います。

守備

守備に関しては、前半はハイプレスが効いていましたが、後半は無意味であったため、ミドルブロックを作る方が良かったと思います。徳島は、ビルドアプで、プレス回避が上手くいっていたため、そこから攻撃に転じることができていました。また、先ほども書きましたが、ピッチを広く使ったため、スペースができたため、スペースを埋める必要がありました。前半のように、徳島に、狭いスペースでプレーをさせることができれば、うまくビルドアップができないと思うため、中央を固めて、なるべくスペースを作らせず、我慢して守備をすることが大切だと思います。加えて、徳島の左SB橋本は常に高い位置を取っており、エウシーニョも高い位置をとることが多くなったため、サイドの背後を狙ったカウンターからチャンスを作ることができたと思います。

攻撃

攻撃に関しては、先ほど書きましたが、基本的にはカウンターを狙います。それ以外は、エウシーニョの背後や一対一を狙います。前半からエウシーニョは西原のスピードについていけてなかったため、スピードを使い、彼の背後や一対一から左サイドを攻略し、チャンスを作ることが攻略法だと思います。

次節に向けて

連敗を避けることはできたが、勝てた試合を落としてしまったことは反省するべき点です。他会場の結果、2位は死守できていますし、首位まで勝ち点1であるため、このまま勝ち点を積み重ね、首位を狙えるまたは首位を維持できるようにするべき。甲府は篠田監督であるため、清水を知っているだけに清水対策をしっかりしてくると思います。どの試合を参考にして対策をするのかわからないが、山原の背後を狙うなど、他のチームでも行う対策は確実にしてくると思います。

乾が次節もいないと思うため、2トップを試すことも考えるべきです。個人的には、乾がいないのであれば、無理をしてトップ下を置く必要はないと思います。トップ下がいることで効果的な攻撃ができているとは思いません。また、清水のFWの多くは2トップが得意としている選手が多いです。昨シーズンまでいたサンタナや北川千葉は一人で何かをする選手ではなく、近くの選手とのコンビネーションからチャンスを作ることが得意です。そのため、2トップにし、どのような化学反応が起きるのか個人的には気になりますし、今後の戦いの参考になる可能性が高いため、そろそろ試してほしいと思っています。

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