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アレンカ・ジュパンチッチ Alenka Zupančič Žerdin、イエール大学講演 フランシス・ベーコンのトリプティク ※資料

★Facebookのポスト(2021年11月14日)の転載

イエール大学でのアレンカ・ジュパンチッチ Alenka Zupančič Žerdin の講演。リュブリャナのラカン派精神分析学者、ヘーゲル学者。ジジェクとバディウの弟子。
フランシス・ベーコンのよく知られたトリプティック作品についての下り --- 52:50 "... the question of chance is very important for him also in this level and what he called a guided chance" --- ドゥルーズとは違う切り口ですが、この前後にギャンブラー、ベーコンの、計画性と偶然性を絵画秩序の合理性に持ち込む手口、絵画の「運気」を上げるためのもう一つの形而上学について、とても精緻な分析が展開します。

「guided chance 導かれた奇遇」。ベーコンは知らずか知ってか、本来は最近の科学哲学の分野に登場する言い回し。科学が扱うチャンスは事象の頻度を予測するために使われるけれど、事象を頻度に還元することはできないという命題を前にし、科学にとっての未来に因果がぶれることのないチャンスと心(科学者の、とは限らない)の関係を論じるときに使う。ジュパンチッチはそこを下敷きにしていますが、デイヴィッド・シルヴェスターによるベーコンへのインタヴュー (邦訳・ちくま学芸文庫) に登場します。

ちなみに、彼女には性差の存在論という、フェミニストからも哲学者からも科学者からも弾かれるだろうリスキーな論文があります。(数年前のe-fluxへ寄稿、下)、日本のほとんどの学者はそんな冒険をぜったいにしない。ある意味では師のジジェクより挑発的😄。

なので、今日は一日このインタビューとドゥルーズを並行して再読。公園のベンチ。秋日和。