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ナチュラルスキーワックス開発メモ

 2022年から天然成分を主体としたスキーワックスの開発を押し出している。
おおよそ試作は40回を超えてきた。
 
テーブルテストから実地試験と様々なテストを繰り返しているが、殆どまだ公開できていない。
しっかりと確証を持って出したいという意図があるが、やるやる詐欺になってしまうのもいかんだろうとも思う。
いくつか解ってきた点と現状を公開したい。
 

『パウダースノーに対しては走る!』 

※GPSを用いた滑走試験

自慢げに書いたが、極寒地は除いてと言った方がよいと思う。まだテストはできないいないからだ。寒さと水分率により雪結晶の形状も変わるのだ。
またパウダースノーは滑りやすく、その点、到達しやすいゴールとも言える。それでも1年目では達成する事ができなかった点なのである。


『水分が多い時はトップスピードがゆっくり』

※GPSを用いた滑走試験

先ほどのパウダーは滑りやすいと書いたが、水分率が多く、新雪が積もらない事で汚れが溜まりやすい春雪はスキー板が滑りづらいと言われる。その中での実験だ。
 ここでナチュラルワックスは滑り出しは少しよいものの頭打ちになってしまう。よく言えは急斜面ではゆったりと滑れると言えるが、
少し詰まったような滑走感があり、春雪特有のストップ雪をクリアできていない。その点、石油系(フラーレン配合)は春雪でも滑りやすくなっていると言える。ここは改善は必要な点だ。

 

『グラファイトは効いている』

※GPSを用いた滑走試験


炭素(鉛筆芯のような成分)は古くからスキーワックスに配合されている成分だ。
それ自身の固体潤滑性が高く、電気を通し、安全性の高い素材なのだ。
ワックス配合や素材を扱う中で当該成分の潤滑性の高さを感じているが、本処方での影響を検証してみた。
結果としては、入れる、入れないの差は大きいである。
影響のでやすい春雪において、グラファイト抜きのワックス挙動は明らかに劣化している。
当初、見た目から抜く事も検討したが、これを上回る素材に出会わない限り配合はしていきたい。
 

『親水性にふるとどうなるか?』

※GPSを用いた滑走試験


スキーワックスのセオリーとして、撥水性(水をはじく)方が滑りやすいとされる。しかし、春雪は通常のセオリーでは限界を感じ、逆張りを思いついた。親水成分をプライマーとして作成したスキーワックスを作成し、比較試験を行った。
結果として、今回は惨敗だった。
明らかに滑走性は悪くなったのだ。しかし、この案は固体潤滑を上げるメリットがあり、その点において、素材や親水度合いの調整による可能性は残されていると考える。
一つの処方を完成させた後に掘り下げたいテーマである。

  
以上の事からテーブル試験⇔実施試験を繰り返している。
現在は、極性やイオンの調整を実施している。これらのチャンピョン処方での改善を来年度のスキー場で確認して完成度を上げていきたい。
 
改めて記載するが、
一人の滑走テストは現場のデータが限られる。
ホットワックス派で試してもよいと思う方は連絡頂き、簡単な感想を頂ければとても嬉しいです。
 
 

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